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保健所の体制 人材の融通で機能を強化せよ(2020年8月31日配信『読売新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染が広がった地域で、保健所の業務が逼迫ひっぱくしている。政府と自治体は、連携して体制強化を急がなければならない。


 厚生労働省は、大規模感染が発生した地域の保健所を支援するため、自治体を越えて保健師を派遣する仕組みを構築するという。機動的に運用してもらいたい。

 大規模な集団感染を防ぐには、感染症の専門知識を持つ人材が迅速に対応し、早い段階で封じ込めることが重要である。保健師は、患者や濃厚接触者らの追跡調査を行い、感染ルートを特定する職務を担っている。

 厚労省はすでに、さいたま市や沖縄県の保健所に対し、他の保健所や大学、関連学会などに所属する保健師を派遣した。

 現地の活動を助けたというだけではなく、派遣元の保健所からも「調査の手順を学べた」と評価する声が出ている。各地の保健師が実践的な経験を積み、今秋以降の流行に備える意義は大きい。

 政府は、都道府県ごとに人材バンクを創設する方針だ。資格を持ちながら勤務していない「潜在保健師」らを登録するという。

 感染症に対処する際は、事前の研修や訓練を重ね、実務に習熟させることが不可欠である。政府は、受け入れる自治体の態勢づくりを支援し、円滑に派遣できる準備を進めてほしい。

 大切なのは、局所的な感染拡大が起きた場合に、保健所が機能不全に陥る事態を避けることである。保健所の業務停滞で検査や治療に影響が出ないよう、自治体は万全の対策を講じるべきだ。

 そのためには、専門性の高い業務に保健師が集中できる環境を整えることが必要だろう。電話相談、検査機関への検体搬送、医療機関への入院患者の移送などは、応援を含む一般の職員でも対応できるのではないか。

 中長期的な保健所の体制強化も検討が急がれよう。

 1994年制定の地域保健法の下で母子保健サービスなどが市町村に移譲され、保健所の統廃合が進み、現在はほぼ半減している。職員は平均50人ほどだ。危機に対処するには十分とは言えまい。

 保健所は、都道府県のほか、政令市や中核市、東京の特別区など設置主体が様々だ。都道府県と市や区との間で感染状況に関する情報共有が遅れた反省を踏まえ、相互の連携強化が急務となろう。

 感染症の流行は今後も想定される。保健所の機能充実や保健師の養成に計画的に取り組みたい。
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Author:gogotamu2019
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