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首相辞任会見で労わなかった記者は冷酷か(2020年8月31日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★先週金曜日の首相・安倍晋三の突然の辞任表明は誰もが驚いたとともに、政治的スタンスの違いがあっても体調の回復を願うことは同じ思いだろう。ところが週末にかけてネットでは、辞任表明会見でのメディアに批判が殺到している。「質問した記者の中で『お疲れさまでした』といったのは1人だけ。『お大事になさってください』とはだれも言わなかった。首相の政治的な評価の前に、自身がジャーナリストであることの前に、人としてどうなのか」「冷酷無比な記者ばかり」「マナーがない」「ねぎらいの言葉もない」との声が飛び交っている。

★体力と気力の限界まで仕事を続けた一方、在職期間の更新を待ったような辞任表明は、比較的シンパシーのある内閣記者会の中でも複雑な思いがあったはずだ。その首相「個人」に対してはリスペクトもあったろうし、見えない首相の苦労をそれぞれ垣間見てきた記者にとって、労をねぎらいたい思いも去来しただろう。でも彼らは自民党の同僚議員ではない。政権の最高責任者に対して、「権力の監視」をする記者が、会見という「公式の場」で、「お疲れさまでした」「ご苦労さまでした」とねぎらいの言葉を発するのは、立ち位置が損なわれるし違和感がある。次の内閣に手渡すまで、職責を全うするという首相には、最後の会見として渡り合う、互いに“公式”の場でなければならなかったはずだ。

★感想を言うのも意見を言うのも結構だが、新聞記者の中にも、このマナーのないメディア批判に同調する者がいる。それはお門違いも甚だしい。そのなあなあ主義は、記者クラブ制度のあしき慣習から生まれるマナーのない、緊張関係を維持する覚悟のない御用記者の心情だろう。会見後や懇談の機会に、存分に思い出話や体を気遣い、労をねぎらえばいいが、会見での対応をマナーの欠如や堕落した日本人の象徴のように言うのは、大きな違和感を覚える。




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