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マイナンバー デジタル化名目の危うさ(2020年8月31日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 マイナンバー(個人番号)制度を軸とする行政のデジタル化を、来年にかけて一気に進める―。政府が具体策の検討を本格化させている。

 関連法の改定法案を来年の通常国会に提出する構えだ。個人情報の一元管理につながりかねない制度が強引に押し広げられないか。厳しく見ていく必要がある。

 見直しの柱の一つは、預貯金口座との連結の義務化だ。一人1口座をマイナンバーとひも付け、緊急の経済対策などに際して給付の迅速化を図るという。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴う一人10万円の特別定額給付金の支給に手間取ったことが背景にある。マイナンバーカードを使ったオンラインでの申請が事務作業の混乱を招き、受け付けを中止する自治体が相次いだ。

 そもそもの原因は、対象者を限定していた当初の給付方針を政府が一転させ、準備が追いつかないままシステムを稼働させたことにある。機に乗じてカードの普及につなげようとする思惑が絡み、事態をややこしくした。

 口座を把握していれば、迅速な給付を図れるのは確かだ。だからといって、マイナンバーと結びつけるべきなのか。その先に、全ての口座のひも付けを義務化したい意図も見て取れる。

 政府は7月に閣議決定した骨太の方針で行政手続きのデジタル化を打ち出し、1年間を集中改革期間とした。情報技術を活用して効率化や利便性の向上を図ること自体に異議はない。だが、その旗印の下、無理押しが目につく。

 見過ごせないのが、マイナンバーカードのさらなる用途拡大だ。運転免許証と一体化する方向で検討し、現在の免許証の廃止も視野に入れている。医師免許などの国家資格証とも統合する。外国人の在留カードも検討の対象だ。

 制度の導入から4年半を経て、カードの普及率は2割に達していない。広く信頼を得られていない表れだ。免許証などと一体化することで、いや応なく取得させるようなやり方は認められない。

 今や個人の行動はあらゆるところでデータとして捕捉され、集積されている。固有の番号と関連づいたカードの用途が広がるほど、個々のデータが一つに束ね合わされる恐れは増す。

 プライバシーを脅かし、監視社会を招き寄せる危うさをはらむ制度である。根本に目を向け、あらためて制度のあり方を見直すべきだ。個の尊厳を守るための歯止めの議論こそが欠かせない。




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Author:gogotamu2019
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