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≪検証・安倍政治≫地方対策 「脱東京」もっと本気で(2020年8月31日配信『中国新聞』-「社説」)

 辞意を表明した安倍晋三首相は7年8カ月の在任期間中に、いくつもの看板政策を掲げ、声高にアピールしてきた。人口減の克服と活性化を目指し、2014年から旗を振る「地方創生」もその一つである。

 東京一極集中の是正を目指したものの、掛け声とは裏腹に東京への人口流入は一段と加速している。これまでの取り組みが狙い通りに成果を上げているとは言い難い。今のところ「看板倒れ」にとどまる。

 東京圏から全国への移住促進や地方の雇用創出に力を入れた。地方へ本社機能を移転する企業に対する優遇税制を創設するなどした。政府関係機関の地方分散にも鳴り物入りで取り組んだが、本格的なものは文化庁の京都市移転にとどまる。徳島県への消費者庁の全面移転が見送られるなど、尻すぼみになった感が否めない。

 過疎が進む小さな市町村に光が当たり、地域によってはIターン定住が増えた面もある。過疎地への「田園回帰」の潮流が太くなったのは、地方創生の成果の一つと言えるだろう。

 一方で、20年度までに埼玉、千葉、神奈川3県を含めた東京圏への転入超過数をゼロにするという目標は先送りに追い込まれた。19年の東京圏への人口移動は転入者が転出者を24年連続で上回り、約15万人も増加した。14年時点よりおよそ4万人も増え、東京集中はむしろ悪化しているのが実情だ。

 首相は28日の退陣会見で、「東京集中に歯止めは掛かっていないが、スピードは鈍らせた」と強調した。確かに今年に入って東京圏への転入は鈍っている。その最大の理由は新型コロナウイルスの感染者が急増している東京都への人口移動が減っているためだ。政策的な効果とアピールしたいのなら、一極集中問題への危機感を欠いていると言わざるを得ない。

 最大の問題は、人口の一極集中が人口減や高齢化とともに同時進行している難しさだ。放置すれば、地方の過疎化が深刻になる。女性が生涯に産む子どもの数に当たる合計特殊出生率は東京が全国最低だ。その東京に若者がどんどん集まれば、日本の人口減少が一段と加速する。

 地震などの災害でも指摘されていた東京一極集中のリスクもコロナ禍によって改めて顕在化した。持続可能な社会を目指すには多極分散への転換は待ったなしである。

 地方創生は地方自治体に知恵を出させ、国が認めた事業に交付金を出す仕組みだ。国が意に沿う形で自治体に仕事をさせる中央集権的な手法の限界が明らかになったのではないか。政策立案における自治体の自主性が損なわれ、地方分権改革にも逆行している。

 本来、地域づくりは特性や事情を知る自治体が担うべきものだ。地方創生も、自治体が自主性を発揮できる財源と権限を渡す分権を推進する発想が欠かせない。

 コロナ対策を巡っても、医療体制づくりや支援策を全国一律で中央集権的に決める政府よりも、自治体の方が地域の実情に沿った工夫や柔軟性を発揮しているように映る。

 地方分権を進めなければ、一極集中を是正することはできない。次の政権には、「脱東京」への本気度が問われる。 




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Author:gogotamu2019
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