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コロナで病院経営悪化(2020年9月1日配信『福井新聞』-「論説」)

最後のとりで支援を急げ

 待合室がやけに閑散としている―病院でそんな印象を持った県民も少なくないだろう。新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療機関の経営が悪化、逼迫(ひっぱく)状態の病院もあるという。命や健康を守る最前線で最後のとりででもあるだけに支援を急がなければならない。

 日本病院会などによると全国の病院の4~6月期の経営状況をアンケート形式で調査したところ、6割以上が赤字だった。とりわけ、コロナ患者を受け入れている病院は8割超に上っている。全国自治体病院協議会もコロナ患者を受け入れる公立病院の9割強が4、5月に前年同期比で収支が悪化したとしている。

 大規模な病院はコロナ患者のための要員を増やしたり、集中治療室(ICU)の病床を重症者用に空けたりしたほか、通常の入院患者を減らし、不急の手術なども先送りしたためという。院内感染の防止へ病床数を減らしたところも少なくない。

 コロナ対応を直接しない町の診療所や医院など中小規模病院も影響を受けている。日本医師会によると、3~4月に前年同期比で外来受診が減った診療所などは9割超にも上っている。厚生労働省の診療科別のまとめでは受診者数が小児科で5割弱、耳鼻咽喉科で4割強減少したとしている。

 コロナの感染拡大に伴い、病院での感染を避けようと受診控えが広がったためとみられる。緊急事態宣言の解除で持ち直した感もあったが、7月以降は第2波の様相を呈している。福井県内でもここに来て感染者が急増、県が「警報」を出すなど再び受診控えが増えていないか危惧される。

 気がかりなのは経営の悪化で、医療従事者の待遇も悪くなっていることだ。日本医労連の調査では、354の医療機関のうち、約35%で看護師らの夏の賞与を引き下げると回答。東京都では支給しないとし後に撤回した病院で退職を希望する看護師が続出した。

 政府はコロナに関わった医療従事者に最大20万円の慰労金を支給したり、診療報酬を3倍にしたりするなど、支援策を打ち出している。協力金を支給する方針の地方自治体もある。ただコロナ対応の大規模病院に偏っている感は否めない。コロナ禍の長期化で持ちこたえられない病院や診療所も出てくるのではないか。

 医療機関は規模の大小を問わず、国民、県民の生命、健康を支える不可欠なインフラだ。なくなるような事態になれば、コロナ禍が収束した後も簡単には再生できない。政府は観光支援事業「GO TO トラベル」に1兆3500億円を投入している。経済再生も重要ではあるが、最優先で病院支援を急ぐ必要があるだろう。




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