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雇用状況の悪化 安全網の見直しが急務だ(2020年9月2日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 雇用をめぐる状況の悪化がさらに浮き彫りになっている。暮らしの土台である雇用を守る手だてを尽くすとともに、職を失った人を支える安全網を確かなものにすることが欠かせない。

 新型コロナウイルスの感染拡大に関連する解雇や雇い止めが5万人を超えた。厚生労働省が把握できた分に限られるため、実際はもっと多いとみられる。非正規の労働者を中心に、失業者の増加に歯止めがかかっていない状況だ。

 7月の有効求人倍率も1・08倍と7カ月続けて悪化している。長野県を含め、1倍を割り込んだところが14道県に増えた。

 政府は、従業員に休業手当を支払った企業に支給する雇用調整助成金の制度を拡充し、企業に雇用の維持を求めてきた。日額の上限や助成率を引き上げた特例措置を12月まで延長することを決めたが、限界が見え始めている。

 飲食、宿泊業をはじめ幅広い業種に打撃が及び、実体経済の冷え込みは深刻だ。6月以降、感染が再拡大して先行きは一層見えにくくなっている。解雇や雇い止めの増加は、企業が余力を失いつつあることの表れでもあるだろう。

 冬場にはより大きな感染の波が見込まれ、雇用状況は今後さらに厳しさを増す恐れがある。7月の完全失業率は2・9%と小幅な上昇だったが、年末までに4%台に達するとの見方が出ている。

 非正規の働き手は、低賃金のため生活に余裕がなく、失職して収入が絶えた途端に困窮することが少なくない。寮からも出されて住まいを失えば、路上での生活に陥ることになりかねない。

 職を失ったときの支援策は乏しい。雇用保険の失業手当も、受給要件を満たせない非正規労働者が増え、受給している人の割合は低下傾向が続いてきたという。

 コロナの収束は見通せず、生活苦に陥る人がさらに増えるのは避けられないだろう。弱い立場の人ほどしわ寄せを受けることを踏まえれば、何より大事なのは、最後のよりどころである生活保護の制度をためらわずに利用できるようにすることだ。

 受け付けを渋り、他の自治体での申請を促す「たらい回し」も起きている現状はただちに改める必要がある。所持金が数百円しかないのに、当座の現金も渡されずに追い払われた人もいる。

 住まいを確保して生活を支え、生きる権利を保障することは、国と自治体の責務だ。困窮から命の危機にさえ追い込まれる人を見放すことがあってはならない。




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Author:gogotamu2019
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