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マイナポイント カード普及の施策 懸念拭えない(2020年9月2日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 マイナンバーカード所有者を対象に、買い物などで利用できるポイントを還元する「マイナポイント」事業が始まった。消費税増税対策として6月末まで実施したキャッシュレス決済のポイント還元の後継事業と位置付けられている。

 政府は「マイナンバーカード普及の起爆剤」と期待するが、手続きの煩雑さなどから利用者が限られ、一部の人への「ばらまき」となる懸念が拭えない。マイナンバーカードはかねて個人情報漏えいなどのリスクが指摘され、国民の理解も進んでいない。政府は信頼性や利便性といった課題の解決に取り組むことが先決だ。

 マイナポイント事業は、来年3月までの期限付きで実施される。マイナンバーカード所有者が、電子マネーのチャージ(入金)やスマートフォンのQRコード決済で買い物すれば、累計で1人当たり最大5千円分のポイントを受け取れる。

 利用予約は7月に始まり、予約数が4千万人に達した時点で締め切る方針だが、8月30日時点で予約は約12%にとどまる。周知が行き届いていない側面もあるが、事業の利用にはマイナンバーカードの取得とキャッシュレス決済などが行える環境を整える必要があるため、準備や手続きの煩雑さから二の足を踏む人もいるとみられる。

 中小の小売店などで最大5%が還元されたキャッシュレス決済は、新型コロナウイルスの感染予防策としても注目され、昨年10月から半年間の実施で急速に広がった。ただ、登録店舗側が決済事業者に支払う手数料が引き上げられると、普及にブレーキがかかる可能性もある。キャッシュレス決済が広がらなければ、マイナポイント事業の効果も限定的となろう。

 事業利用の前提となるマイナンバーカードの交付数も、8月30日時点で、約2458万枚、普及率は2割弱と伸び悩んでいる。マイナポイント事業が始まるのを前に、7月ごろから窓口の市区町村に交付申請が増えているというが、国民がカードを取得しようという動機付けはいまだ弱く、今後どの程度申請が進むかは未知数だ。

 新型コロナ対策として政府が実施した国民に一律10万円を配る給付金事業では「迅速な給付が可能」とマイナンバーカードを使ったオンライン申請をPRしたものの、システム不具合が多発し「郵送申請より遅い」と批判された。カードの利便性や信頼性の向上が途上にあることの証左だろう。

 日本の行政のデジタル化は世界に後れを取っており、加速していく必要はあるが、拙速は許されない。来春にはマイナンバーカードが健康保険証として利用可能になる。政府は運転免許証との連携や個人の預貯金口座とのひも付けなど、さらなる利用拡大を模索しているが、慎重な議論が欠かせない。国民の不安を置き去りに、利用を押しつけることがあってはならない。




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Author:gogotamu2019
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