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新出生前診断 懸念拭えない無認定施設(2020年9月3日配信『山陽新聞』-「社説」)

 妊婦の血液から胎児の染色体異常を調べる「新出生前診断」を学会の認定を受けずに実施する施設が増えている。

 認定施設でつくるグループ「NIPTコンソーシアム」の調査では、無認定施設は7月上旬時点で少なくとも全国に135あった。岡山大、広島大病院や四国こどもとおとなの医療センター(善通寺市)など109ある認定施設の数を上回っているという。

 背景には、高齢での出産に不安を抱える妊婦が増えていることがあるとみられる。生まれてくる子どものことを知りたい気持ちは理解できる。

 とはいえ、十分な説明を欠いたまま検査を受けて、結果に困惑した妊婦が学会の認定施設に駆け込むケースが相次いでいるという。不適切な形での中絶につながる懸念も拭えない。

 新出生前診断は妊娠10週以降の早い時期に、妊婦の血液に含まれる胎児のDNAを調べて、ダウン症などの原因となる3種類の染色体異常をみる検査である。陽性判定の確定には、さらに羊水検査が必要になる。

 日本では2013年に臨床研究として始まり、19年に一般診療に移行した。「安易な命の選別につながる」との指摘もあるため、日本産科婦人科学会(日産婦)は指針で、診断を受けられる女性を基本的に35歳以上に限定し、カウンセリング体制が整った大学病院などの認定施設でのみ認めてきた。

 これに対し、無認定施設は16年ごろから現れ始めた。東京や大阪などの都市部に多く、今回確認された135施設のうち、78施設は診療科が不明で、55施設は内科や形成外科、美容外科など産婦人科以外だった。このため、日産婦の指針で規制するのは難しいのが実情だ。

 カウンセリングが行われないケースが多いとされる上、検査の精度などもよく分かっていない。説明が不十分で妊婦が戸惑うトラブルが問題となっていることは看過できない。国は学会任せにせず、抜本的な対策を検討するべきである。

 認定施設だけでも、これまでに7万人以上が検査を受けている。こうしたニーズの高さを踏まえ、日産婦は6月、要件を緩和し、小規模施設でも検査を実施できるようにする新指針を発表した。実際に運用するかどうかは厚生労働省の最終判断を待つとしているものの、開業医を含めて全国で70カ所ほど認定施設が増える可能性があるとされる。

 厚労省は今秋にも新出生前診断の在り方に関する新たな検討会を設置し議論を進める見通しという。作業を急いでもらいたい。

 議論には、医療者だけでなく、子どもを持とうとする女性や、障害のある子の育児経験がある人、診断を受けて妊娠を継続しなかった人といった当事者の意見を反映させるよう求める声もある。その工夫、努力も必要だ。




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