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大学の遠隔授業(2020年9月4日配信『宮崎日日新聞』-「社説」)

◆早期の対面再開へ方策探れ◆

 新型コロナウイルスの感染拡大で一時、停滞を余儀なくされた社会経済活動が活発化してきた。にもかかわらず、依然として動きを大きく制限されているのが大学生だ。県内の大学でも春先からオンラインによる遠隔授業が導入され、対面と遠隔の併用授業が大半を占めた。

 秋以降も引き続き、感染拡大を懸念して遠隔授業を原則とする方針を決めているところから、感染状況を見ながら対面授業に全面移行したいとするところまで取り組みはさまざまだ。

 宮崎市出身で立命館大3年の浅岡佳子さん(20)はフランスでの語学留学を終えて帰省した3月以降、ずっと実家に足止めされている。大学が閉鎖され遠隔授業が始まったためだ。教授によって授業内容に差があり、課題の負担も大きい。大学近くに借りたままのマンションの経済的な負担も気に掛かる。だが、一番つらいのは「友達と直接会って話せないこと。友達の動きが見えなくて、就職活動への焦りが膨らみナイーブになった時期もあった」と話す。

 今春、福岡市内の大学に進学した男子学生は数回、大学に行っただけで自宅待機に。宮崎市の実家に戻ったが、最近は「友達もいないから」と休学や退学を周囲に相談するようになったという。今秋からの留学に向けて休学したものの実現せず、足踏み状態の学生もいる。

 募る孤立感、学業への意欲低下は見逃せない。大学は学生の状況を聞き取り、支援に乗り出してほしい。また、双方向の意思疎通や学外人材の招聘(しょうへい)など、遠隔授業の利点を活用した授業改善も欠かせない。

 文部科学省によると、全国の国公私立大と高専の1069校のうち、遠隔授業を行うのは約85%。同省は「小中学校と違い100人単位の授業が多く、行動範囲も広い」と対面授業に二の足を踏む理由を推測。同省は7月、大学に対し対面授業の実施を促すよう通知し、現在は大学の授業実態を調査中だ。

 大学は学生の声に真摯(しんし)に向き合い、対面授業の再開に向けあらゆる方策を探るべきだ。もちろん感染防止との両立が前提になる。県内でも、授業時間の短縮、身体的距離を確保するための大教室の活用、授業の開始時間を遅らせるなどの対策を重ね、対面授業を早期に再開した大学もある。この大学関係者は「学生のことを考えれば、学習機会の減少は何とか防ぎたかった。やればできる」と話す。

 こうした他大学の工夫を学び取り、学生が欲する質の高い授業と、学生同士で交流できるキャンパスライフを実現させてほしい。少人数や分散登校を含め、新しい時代の学びを支える環境整備を本格化させたい。





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