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[出水女児死亡] 再発防ぐ機能的体制を(2020年9月4日配信『南日本新聞』-「社説」)

 ネグレクト(育児放棄)と虐待認定された出水市の4歳女児が死亡した問題を巡り、県が設置した社会福祉審議会児童福祉専門分科会相談部会は検証報告書をまとめ、塩田康一知事に提出した。

 女児の命を守れなかった原因として、関係機関の連携不足やリスク判断の甘さなどを指摘、児童相談所の体制強化など27項目を提案している。

 児童虐待は全国的に認定件数、通告・相談件数とも急激に増えている。県は再発の防止へ十分に機能する体制づくりを急がなければならない。

 女児は薩摩川内市に住んでいたころ、夜間に1人で外にいるところを警察に4回保護された。警察は児相に児童通告書を2度送付したが、児相は一時保護を見送った。女児はその後、母親と出水市に転居、昨年8月末に亡くなった。死因は溺死疑い。

 報告書は児相の問題点・課題として情報の共有や伝達が適切でなかった点を挙げる。女児に関する記録や警察とのやり取りで記載漏れがあり、引き継ぎ内容も個人の判断に任されていたため、不十分だった。

 さらに、業務が多忙な上、担当者が度々代わるなど誰が担当すべきなのか曖昧だった。こうした現場の状況が複数回保護されてもリスクが高まっていることを認識できず、一時保護の見送りにもつながったと分析している。

 一時保護は親との関係が悪化しかねず、子どもの心理的負担も大きい。難しい判断を迫られるが、「空振り」を恐れない対応も必要ではないか。

 厚生労働省は一時保護の適切なケアや開始・解除の適正な手続きについて検討し、年度内に取りまとめる。リスクを客観的に把握し、援助していくルールづくりが不可欠だろう。

 報告書は児相職員の専門性や対応力の強化を提案する。県は4月までに3児相(中央、大隅、大島)に、虐待の相談や一時保護などを担当する児童福祉司を18人増員した。能力の向上と合わせて待遇改善も図ってほしい。

 関係機関の連携不足も課題に挙げた。薩摩川内市と出水市でリスクが共有されていたとは言えず、警察と児相の間でも夜間保護した回数の認識に食い違いがあった。連携のまずさが対応の遅れを招いたとも言えよう。

 また、各機関の間で責任の所在が曖昧になっていたとの指摘は重い。虐待が疑われる問題が発生したら司令塔となる機関を明確にする必要がある。プライバシーに配慮しながら情報を全ての機関で共有し、切れ目ない支援が求められる。

 県内の3児相への通告・相談は昨年度2468件で前年度の1.5倍になった。地域の協力を得ながら1件1件に丁寧に向き合い、虐待の芽を摘んでいかなければならない。




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Author:gogotamu2019
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