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絶えないコロナ差別/社会をむしばむ悪質な病だ(2020年9月5日配信『河北新報』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染者に対する差別や中傷が後を絶たない。

 感染の怖さだけでなく、感染したことを非難される二重の恐怖にさらされている。そもそも感染する可能性は誰にでもある。感染の責任を取り立てて追及し、非難することは人権と名誉を傷つける見過ごせない行為だ。

 医療従事者やクラスター(感染者集団)が発生した学校や飲食店などの関係者も対象にされている。会員制交流サイト(SNS)上で、匿名の理不尽な誹謗(ひぼう)中傷が相次ぎ、被害者が精神的に追い込まれている。

 差別が続けば、感染者は周囲への影響を懸念し、感染の実態について口をつむぎ、経路解明の疫学調査が進まなく弊害も生じかねない。

 思いやりや寛容の精神といった個人の気持ちの持ちように期待するだけでは、もはや心もとない状況にある。

 卑劣な仕打ちを許さない姿勢を社会全体で明確に打ち出すべきだ。その上で地域社会や学校などで実態と防止策を確認し合い、被害者を置き去りにしない対策を早急に具体化したい。

 最近では、岩手県で初の感染者となった男性と勤務先に対し、電話やメールで非難が集中した。濃厚接触者以外の従業員の家族が、勤務先から検査を求められるなど過剰な反応も目立った。

 サッカー部員ら約100人が感染した島根県の高校は、インターネット上で誹謗中傷され、生徒らの写真が拡散された。ラグビー部員50人以上が感染した奈良県の大学では、部員でない学生も教育実習やアルバイトを断られた。

 お盆期間中には、都内から地方に帰省した男性の実家に、帰省を非難する紙が投げ込まれた。

 さらなる嫌がらせを恐れて、被害を表沙汰にしなかったり、泣き寝入りを強いられたりしている人が多いのではないか。差別がエスカレートしかねないか心配だ。

 実態の分からない感染症を前に、国民は不安を抱えている。新しい生活様式は制約が多く、自粛生活にストレスを感じていら立っていることも背景にあろう。だからといって他人を攻撃することが容認されるはずがない。

 政府は偏見や差別への対策を検討するワーキンググループを設置し、感染症の専門家や弁護士らが議論を始めた。11月に提言をまとめる。

 自治体も対策に乗り出し、茨城県は差別禁止条例を制定する方針だ。岩手、長野県などはSNS上で悪質な書き込みを見つけた場合、その画像を保存する取り組みを始めた。書き込まれた人が名誉を毀損(きそん)されたと訴え、裁判を起こす際の証拠とするためだ。

 相談しようにも、どこでどう対応してくれるのかが分からないのが実情だ。自治体はワンストップで即応する窓口を早急に整えるべきだ。




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gogotamu2019

Author:gogotamu2019
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