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コロナ解雇5万人超 安全網の再構築が必要だ(2020年9月7日配信『中国新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの影響で仕事を失う人が急増している。厚生労働省によると、解雇や雇い止めが8月末の時点で5万人を超えたという。都道府県の労働局などに相談のあった事業所からの集計データであり、事態の深刻さはそれ以上とみるのが相当だろう。

 感染の再流行は峠を越えた感があるものの、生活苦は解消されていないのではないか。安倍晋三首相は「雇用を守ることが最優先課題」としていたはずである。政府は、セーフティーネット(安全網)の対策を見直す必要がある。

 解雇や雇い止めの動きは当初、外出自粛や休業要請のあおりから飲食サービス業や観光業、宿泊業で目立った。その後、小売業、製造業などに広がっている。人数も、広島など14都道府県では千人を超す。雇用環境の悪化が、地方にも広く及んでいる表れといえよう。

 今後の推移を考えれば、「休業者」の多さに目を向ける必要がある。総務省の労働力調査で、職に就いているのに仕事をしなかった就業者を指す。

 緊急事態宣言の出た4月、休業者は過去最多の597万人に激増した。5月末の宣言解除後、経済活動が再開されると、徐々に休業者は減り、7月には220万人に縮小。従業員に休業手当を払った事業所に支給する雇用調整助成金など、政府の支援策が一定に功を奏した側面もあるのだろう。

 しかし、油断してはなるまい。2008年9月のリーマン・ショック後も100万人台で推移したことを考えれば、現状の数字はとても楽観できない。

 それに、解雇や雇い止めに遭った約5万人も恐らく休業者の減少分に含まれている。つまり、休業者はある意味、「失業者」予備軍でもある。

 政府には、コロナ禍による休業者の実態をつかむ努力が望まれる。例えば、雇用調整の対象となった労働者に、男女間、あるいは正規、非正規の違いで格差はないのだろうか。

 格差社会や貧困問題のキーワードとなった「非正規」雇用はこれまで、主として製造業に従事する男性の問題と受け止められてきた。今回は、様相を異にしている。

 外需が落ち込んだリーマンの時に比べ、コロナ禍では内需が傷んでいる。その宿泊業、小売り・飲食といった対面サービス業、観光業などは、いずれも女性の雇用者が6割前後を占める。負の影響を、女性の方がより強く受けている恐れがある。

 実際、4月に非正規が前年同月比で97万人減ったうち、約4分の3は女性だった。7月の完全失業率も、男性の率が3・0%と減ったのに、女性は逆に2・7%と増えている。

 無論、女性や非正規に限るまい。30~40代の「就職氷河期世代」も雇用環境が改善されないまま、10年あまりの時が過ぎている。生計や学費を賄うアルバイトを断たれた学生や外国人労働者も少なくあるまい。

 支援策では既に、雇用調整助成金に約1兆円の支給を決定、実質無利子・無担保融資の資金繰り支援に約24兆円を融資するなど、額は膨大だ。秋以降、コロナ禍が再流行するリスクも依然、残っている。今後も持続可能かどうかも含め、施策の点検と再構築が欠かせない。




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