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合流新党に関する論説(2020年9月11日)

新・立憲民主党 政権選択へ実行力示せ(2020年9月11日配信『北海道新聞』-「社説」)

 立憲民主党と国民民主党などの合流新党の代表に、立憲の枝野幸男代表が選ばれた。国民の泉健太政調会長との一騎打ちを制した。

 党名も枝野氏が提案した立憲民主党に決まった。

 国会議員149人が参加する新党は、2017年9月に分裂した旧民進党の結党時の規模となった。ただ、元のさやに収まっただけとの厳しい見方もある。

 旧民主党の政権転落後、離合集散を繰り返し、失墜した国民の信頼を取り戻すには、今までと何が違うかを明確にする必要がある。

 党綱領案は「共生社会」の構築を掲げ、安倍晋三政権で拡大したとされる格差の解消を打ち出す。

 この理念を実現する具体的な政策を肉付けし、政権の選択肢となり得る実行力を示してほしい。

 枝野氏は代表選で「政治家が自助と言ってはいけない。政治の責任放棄だ」と訴えた。

 自民党総裁選で本命視される菅義偉官房長官のキャッチフレーズ「自助、共助、公助」を批判し、安倍政権の路線継承を強調する菅氏への対決姿勢を鮮明にした。

 手厚い公助で国民の暮らしを支える方策として、枝野氏はベーシックサービスの充実を掲げた。

 人手不足や低賃金に悩む医療、介護分野の底上げを図ると説明したが、どう実現するかは判然としなかった。財源を含め、現実的な道筋を示す必要がある。

 代表選では新型コロナウイルスの感染拡大で冷え込む景気の刺激策として、枝野氏と泉氏がともに消費税率の引き下げを提唱した。

 しかし、枝野氏は税体系全体の見直しの中で財源を考えると説明した。これでは財源不足の懸念は拭えず、どう手当てするのかをもっと具体的に語るべきだ。

 今回、新党に参加しない議員が想定以上に多かった。政権と対峙(たいじ)するには力不足が否めず、他の野党勢力との連携が欠かせない。

 早期の衆院解散が取り沙汰されるだけに、選挙区調整や政権構想づくりを急がなければならない。

 野党勢力は保守系から、自衛隊を違憲とする共産党まで、主義主張の違いが大きい。

 旧民主党も改憲や原発政策を巡って意見が対立し、分裂の火種になってきた。今回も、綱領案の「原発ゼロ」に反発した連合系の議員9人が新党に加わらなかった。

 こうした見解の相違を乗り越えなければ、連携の道は開けない。政権交代可能な二大政党制を再構築する最後のチャンスとの覚悟で臨んでもらいたい。



合流新党の理由(2020年9月11日配信『北海道新聞』-「卓上四季」)

「今の人は朝に東にゆき暮に西にゆき操守なく本領なきをもって囚(とら)えられざる者なりと誤り、かえってその自己の主張によりて変らざるものを固陋(ころう)なりとなす」

▼明治の思想家、田岡嶺雲の晩年の随筆集「病中放浪」の一節である。節操なく変わることを批判したうえで、信念を貫くことを頑固者と見る風潮に苦言を呈したものだが、その警句は世紀を超えても色あせることはないようだ

▼何のために変わるのかが問われている。立憲民主や国民民主の合流のことだ。前回衆院選で分裂した旧民進党勢力が元のさやに収まっただけとの見方もある。連携が否定されるものではないが、選挙対策だけなら離合集散を繰り返したこれまでと変わるまい

▼合流新党の代表選がきのう行われ、党名は立憲民主に決まった。新代表に選ばれた枝野幸男氏は、「ノーサイドではなく、プレーボール。ここから本当の戦いが始まる」と訴えた

▼有権者の共感を得るには、政権交代後のビジョンが欠かせない。路線対立を乗り越えるためにも、徹底した議論に基づく具体像を明示する必要がある。そうでなければ、枝野氏のかけ声も有権者には届かないだろう

▼田岡の金言には前段があった。「自己の主義によりて立ち自己の信念の上に立って、かわらざるは、これを囚(とら)われたる者なりとはいうべからず」。確固たる信条に基づく理念は、いつか人心に響くものである。



合流新党代表に枝野氏/政権担う気概、戦略あるか(2020年9月11日配信『河北新報』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の初代代表に立民の枝野幸男代表が選ばれ、新党の名称も「立憲民主党」に決まった。

 新党にとって間が悪いことに、代表選は安倍晋三首相の退陣表明に伴う自民党総裁選の陰でかすんでしまい、新たな出発を華々しく演出する狙いは外れた。

 それでも少数勢力が分立していた野党に149人の固まりができた意味は大きい。枝野氏には野党勢力をリードし、近い将来予想される衆院選で政権交代を成し遂げる気概と戦略が問われる。

 枝野氏は、命と暮らしを守ることのできる「支え合う社会」の実現を掲げる。代表選の演説で「自民党は新自由主義を掲げ、暮らしに向き合わない政治を進めている」と批判し「もう一つの受け皿としてルールを守り、個人を尊重する立憲主義を掲げ戦う」と訴えた。

 ただ、新党への期待は高くない。共同通信社が8月22、23日に行った全国世論調査で「期待しない」が7割近くを占め、「期待する」は2割にとどまった。

 今月8、9日の最新調査でも、次期衆院選の比例代表の投票先を自民とした人が48.1%だったのに対し、新党は15.7%と水をあけられている。

 新党は2009年の衆院選で政権交代を実現した旧民主党の元メンバーが曲折を経て、再び集まった色合いが濃い。期待を背負って誕生した政権だったが党内のごたごたが絶えず、最後は消費税増税を巡る対立で12年に分裂した。

 有権者はその失望を忘れていない。枝野氏は旧民主党政権で官房長官という要職にあった。教訓を改めて胸に刻むべきだ。

 今回の代表選で、対立候補だった国民の泉健太政調会長は「党内コミュニケーションを活性化させる」と主張した。立民内に枝野氏のトップダウンによる運営に不満が高いことを念頭に置いてのことだ。

 枝野氏は「党内では徹底的に議論する」と述べながらも「決まった方針には従うべきだ。そうでない場合は毅然とした対応を取る」と統制の強化もにじませる。

 枝野氏は17年の衆院選直前に旧民主党の流れをくむ旧民進党が分裂した際、少数の左派やリベラル派議員の受け皿として立民を結党した。並大抵の覚悟ではなかったろう。

 そこから野党第1党にまで育てた自負があるのだろうが、かたくなととられるようではならない。

 党内ばかりではない。大きくなったとはいえ、単独では巨大与党に選挙で太刀打ちができない。次期衆院選に勝つには野党の共闘が不可欠だ。

 そのためには野党第1党が広く門戸を開き、意見が異なるさまざまな勢力をまとめる力が必要になる。その度量が試される。



新党代表に枝野氏 信頼獲得へ結束強めよ(2020年9月11日配信『秋田魁新報』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などが合流して結成する新党の代表選が行われ、立民代表の枝野幸男氏(56)が選ばれた。党名は「立憲民主党」を継承することが決まった。枝野氏は政権交代を目指す決意を表明した。

 衆参国会議員合わせて149人のうち、衆院議員は106人。2009年の衆院解散時に旧民主党は112人だったが、総選挙で政権交代を実現させた。新党も政権交代を目指すからには結束を強め、有権者の信頼を獲得する努力が欠かせない。

 新党の出身構成は現在の立民88人、国民40人、無所属21人。代表選には枝野氏と国民政調会長の泉健太氏(46)が立候補した。枝野氏が107票を得て一騎打ちを制した。

 枝野氏は立民内最大勢力のリベラル系グループを率いる赤松広隆衆院副議長や菅直人元首相、国民の小沢一郎衆院議員、無所属の野田佳彦前首相ら重鎮の幅広い支持を得た。安定した党内基盤を確保し、強い指導力を発揮できる条件が整ったのではないか。

 安倍晋三首相の突然の退陣表明により、自民党の総裁選も行われている。優勢とみられる菅義偉官房長官がスローガンとして「自助・共助・公助」を掲げることを意識し、枝野氏は「政治の役割は公助だ」と強調。対決姿勢をあらわにしている。

 また、新型コロナウイルスの影響で落ち込んだ経済を再生させるため、一時的に消費税率を0%とすることを政府、与党に求める考えを表明。所得再分配の強化に向けた税体系の見直しも主張している。

 菅氏はアベノミクスの継承を訴えている。コロナ禍で企業経営や市民生活が脅かされる中、野党第1党としてアベノミクスを検証するのも務めだ。国会での活発な論戦を期待したい。

 枝野氏の従来の党運営にはトップダウンとの批判もある。代表選では中堅・若手が第3の候補擁立をぎりぎりまで模索。泉氏は「風通しのいい党運営」を訴えた。

 枝野氏は徹底的に議論した上で決まった方針には従ってもらうとして、党内のガバナンス強化を打ち出した。議員の言動がばらばらで足並みの乱れが目立った旧民主、旧民進党時代の反省に立った発言として理解できる面もある。結束を保ちながら、自由闊達(かったつ)な議論を妨げない党運営を目指すべきだ。

 新党は国民の全議員の合流には至らなかった。新党では合流に至るまでのさまざまな立場の違いを乗り越え、どんな事態にも一致団結して行動できるかどうかが問われている。

 衆院議員の任期は来年10月まで。今秋に衆院解散、総選挙が行われるとの見方も浮上している。枝野氏は党役員人事で体制を固め、衆院選の準備を急ぐ必要がある。将来の政権交代を実現できるかどうかの分かれ道という覚悟で、新党を船出させなければならない。



合流新党/信頼をどう得るか問われる(2020年9月11日配信『福島民友新聞』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党と無所属議員2グループの合流に伴う代表選がきのう行われ、枝野幸男立憲民主党代表が新党の代表に選ばれた。党名についても投票で立憲民主党に決まった。衆参合わせて149人の国会議員を擁する野党第1党となる。

 両党などの合流は、政権を担った当時の民主党の再結集とも言える。同党は2009年に政権交代を果たしたものの、相次いだ首相交代や党内の意見対立で支持を失い、12年に下野した。その後も分裂や新党結成を繰り返すなどの混迷が続き、自ら「1強多弱」と評される政治状況をつくってきた面がある。

 民主党が支持を失っていった経過と真剣に向き合い、現政権の対抗軸としての信頼をどう得ていくのか。合流の真価が問われるのはこれからだ。

 枝野氏は代表選で、子育て、教育、医療、介護などの充実、情報公開の徹底などによる政治と行政への信頼回復などを政見に掲げた。新党の綱領案は「立憲主義と熟議を重んずる民主政治」を基本理念と位置づけて、「原発ゼロ社会」や「持続可能で安心できる社会保障制度」を実現していくとしている。

 枝野氏は具体的な日付を挙げながら、近く衆院選が行われるとの見方を示し、政権交代を目指すと強調している。衆院選を見据え、具体的な政策と政権構想をできる限り早く示すべきだ。

 新党に不参加の旧国民所属議員や共産、社民両党などとの連携に向けた協議も、枝野氏の調整力を問う試金石となるだろう。

 代表選では、枝野氏と、国民の泉健太氏とで党内運営を巡る考えが分かれた。枝野氏はリーダーによる統制を強化する姿勢を鮮明にしたのに対し、代表選で敗れた国民の泉氏は風通しを良くし、党員が自由に意見を述べられるようにすることが大事と強調した。

 新執行部は15日の結党大会までに決まる見通しだ。党内融和ができなければ、現政権に不満を抱く層の受け皿となり得ないことを執行部は肝に銘じる必要がある。

 綱領案には「東日本大震災をはじめとする災害からの復興」に取り組むとの文言が盛り込まれた。 新党には、本県関係では、無所属の玄葉光一郎元外相(衆院福島3区)、金子恵美衆院議員(福島1区)と、国民県連代表の小熊慎司衆院議員(比例東北)が参加する。3人には、復興が本県の最重要課題であることを心に刻み、新党の取り組みの充実に向けて力を発揮してほしい。



【新党代表に枝野氏】真価問われる第一党(2020年9月11日配信『福島民報』-「論説」)

 合流新党の立憲民主党代表に枝野幸男氏が選任された。安倍政権が史上最長の7年8カ月に及び、さまざまな弊害も取りざたされた。新生・野党第一党として国民の期待や信頼をどう獲得し、次期政権と対峙[たいじ]するのか。「安倍一強」とされた政治の大きな転換点で、新党を率いる枝野氏の力量は今後の政治の行方をも左右する。

 新型コロナウイルスで冷え込んだ国内経済や国民生活の立て直しについて、枝野氏は一時的に消費税率を0%にするよう与党に求める意向を表明した。医療支援などを含め、現実的な政治を進めるとも述べた。代表選後のあいさつでも「政治に机上の空論や美辞麗句は通用しない」と強調した。国民の支持を得るには、まず財政的な裏付けを含め、実現性と説得力のある対策を示さなければならない。

 本県にとっては、発生十年目を迎えた東日本大震災と東京電力福島第一原発事故への対応が焦点となる。9日の公開討論会では、「被害者の営みを元に戻すソフト施策はこれからが本番」と語った。放射性物質トリチウムを含む処理水の処分を巡っては「強引に進めるのは反対」との見解を示した。

 自民、公明両党の復興加速化本部は同日、処理水の処分方針を早急に決定するよう政府に要請した。隣県知事からは、処理水が本県から放出される事態への懸念が示された。枝野氏は震災と原発事故発生時、民主党政権下で官房長官などの中枢を担った。政府・与党の拙速な動きに歯止めを掛け、被災地の声を国策に反映させる責務がある。新党に合流した本県関係議員の真価も問われる。

 振り返れば、森友問題や「桜を見る会」を巡る疑惑で内閣支持率が急落しても、野党の支持率は低迷を続けた。共同通信社が8、9の両日行った世論調査では、次期衆院選比例代表の投票先として自民党が48・1%を占めたのに対し、新党は15・7%にとどまった。2012(平成24)年の衆院選で自民党が政権を奪還して以降、離合集散を繰り返す野党への不満や批判の表れに他なるまい。

 衆院選は1年以内に実施される。解散時期を巡る臆測も飛び交う。枝野氏は、臨時国会で新型コロナ対策に関する本格論戦を求め、次期政権が解散に打って出るなら受けて立つ考えも示した。実効性のある政策を打ち出すと同時に、党内基盤と他党との連携も強めなければ、掛け声倒れに終わりかねない。国民の信頼も遠のくと、肝に銘じる必要がある。



合流新党代表選出 次のステップに進め(2020年9月11日配信『茨城新聞』-「論説」)

立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の「顔」が決まった。

代表選で、立民の枝野幸男代表が、国民の泉健太政調会長を抑え、党名も枝野氏が提案した「立憲民主党」が選ばれた。選出後、枝野氏は「この1年の間に行われる衆院解散、総選挙を勝ち抜く」と述べ、政権交代を目指す決意を表明した。

新党の規模は衆院106人、参院43人の計149人。衆院だけで見れば2009年の政権交代直前に近づいたが、失った国民の信頼を取り戻すには、分裂と下野、その後の混迷という過去の総括が不可欠だ。

他方、衆院議員の任期は来年10月までで、早期の衆院解散も予想される。「原発ゼロ」をはじめとした政策の具体化のみならず政権の枠組み提示など、早急に次のステップに進まなければならない。

結党大会は15日で、翌日には臨時国会で安倍晋三首相の後任首相が選ばれ、与野党とも新たな態勢がスタートする。後任首相となる自民党新総裁には、菅義偉官房長官が選出される公算が大きくなっている。

枝野氏が率いる新党の前途は多難だ。

自民党総裁選の告示を受けた共同通信の世論調査で、自民の政党支持率は、調査手法が異なるため単純比較はできないものの、第2次安倍内閣以降、最高の50・6%だったのに対して立民は10・7%、国民は1・1%にとどまった。次期衆院選の比例代表の投票先でも自民48・1%。新党15・7%と大きな差がついている。

立民や国民、合流新党がここまで振るわないのは迷走した旧民主党政権時代の記憶がぬぐい去られず、むしろ迷走が続いていると見なされているためだ。

旧民主党は09年8月の衆院選で大勝、政権交代を成し遂げるが、与党時代に消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革を巡って分裂、12年12月の衆院選で惨敗し、野党に転落した。

その後、維新の党との合流に当たって党名を「民進党」に変更したが、離党者が相次ぎ、17年には小池百合子東京都知事が結成した「希望の党」との合流を巡って分裂、枝野氏が立民を立ち上げ、希望はその後、国民となった。

今回の合流でも国民の玉木雄一郎代表ら14人は参加せず、新「国民民主党」結成を目指している。

党勢拡大を目指して代表や党名を変えたり、分裂や合流を繰り返したりしたことが過去の迷走をあらためて思い出させ、逆効果となっていた。

また国民を支援してきた連合傘下の電機連合や電力総連などの産業別労働組合と組織内議員が新党綱領に「原発ゼロ」が記載されたことなどを理由に不参加を決めたことで、連合も股裂き状態に陥っている。

安倍首相は旧民主党政権を「悪夢」と呼んだことに枝野氏らは反発したが、自らの行動が国民の信頼を失わせたことを強く認識しなければならない。

枝野氏が代表選で、景気対策として一時的に消費税率を0%にするよう与党に求める意向を表明、れいわ新選組と共闘の可能性が出てきたことは前進だ。しかし、目指すべき社会像が違うとしてきた共産党と、政権選択である衆院選で、どう連携するのか。解決しなければならない課題は少なくない。



合流新党代表に枝野氏 「反安倍」超えた政策力を(2020年9月11日配信『毎日新聞』-「社説」)

 政治に緊張感を取り戻すため、課せられた責任は重大である。

 立憲民主党と国民民主党などによる合流新党の代表に枝野幸男氏(56)が選出された。党名は、議員による投票で「立憲民主党」が引き継がれた。

 衆参149議員が参加した。安倍晋三首相の「1強」体制下で国会が軽視された要因には、野党の弱体ぶりがあった。巨大な与党に対抗し得る勢力作りに動いたことは理解できる。

 国民民主党は玉木雄一郎代表や旧同盟労組系議員らが参加せず、分裂した。憲法問題やエネルギー政策などで折り合わない以上、合流しないのはむしろ当然だろう。

 合流前に続き、党のかじ取りを担う枝野氏は「先頭に立って政治を変える」と意気込みを示した。

 だが、合流への国民の関心は低く、期待感は高まっていない。伸び悩む両党が局面打開を迫られての選択であり、しかも政権運営に失敗した旧民主党の再結成という印象をぬぐえないためだろう。

 立憲民主党は3年前、「希望の党」に参加しなかった勢力が旗をあげ、衆院選で追い風を受けた。枝野氏は数合わせの再編を否定し、草の根の支持拡大を掲げた。

 しかし、個人商店的運営から抜けきれず支持は広がりを欠いた。最近の世論調査では支持率で日本維新の会に後れを取ったこともある。野党第1党の地位すら危うい状況で、スケールメリットを優先したのが実態だろう。

 何が足りなかったかを枝野氏らは点検すべきだ。党首自ら政策を国民に説明する努力が足りなかった。安倍政権が同一労働同一賃金や子育て支援など分配型の施策を打ち出し、対立軸を明確にできなかったのではないか。

 首相の政治手法を批判し「反安倍」で野党を糾合する戦略も、首相交代で練り直しを迫られる。

 枝野氏は、菅義偉官房長官の「自助」を強調する発言を無責任だと批判した。分配重視で対抗するのであれば、裏づけとなる財源と経済政策が必要だ。社会保障、安全保障など保守、中道層に浸透し得る政策の全体像を示してほしい。

 女性や若い人材の大胆な登用も欠かせない。合流前とは異なると国民が納得できる体制を築かねばならない。



合流新党 現実味のある政策を掲げよ(2020年9月11日配信『読売新聞』-「社説」)

 野党の力不足が指摘されて久しい。新党は、説得力のある政策を練り上げて、政府・与党と対峙たいじする体制を整えられるかどうかが問われよう。

 立憲民主党と国民民主党の一部などでつくる合流新党の代表選が行われ、立民代表の枝野幸男氏が、国民から新党に移る泉健太氏を破った。同時に行われた党名選挙では、枝野氏が主張した「立憲民主党」の継続が決まった。

 新党には立民88人、国民40人、無所属21人の計149人が参加する見通しだ。衆院議員は来年10月に任期が切れる。政権選択選挙である衆院選に備え、野党議員が「多弱」と呼ばれる状況を変えようと結集するのは理解できる。

 枝野氏は代表選後、「総選挙を勝ち抜くために、準備を迅速かつ着実に進めていく」と述べた。

 だが、新党結成の高揚感が広がっているとは言い難い。有権者には、これまでの立民との違いが分かりにくく、単なる「数合わせ」と映っているのだろう。

 政権批判に注力する「抵抗野党」のままでは支持は集まるまい。新党は明確な理念と現実的な政策に基づき、間もなく発足する新政権に堂々と論戦を挑むべきだ。

 枝野氏の代表選での主張は、不安を抱かせる。新型コロナウイルス対応の家計支援策として、消費税の減税や、年収1000万円以下の人の所得税免除に言及した。儲もうかっている企業への増税などで不足する財源を補うという。

 感染症対策で様々な給付が行われ、財政は厳しい。大胆な減税に現実味があるとは言えない。

 米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設計画については、中止すべきだと訴えた。民主党の鳩山政権は「最低でも県外」と主張し、今に続く混乱を招いた。そうした経緯を省みず、移設反対を唱えるのは無責任ではないか。

 一方、62人だった国民は十数人だけとなる。政策を重視する「提案路線」を堅持してもらいたい。民間労組の出身議員らが国民に残ったため、立民は今後、左派色を一段と強めるとの見方は多い。

 今回の野党再編には、国民の小沢一郎衆院議員が深く関わっている。立民の名にこだわる枝野氏に譲歩を促し、国民の議員が求めていた党名投票を実現させた。

 新党には、小沢氏のほか、無所属の野田前首相、岡田克也元外相ら民主党政権の中心にいたベテランが加わる。枝野氏は指導力を発揮し、民主党の負のイメージを払ふっ拭しょくできるのか。中堅・若手の育成にも取り組まねばならない。



枝野新党代表 合流の「原点」を忘れるな(2020年9月11日配信『新潟日報』-「社説」)

 多弱状況の野党を「大きな固まり」にし、「1強」自民党政権に対抗する。そのことによって政治に緊張感を取り戻す。野党合流の原点は、ここにあるはずである。

 新党代表として、それを忘れることなく、国民にとってよりよい政治を実現するため、最大野党のかじ取りをしてほしい。

 政権交代の受け皿となる上で必要な信頼を勝ち取るため、課せられた責任は重い。

 立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の代表選が10日行われ、立民の枝野幸男代表が、国民の泉健太政調会長との一騎打ちを制して初代代表に選出された。

 党名も枝野氏が推す「立憲民主党」に決まった。

 代表も党名も合流前の立民を引き継ぐ形となった。合流した顔ぶれを見ても、旧民主党が離合集散しながらまた固まったとの印象は否めない。

 こうした中で、枝野氏に求められるのは、野党を結集して具体的に何を変えようとするのか、国民に粘り強く訴えていくことだろう。

 枝野氏は代表選の演説の中で、「互いに支え合う社会をつくる」と強調する一方、自民党を自己責任重視の新自由主義だと批判した。

 次期首相就任が有力な菅義偉官房長官が自民党総裁選で「自助・共助・公助」を訴えたことを意識したものだろう。

 安倍晋三首相の辞任を受けた新政権の発足は来週の見通しだ。枝野氏は、首相指名のため16日召集予定の臨時国会について指名だけに終わらせず、本格論戦を求めていくとしている。

 新型コロナウイルス対策や経済再生など目前の課題が山積する中で、当然の主張だが、論戦の機会を得られるかどうかは不透明だ。

 早期の衆院解散もささやかれている。

 枝野氏は代表選でウイルス禍による景気悪化から脱却するため、消費税の時限的な減税など税制見直しを訴えた。

 こうした与党との対立軸について、早急に磨き上げておかねばならない。

 代表選では党運営の在り方も争点となった。泉氏は「風通しの良い党」を訴え、「政策提案型」の政治姿勢を主張した。

 枝野氏の党運営が閉鎖的で、自由な政策議論がしづらいなどと、立民の若手らからも不満が出ていた。指摘を謙虚に受け止め、党運営を改善していく必要がある。

 衆院選に向けては、他の野党との共闘態勢をどう構築するかも大きな課題だ。

 今回の合流を巡っては、綱領案に盛り込まれた「原発ゼロ」に反対する国民の一部議員が離脱し、新たな「国民民主党」を結成する。

 県内の野党は共闘することでこれまでの国政選挙で自民党と互角に渡り合ってきた。

 新党発足を機に選挙への態勢づくりを急ぎ、共闘をより強固なものにできるか。県内組織のリーダーシップも問われる。



「よりを戻す」(2020年9月11日配信『新潟日報』-「日報抄」)

 近ごろはなかなか見かけなくなった。細く切った紙をねじり、ひものようにした「こより」である。漢字では「紙縒り」などと書く。書類をとじる際に空けた穴に通して結んで使う。そんな出番は減り、最近見たのは短冊を結ぶのに使った七夕飾りぐらいか

▼ねじって、らせん状にすることを「よる」という。繊維をねじり合わせて糸を作る際などに使う。「よりを戻す」といえば、ねじれた物事を元通りにすることを指す

▼分裂していた旧民主党系の国会議員らの一部がよりを戻し、新党を結成する。民主党が政権を手にしていた時代は内紛が続いた。与党として機能不全に陥り、有権者の信頼を失った。野党転落後も分裂で弱体化し、安倍晋三首相の1強を許した

▼新党の代表には枝野幸男さんが決まった。党名は「立憲民主党」。現在の立民の代表と党名を継承した形だ。これだけ見ればさほど新党らしさは感じられないが、ともかく一定規模の野党勢力が誕生する

▼よりを戻した新党は信頼を取り戻せるのか。与党だった時代は東日本大震災と原発事故への対応で右往左往した。国難ともいえるウイルス禍に直面する現在、政権を担う力があるかが問われる

▼糸によりをかけると強くなる。よりを戻してつくられる新党は党内に多少ねじれが生じても、それを強さに変えるぐらいのしなやかさがなければ政権奪取などおぼつかない。よりのかけ方によって、布にしたときの風合いや肌触りも違ってくるという。信頼という布を織らねば。



新・立憲民主党 提案力のある国民政党に(2020年9月11日配信『北国新聞』-「社説」)

 国民民主党議員らが加わり、枝野幸男代表が率いる新・立憲民主党が15日に発足し、日本の政党政治は新たな一歩を踏み出すことになった。

 合流新党結成に当たり、枝野氏は「離合集散の歴史に終止符を打つ」と決意を語った。いわゆる55年体制崩壊後、新党づくりが繰り返されてきたが、まっとうに育った政党はほとんどない。

 政権交代可能な二大政党制に対する国民の期待はしぼみ、今回の合流新党結成も有権者の多くは冷めた目で見ている。新生立民党が過去の失敗を教訓にして、政権の受け皿になり得る「国民政党」に成長できれば、緊張感のある、より良い政治が期待できる。

 野党の在り方について、枝野氏と代表選を争った国民民主の泉健太氏は重要な提言を行った。「今の野党は追及は得意だが、国民に政策を訴える努力が不足している」と述べ、「提案型野党」を提唱したことである。

 政権を監視することは野党の重要な役割であり、政権に不正や独善があれば、厳しく追及して当然である。が、これまでは批判のための批判や疑惑を言い募るばかりの傾向にあったのは否めない。批判だけの野党に国民の支持が集まりにくいことは、政党の支持率調査に表れていよう。

 合流新党の綱領案は、従来の立民綱領をベースにまとめられた。「立憲主義と熟議を重んずる民主政治」を基本理念の第一に掲げ、人権を尊重した自由な社会、ジェンダー平等、分散型エネルギー社会と原発ゼロ社会の実現、公正な分配による格差是正などの基本政策を打ち出している。

 立民、国民がそれぞれ2、3年前に策定した綱領から、簡単に新綱領に乗り移る状況に、政党綱領の軽さを思わずにいられないが、今後は、新綱領に掲げた理念や基本政策を、実現可能な具体的政策にどう練り上げていくかが問われる。その過程で、議員の考え方が一様でない「寄り合い所帯」の内部対立が表面化することもあると思われる。それを克服できなければ、旧民主党の轍(てつ)を踏むことになりかねない。



新党立憲民主 転換の道筋をはっきりと(2020年9月11日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 合流新党の名称は立憲民主党に決まり、代表には枝野幸男氏が選出された。

 立憲民主、国民民主両党に無所属議員が加わる新党の代表選が行われた。衆院106人、参院43人計149人の勢力となる。

 代表選後、枝野氏は「いよいよプレーボール。ここから本当の戦いが始まる」と、結束を呼びかけた。有権者の選択肢となり得る自公政権との違いを、具体的な政策で示してほしい。

 立憲が国民に合流を提案したのは昨年12月だった。当初案の吸収合併方式や、党の名称、原発ゼロで折り合わず、合意までに8カ月余を要した。国民の玉木雄一郎代表ら14人は参加を見送り、しこりも残している。

 共同通信の8月下旬の世論調査では、新党に「期待しない」との回答が6割強を占めた。自民党の総裁選と時期も重なり、埋没した感は否めない。

 枝野氏は新自由主義的な価値観からの転換を訴え、「公助こそ政治の役割だ」と主張する。が、個別の課題では歯切れが悪い。消費税減税については「政府、与党に合意を迫るのが現実的だ。やるからには税率はゼロ」と言う。

 脱原発を巡っては「まず依存しないための環境を整える必要がある」。米軍普天間飛行場の閉鎖や日米地位協定の改定は「米国の同意がないとできない。粘り強く交渉する」といった具合だ。

 民主党政権時に掲げた看板政策がことごとくつまずき、政治不信や党の内紛を招いた経験が念頭にあるのかもしれない。

 それでも聞きたいのは、枝野氏が強調する「所得再配分で支え合う社会」を築くため、どのような社会保障政策を整え、財源を確保するのか。米国に偏り過ぎている外交・安全保障のあり方を含めた政治転換への道筋だ。

 新首相が10月にも解散総選挙に打って出るとの観測も浮上する。7年8カ月もの間、安倍晋三政権と対峙(たいじ)してきた野党として、描いた政権構想が試される。

 代表を争った泉健太・国民政調会長は「徹底して開かれた新党とし、若者や女性、障害者らと直接対話して政策に取り入れなければならない」と訴えていた。

 党内では、枝野氏「1強」を重鎮が支える閉鎖的な体制への不満もくすぶる。中堅や若手も積極的に登用し新味を打ち出せるか。枝野代表の手腕が問われる。



合流新党代表に枝野氏(2020年9月11日配信『福井新聞』-「論説」)

政権担当能力どう磨くか

 立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の初代代表に立民の枝野幸男代表が選ばれた。党名も「立憲民主党」を継承することに決まった。ようやく固まった野党第1党は来週発足する新政権への対峙(たいじ)を求められる。政権担当能力をどう磨き、政治に緊張感をもたらすことができるか、本番はこれからだ。

 新党の規模は衆院106人、参院43人の計149人。衆院は2009年の政権交代直前に迫る規模となったが、再び政権交代を果たせるかは甚だ心もとない。自民党総裁選の告示を受けた共同通信社の世論調査で、自民党の支持率は第2次安倍内閣以降、最高の50・6%だったのに対して、立民は10・7%、国民は1・1%止まり。次期衆院選比例代表の投票先でも自民48・1%、新党15・7%と差は大きい。

 失った有権者の信頼を取り戻すには、分裂と下野、そして混迷という過去をいかに総括するかだろう。旧民主党は09年8月の衆院選で大勝し、政権交代を成し遂げたが、子ども手当の創設や高速道路無料化などの目玉政策を打ち出したものの財源不足などで迷走。消費税増税を柱とした社会保障と税の一体改革を巡って分裂、12年12月の衆院選で惨敗し野党に転落した。

 その後、維新の党との合流に際し党名を「民進党」としたが、離党者が続出。17年には小池百合子東京都知事が結成した「希望の党」との合流を巡って分裂し、枝野氏は立民を立ち上げた。一方の希望は国民民主党となった。今回の合流でも国民の玉木雄一郎代表ら14人は参加せず新党結成を目指している。「原発ゼロ」の綱領に対して、電機連合や電力総連などの組織内議員らが反発、連合も股裂き状態にある。

 安倍晋三首相は「あの悪夢のような民主党政権。決められない政治で経済は失速した」などと度々述べた。枝野氏や旧民主幹部らは反発したが、有権者の記憶の中にも深く刻まれ、今なお信頼回復に至っていないことを強く認識すべきだ。枝野氏は「政権を取ったら何もかも変えられるとの印象を与えたのは、一番の反省だ」とした。

 代表選で枝野氏は、新型コロナウイルス禍で社会のもろさが露呈したとして、公的サービスの拡充を訴えたほか、消費税減税にも踏み込んだ。一方で対抗馬の国民の泉健太政調会長が「政策提案型」の姿勢を唱えたのも、有権者の目には立民が「疑惑追及型」一辺倒で政権担当能力がないと映っているとみるからだ。

 新党綱領の冒頭には「『未来への責任』を果たす」とある。旧民主党の負のイメージをぬぐい去り、有権者の期待を集められるかが問われる。



新党代表選/政権選択の対抗軸を示せ(2020年9月11日配信『神戸新聞』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の代表選がきのう行われ、立民の枝野幸男代表が国民の泉健太政調会長との一騎打ちを制し初代代表に選ばれた。党名も投票で「立憲民主党」に決まった。

 新党には衆院106、参院43の計149人が参加する。かつての民主党が2009年の政権交代前に持っていた衆院115議席に迫る勢力が再結集し、政権交代に挑む最低限の態勢は整ったと言える。

 ただ、主要メンバーを見る限り、民主党政権時代から離合集散を繰り返してきた顔ぶれが寄り集まった印象はぬぐえない。加えて、安倍晋三首相の突然の辞任表明で自民党総裁選に注目が集まり、すっかり埋没してしまったのも痛手だった。

 7年8カ月に及ぶ長期政権は、新型コロナウイルス対応の迷走や相次ぐ疑惑の発覚などでひずみをあらわにし、政治不信を高めた。それを許してきた野党の責任は重い。

 その自戒を胸に刻み、新党は結束して国民に分かりやすい選択肢を示さねばならない。

 代表選で枝野氏は、新自由主義からの転換と「支え合う社会」の構築を訴えた。国民の小沢一郎衆院議員、無所属の野田佳彦前首相ら実力者に広く支持され、優位に選挙戦を進めた。泉氏は、新党で少数派となる国民出身者の発言力を確保するために擁立された面があり、苦戦を強いられた。

 ただ、消費税の一時凍結といったインパクトのある政策で野党間の選挙協力を進めるという泉氏の主張は検討の余地があるのではないか。

 泉氏が組織の「風通しの良さ」を繰り返し訴えたのも、枝野氏ら一部重鎮によるトップダウン的な党運営への立民内部の不満を代弁したものだ。枝野氏は謙虚に受け止め、開かれた党運営に努めねばならない。

 有権者の反応は冷ややかだ。共同通信の8月末の世論調査では、次期衆院選の比例代表の投票先は自民党が48・1%で、合流新党は15・7%と大きくリードされている。

 アベノミクスに代わる経済政策をはじめ、新党の綱領に明記した「原発ゼロ」、LGBT支援、選択的夫婦別姓制度など自民党が重視してこなかった課題を現実的な政策として練り上げ、対抗軸に掲げるべきだ。

 コロナ禍で疲弊する医療現場や非正規労働者、困窮学生など苦難に直面した現場の声を丹念に聞き、国会に届ける。野党の役割を地道に果たすのが国民の信頼を得る道だろう。

 16日には臨時国会で新首相が選ばれ、今秋の衆院解散・総選挙も取りざたされる。他の野党との選挙協力協議を急ぎ、政治に緊張感を取り戻す好機としなければならない。



「実力伯仲、いい勝負」(2020年9月11日配信『神戸新聞』-「正平調」)

 作家の車谷長吉さんがあるエッセーで告白していた。プロ野球の巨人が負けた翌朝の新聞を読むのは愉快である-と。うなずくアンチの面々が目に浮かぶ。ひいきのチームが下位に沈んでいたら、なおさらのことかもしれない

◆「強者敗れたり」とたまの敵失に手をたたいて留飲を下げる。それはうっぷんのたまったファンの楽しみ方であって、ほくそ笑んで次の敵失を待つだけのチームに「自力優勝」の文字はない。野球に限らずとも

◆「安倍1強」チームが7年8カ月にもわたって独走できたのは、「自力」の存在感をなかなか示せなかった野党によるところ大でもあろう。離合と集散を繰り返して再三の敵失を生かせず、与党にはなめられた

◆きのう、新代表に枝野幸男氏を選んだ合流新党は「政権を狙う」という。その気概やよしだけど、党名は「立憲民主党」のまま。これまでとは何がどう違うのか、多くの人の「?」に言葉と行動で答えてほしい

◆「国民に好かれたいなら野党の政治家になれ。嫌われる覚悟があれば政権政党の政治家になれ」と竹下登元首相の語録にある。といっても、新党がまずは明確な選択肢を示さないと国民は好きも嫌いも選べない

◆スポーツでも政治でも読みたい記事は-。「実力伯仲、いい勝負」



新生立憲民主党 政権構想掲げ論戦を挑め(2020年9月11日配信『山陽新聞』-「社説」)

 旧民主党勢力を中心に再結集する合流新党の代表に、立憲民主党代表の枝野幸男氏が選ばれた。党名は「立憲民主党」を継続する。衆参あわせて150人に迫る大勢力になる。政権を担いうる政党に再生し、しっかりとした政権構想を掲げて与党に論戦を挑んでもらいたい。

 合流相手の国民民主党で、玉木雄一郎代表ら14人が新「国民民主党」の立ち上げを表明するなど曲折があった。安倍晋三首相の突然の辞意表明により、自民党総裁選が重なり、新党の代表選挙への注目度も低下した。こうしたマイナス材料を考慮しても、野党の柱となる勢力を結集できた意味は大きい。新政権にも緊張感を与えるはずだ。

 枝野氏と国民民主党の泉健太政調会長が争った代表選では、新型コロナウイルスの感染拡大により困窮している生活者対策やコロナ後の景気対策などが議論された。合流後の党内融和を重視してか、具体策に踏み込んだ論争は少なく、泉氏が強く主張した消費税の減税についても生煮えだった。存在感を高めるためにも、具体策を伴う政策議論を披露すべきだったろう。

 気になるのは、論戦の中で東京一極集中の是正や地方創生の議論が乏しかったことだ。国の役割についての言及はあったが、国と地方の役割分担や、地方の活性化についての政策は聞けなかった。

 新党には都市部が基盤の現職議員が多い。都市部には今回の合流を後押しした連合の組合員が多く居住し、傘下の地方議員もいて、実働部隊として選挙運動を取り仕切ってもらうことができる。政権与党の失政やスキャンダルがあれば追い風も吹き、批判票も得やすい。ただ、こうした戦い方だけでは地方の代表としての自覚は生まれまい。

 枝野氏は代表選後のあいさつで、一人一人の議員に地域を徹底的に歩き、コロナに苦しむ声を吸い上げて国政に届けるよう求めた。当然のことではあるが、中央で政党が離合集散を繰り返していては、地方議員も支援者も振り回されるばかりで協力しづらかったろう。新党結成を機に、地方重視に本気で取り組まなければならない。

 新党は来週発足する新政権への対峙(たいじ)が求められる。現任期を考えれば来年中には衆院選がある。国民に信を問うために年内解散もささやかれはじめており、さっそく枝野氏の真価が問われる。

 立憲民主と国民民主に分裂して以降、それぞれが候補擁立の準備を進めた地域もある。候補者の調整は急務だ。新国民民主党をはじめ、共産、社民党など野党各党との共闘についても、早急に方針を固める必要がある。

 7年8カ月にも及んだ安倍政権は終わる。次期衆院選では長期政権のおごりや疑惑の追及を掲げての選挙は通じまい。徹底した政策論争を挑まなければ、国民の共感は得られないと覚悟すべきだ。



合流新党代表に枝野氏 政権に対立軸示せるか(2020年9月11日配信『中国新聞』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などが合流して結成する新党の初代代表に、立民の枝野幸男代表が選出された。党名は立憲民主党を引き継ぐことになった。

 新たに誕生する野党第1党の「顔」と名前を決める選挙でありながら、メディアへの露出も少なめで盛り上がりを欠いた感が否めない。安倍晋三首相の退陣と後継選びに耳目が集まり、埋没してしまった格好だ。

 15日に結党される新党には、国会議員149人が参加する見通しだ。100人を超える野党第1党は2017年9月に分裂した旧民進党以来となる。

 野党勢力が結集して「大きなかたまり」となり、国会に緊張感をもたらす存在になるのなら望ましい。巨大与党の強引な政権運営をしっかり監視する役割を果たすことも期待したい。

 ただ今回の合流の動きを、分裂してばらばらになった旧民進党の再結集にすぎないと感じている国民もいるのではないか。

 共同通信の直近の世論調査でも、政党支持率は立民が10・7%、国民が1・1%と低迷。50%余りの自民党に水を開けられている。新党の政権担当能力にも厳しい視線が向けられていると受け止めなければなるまい。

 民進党の前身である民主党は、国民の期待を集めて政権交代を実現しながら党内抗争に明け暮れ、自壊に至った。

 7年8カ月にもわたり、安倍1強政権の下、「多弱」の政治状況を招いた責任は野党にもある。新党が失われた国民の信頼を取り戻し、支持を広げていくためには乗り越えるハードルは多い。

 代表選で、枝野氏はコロナ禍で社会のひずみが露呈したとし、新自由主義からの決別と「支え合う社会」の構築を訴えた。過度な自己責任論を見直す重要性も強調し、自民党総裁選で「自助・共助・公助」を掲げる菅義偉官房長官を批判した。

 新党の綱領案には、原発ゼロ社会の実現や公文書管理と情報公開の徹底なども盛り込んでいる。今の自公政権の対立軸になりうる内容と評価できる。

 問題はこうした理念や方針をどう具体的な政策に落とし込んでいくかである。今の自公政権に飽き足らない有権者の心をつかむためには、実現可能な選択肢と新たな政権の形を示す必要がある。

 合流協議を巡って生じた「しこり」も気掛かりだ。国民の国会議員62人のうち玉木雄一郎代表ら22人が新党に加わらなかった。玉木氏は、新「国民民主党」の結成を目指している。

 不参加組には、新党の綱領案にある「原発ゼロ」に反発した連合傘下の産業別労組の組織内議員9人も含まれている。立民と国民の最大の支持母体である連合も「股裂き」状態に陥っている。

 早期の解散・総選挙も取り沙汰されている。政権批判票の受け皿を作るには、野党間の選挙協力が欠かせない。新党には、野党を束ねる中心的な役割が求められる。

 枝野氏は「一緒にできる最大限の協力をしようとの姿勢で臨む」と述べる。玉木氏らの新党はもちろん、共産党や社民党、れいわ新選組などとの協議も急ぐ必要がある。

 これまでの野党共闘をどう深化させるかが課題だ。枝野氏の調整力が問われることになる。 



合流新党 1強多弱を脱し政権の選択肢に(2020年9月11日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などで結成する合流新党は初代代表に立民の枝野幸男代表、名称は「立憲民主党」に決まった。代表選は新党に参加する149人の国会議員が投票し枝野氏は107票、国民の泉健太政調会長は42票だった。15日に結党大会を開く。

 100人を超える野党第1党は、2017年10月の衆院選前の「希望の党」合流騒動で旧民進党が分裂して以来の規模となる。安倍1強体制の長期政権で多くのゆがみを招いてきた責任は野党にもあり、「1強多弱」の脱却を図る必要がある。16日の臨時国会で指名される安倍晋三首相の後任首相と対峙(たいじ)し、政権の選択肢となりうる党を作っていかねばならない。

 枝野氏は新型コロナウイルス禍で社会のひずみが露呈したとして新自由主義から「互いに支え合う社会」への転換を提唱、コロナ禍の対策として消費税の時限的減税などを訴えてきた。次期首相就任が有力視される菅義偉官房長官の主張する「自助・共助・公助」への対抗姿勢を鮮明にしている。

 19年9月に立民、国民、社民3党などが統一会派を組み、首相主催の「桜を見る会」や検察庁法改正案の追及に一定の成果を上げ、12月に枝野氏が国民に合流を提案したがなかなか協議はまとまらなかった。これまでの枝野氏「1強」の党運営に中堅・若手から不満があり、合流新党の代表選に「第3の候補」の擁立を目指す動きもあった。

 代表選で枝野氏の陣営が「圧勝」の目安とする3桁の得票に達したものの、これまでの経緯を踏まえ風通しの良い党運営や党内融和を図る必要があろう。09年に発足した旧民主党政権は迷走し3年余りで下野した。その後、離合集散した同じ轍(てつ)を踏むようなことがあってはならない。

 自民党総裁選を受けた新政権発足後、早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰されている。今月8、9両日に共同通信社が実施した世論調査で自民の政党支持率は50.6%に上っている。次期衆院選の比例代表の投票先は自民48.1%、合流新党15・7%、合流新党に参加しない国民の玉木雄一郎代表らが結成する新「国民民主党」は0.5%だった。合流新党に「一定の期待感が示された」との見方があるものの、自民と大差がついていることが浮き彫りになった。

 巨大与党の対立軸としてより存在感を示すには、野党が結集し大きなかたまりとなることが必要だ。国民に所属する連合の組織内議員9人は新国民と、当面無所属で活動し、合流新党を支援する方針を固めた連合との「ねじれ」も鮮明になった。枝野氏は新国民と連携を目指す意向を示している。合流新党は合流協議での確執などを越え、野党間の連携や共闘の態勢づくりを進めていくことが急務だ。野党第1党としての真価と枝野氏のリーダーシップが早速問われることになる。



【合流新党】信頼できる政策を早く(2020年9月11日配信『高知新聞』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の代表選が行われ、立民の枝野幸男代表を初代代表に選出した。党名も「立憲民主党」に決まり、15日に結党大会を開く。

 新党には現段階で立民から88人、国民40人、無所属21人の計149人が加わっている。100人超の野党第1党は旧民進党が分裂して以来で、巨大与党と対峙(たいじ)する「大きな固まり」とはいえるだろう。

 枝野氏は代表選の後、「緊張感とリアリズムを持って自民党と向き合う」と述べ、政権の選択肢をつくる決意を示した。

 ただ、顔ぶれからは離合集散を繰り返してきた旧民主党勢力が再び結集した印象を拭えない。

 国民の信頼を得て選択肢となるためには、やはり具体的で実現可能な政策や理念を早く明示し、「安倍路線」とは別の道があると説得力を持って示す作業が欠かせまい。

 代表選で枝野氏は、自助や自己責任を強調する新自由主義からの転換と、再分配機能の回復など「支え合う社会」の構築を訴えた。

 安倍晋三首相の後継が有力視される菅義偉官房長官が、自民党総裁選で「自助・共助・公助」を掲げているのを意識してのことだろう。

 新型コロナウイルス対策の強化や森友学園問題の再調査、公文書管理の徹底を提起したのも、安倍政権の迷走や「負の遺産」を踏まえた世論へのアピールといえる。

 一方で、代表選の論戦では断片的であり、具体的な道筋がまだ伝わってこない政策も少なくない。

 例えば、コロナ禍で冷え込んだ景気対策として、消費税率を一時的に0%にするよう与党に求めると踏み込んだ。所得の再分配機能の強化に向けた税体系の見直しでも、所得税の時限的減免や金融資産課税などの強化に言及している。

 コロナ禍が社会のひずみをあらわにし、大胆な財政の手当てが必要なのは間違いない。だが、社会保障の財源をどう確保するのかなども責任を持って示す必要があろう。

 新党の綱領案に盛り込んだ「原発ゼロ」も、太陽光や風力発電が普及しきれない中、代替電源をどう描くのかが課題であり続ける。

 外交・安全保障面では、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設中止を明言した。ならば代案はどうするのか。
 一つ一つ説得力を持った政策を示すことが旧民主党の負のイメージを払拭(ふっしょく)し、政権担当能力の評価につながるのではないか。

 自民党総裁選を巡っては、新首相就任後、早々の衆院解散・総選挙も取りざたされている。

 政権批判票が分散して与党を利する展開を繰り返さないよう、野党間の共闘態勢をどう築くのか。新党内の意思統一や、新しい国民民主党、共産党などとの協議でも枝野氏の力量が問われよう。

 1強多弱の下で政治に緊張感を失わせた責任は野党にもある。それを自覚した新党の構築を求める。



魔術(2020年9月11日配信『高知新聞』-「社説」)

 作家の本間之英(ゆきひで)さんは名門企業の歴史を分析し、こんな見立てをしている。創業者らが夢や願いを込めて社名を付けることで、その企業は「事業が思い通りの姿へと成長していく」。

 まさに「名は体を表す」ということだろうか。例えば「カルビー」。戦後、日本人に不足していたカルシウムとビタミンB1を補える菓子を提供しようと、社名も二つの栄養素から一部を取って命名した。そうして、あの「かっぱえびせん」が生まれたという。

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 社名は世間の企業イメージを左右するのはもちろん、経営者や社員の姿勢にも影響する。本間さんは命名というのは「人間が行うあらゆる行為のなかで、もっとも効果のある“魔術”」だと述べる。

 立憲民主党と国民民主党などの合流新党は党名が立憲民主党に決まった。代表には立憲の枝野幸男代表が選ばれた。野党第1党の大きな動き。本来ならもっと世間の注目を集めてもよいはずだが、離合集散の影響なのか有権者の視線は冷ややかだ。

 世論調査では公文書問題など安倍政治に疑問を感じている国民は多いが、野党の支持率は伸び悩んでいる。これでは与党も緊張を欠き、首相が交代しても負の側面が継承されかねない。

 「いよいよプレーボール」と意気込みを語った枝野代表。どんな政党、政策を目指すのか、有権者への発信はもちろん、在籍する議員も意思統一する必要があろう。魔術の効果を見せてほしい。



野党の合流新党 「政権の選択肢」になるか(2020年9月11日配信『西日本新聞』-「社説」)

 次の首相選びに直結する自民党総裁選と同時進行になり、影が薄かった面は否めない。国民の期待感が一気に高まったとも言い難い。それでも野党の合流新党が存在感を示し、政治に緊張感を呼び戻す契機となるのなら意義はあると評価したい。

 野党第1党の立憲民主、第2党の国民民主両党などが結成する新党の代表選が行われ、立民の枝野幸男代表が国民の泉健太政調会長との一騎打ちを制し、初代代表に選ばれた。新党名も投票の結果「立憲民主党」に決まった。

 新党参加の国会議員は約150人の規模に及ぶ。少なくとも数の上では「1強多弱」と呼ばれる閉塞(へいそく)的な状況を打開する足掛かりはできたと言えよう。

 にもかかわらず、国民から見て「これで政治が変わる」という高揚感に乏しいのはなぜだろう。本をただせば、旧民主党-民進党から四分五裂した勢力が紆余(うよ)曲折を経て元のさやに収まったにすぎない。そんな既視感を多くの有権者が抱いているからではないか。

 枝野氏は「自助や自己責任を押し付ける新自由主義的社会を転換し、再分配機能を回復させて国民の命と暮らしを守り、支え合う社会をつくる」と打ち出した。この発言が、自民党総裁選で「自助・共助・公助」の基本理念を掲げ、圧倒的優位とされる菅義偉官房長官を意識しているのは指摘するまでもない。

 また枝野氏は「公文書管理と情報公開を徹底させ、信頼され機能する政府を目指す」と力説した。巨大与党に支えられ7年8カ月の長期政権を築く一方、森友・加計(かけ)学園問題や「桜を見る会」を巡る疑惑とともに、公文書の改ざん・隠蔽(いんぺい)・廃棄が問題視されてきた安倍晋三首相の政治姿勢との違いを際立たせる狙いなのだろう。

 「政権の選択肢になる」と宣言する以上、現政権との対立軸を鮮明にするのは当然だ。同時に、新党の立憲民主党と枝野新代表に求めたいのは、旧民主党政権の挫折と教訓を踏まえ、憲法や外交、安全保障など基本政策を共有した上で、現実的な政策論議を積み重ね、実践していくことだ。喫緊の新型コロナ禍への対応は、代表選でも論点となった消費税の減税も含めて具体化を急いでほしい。

 もう一つの注文は地方組織の充実と地方議員の拡大だ。今回の代表選は国会議員だけの投票だった。これは政権を目指す政党として正常な姿ではない。国会議員の「数の力」だけに頼らず、地方の声を聞いて党運営や政策に反映させる「足腰の強い政党」を目指すべきだ。



「ベイカー・ベイカー・パラドックス」というそうだ…(2020年9月11日配信『西日本新聞』-「春秋」)

 「ベイカー・ベイカー・パラドックス」というそうだ。ある人の顔や職業は思い出せるのに名前が出てこない状態。「前にあのドラマに出てた、今度結婚する、ほら、あの俳優なんだけど…」というような

▼パン屋(ベイカー)のベイカーさんの職業は思い出せるが、名前が出てこない-という笑い話から生まれたとか。こちらも「前に民主党だった、今度合流する、ほら、あの政党…」と言われかねない。名前も覚えきれぬほど離合集散を繰り返してきた野党勢力である

▼ざっとおさらい。旧民主党と自由党の合流で生まれた民主党は2009年、政権交代を果たしたが、12年の総選挙で惨敗し野党に転落。維新の党と一緒になって民進党に改称した

▼17年の総選挙。小池百合子東京都知事が希望の党を立ち上げる一方、枝野幸男代表の立憲民主党が発足。両党への移籍組、残留組で民進党は分裂。選挙後、民進、希望の両党は合流して国民民主党に。これに自由党も加わった

▼この迷走に終止符が打たれるか。立憲民主、国民民主党が合流することになり、枝野氏が新代表に、新党名は立憲民主党に決まった。巨大与党に対抗できる勢力に-というが、元に戻っただけのようにも

▼パラドックスは正しいと思われる考えが逆の結果を導いてしまうこと。今回は再編のパラドックスに陥らず、党名と代表名、理念・政策がぱっと浮かぶ二大政党の一方になれるか。



問われる合流新党の覚悟(2020年9月11日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 首相に指名された日、こう記されていた。「人事を尽くして天命を俟(ま)たず、天命に安んじて人事を尽くすのみ」

◆1993年8月、政治改革を掲げた非自民の連立政権で首相に就いた細川護煕(もりひろ)さんの『内訟録(ないしょうろく) 細川護煕総理大臣日記』にある。「どんな運命だろうと受け入れ、全力でやり遂げる」という決意だろう。言葉通り、細川政権は小選挙区制や政党助成金などを実現し、歴史を動かした

◆立憲民主と国民民主の「合流新党」の代表にきのう、枝野幸男さん(56)が選ばれた。勢力を広げた野党第1党の代表選だったが、自民党総裁選に埋没した感じだった。しかも、新党に合流しなかった議員が近く、「国民民主」の分党を立ち上げる。何がどうなっているのか有権者には分かりにくい

◆枝野さんは93年、細川さんが日本新党を立ち上げる際の公募に応募し、衆院議員に当選した。信条が似通う部分もあるだろう。「立憲」の言葉を入れた新党で善戦した3年前の総選挙を思い出す

◆『内訟録』には「日本の政治はダメだなどと口先で何百万遍唱えてみても、世の中は1ミリも動きはせぬ。あるのはただ自らの覚悟のみ」とも記される。政権交代可能な野党となるのか、「単なる数あわせだった」と評されるのか。与党内からは10月解散の声も聞かれ始めた。枝野さんの覚悟が問われる。



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合流新党始動(2020年9月11日配信『長崎新聞』-「水や空」)

 合流して結成される新しい党だから「合流新党」-考えてみれば、身もふたもない呼称なのだが、そうとしか呼びようがなかった。政党の名前は、その党が最重視する価値であることが多いのに。国民に向けて発する最初のメッセージでもあるのに

▲その党名は立憲民主党に、新党の代表は枝野幸男氏に決まった。所属議員は衆参149人。元のさやに戻っただけか、一周まわって新しくなれたか。見極めには時間が必要だが、体裁は整った

▲代表選で敗れはしたものの、泉健太氏の「政治が『自助』を叫ぶのは責任放棄」は、言われてみればなるほど、と感じさせる主張だ。もちろん、自民党総裁選で「優位」とされる菅義偉官房長官の「自助・公助・共助」をチクリと攻撃したもの

▲野党側の合流協議のさなかに、安倍晋三首相の突然の退任表明が重なり、自民党と野党第1党の顔が期せずして同じ時期に変わる。ただ、このたまたまのタイミングは野党への注目度にも追い風に働いた印象だ。政治の新しい局面が始まるのかも-と

▲囲碁や将棋のタイトル戦では、挑戦者が先に着座するのが作法とされる。居ずまいを正し、静かに呼吸を整えて相手を待つ。さあ真剣勝負

▲図式がどこか似ている気が…という思いつきが錯覚や的外れでないことを切望しておく。



枝野・合流新党 「大きな器」となり得るか(2020年9月11日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の代表選は10日、投開票され、立民の枝野幸男代表(56)が、国民の泉健太政調会長(46)との一騎打ちを大差で制し、初代代表に選出された。党名も多数を占めた「立憲民主党」に決まった。

 分裂前の旧民進党並みの規模を確保し、数の上ではもくろみ通り与党に対抗しうる「大きな固まり」となった新党である。「ここから本当の戦いが始まる」と政権交代を目指す決意を表明した枝野氏が、リーダーとして「大きな固まり」をまとめ上げ、与党に代わる民意の受け皿を形成する「大きな器」となり得るのか。その器量が改めて問われる。

 代表戦で枝野氏は、新型コロナウイルス禍で社会のひずみが露呈したとして、自己責任を強調する新自由主義から脱却し、「支え合う社会」を構築することを訴えた。自民党総裁選で優位に立つ菅義偉官房長官を意識し、菅氏が掲げる「自助、共助、公助」のスローガンに対立軸を示してみせたのだろう。

 政策提案型の姿勢を主張した泉氏も、代表選の演説では「政治が自助を叫ぶのは責任の放棄だ。公助を充実させるのがわれわれの政党だ」とし、枝野氏に同調する姿勢を示した。

 合流時に明確な一致を得ることができなかった時限的な消費税減税についても、枝野氏、泉氏ともに容認する姿勢を示し、立民、国民をそれぞれ代表した両氏の主張は、当初の懸念ほど隔たりはなかったという印象だ。

 ただ、この合流新党に向けられる視線は依然、厳しいことを枝野氏は、自覚しておくべきだ。共同通信が先月22~23日に実施した世論調査では、安倍政権が支持率を大きく下げたにもかかわらず、合流新党に「期待しない」は67・5%に達していた。

 自民に代わる受け皿として期待を集めて政権を握った旧民主党の分裂、下野、そしてその後の混迷ぶりは、深く有権者の記憶に刻まれている。失った信頼を取り戻すには、何を間違えたのかを党内で共有する総括が不可欠だろう。

 その反省の下で、枝野氏は党の運営を進めるべきだ。原発や憲法改正などの政策も一致させ、与党との明確な対立軸を打ち立て、目指す政権の形を示すことが求められる。それができなければ「単なる数合わせ」とのそしりを再び受けることは間違いない。

 党内運営だけでなく、他の野党との連携も重要課題である。新首相の下での早期解散説も出て、本格的な国会論戦より先に選挙戦を迎える可能性もある。

 合流新党に参加しなかった国民民主党の議員も含め「引き続き連携して戦っていきたい」とし、「衆院を解散するなら正面から受け止めて国民の選択肢になる」と強調した枝野氏が、他野党と広く連携し、選挙協力態勢まで速やかに整えることができるのか。準備期間はあまりないことを覚悟しておくべきだろう。



[合流新党代表選] 目指す政権の形 明確に(2020年9月11日配信『南日本新聞』-「社説」)
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 立憲民主、国民民主両党などが結成する合流新党の代表選で、立民の枝野幸男代表が国民の泉健太政調会長との一騎打ちを大差で制し、初代代表に選ばれた。同時に行われた投票で党名は「立憲民主党」に決まった。

 新党には衆院106人、参院43人の計149人が参加する見込みで、衆院だけで見れば政権交代前の旧民主党並みの規模になる。数の上では与党に対抗する「大きな固まり」が誕生する。

 安倍晋三首相の突然の辞任表明で政界は一気に動きだした。16日には臨時国会で後任首相が選ばれる予定で、早期の衆院解散の臆測も飛び交う。

 7年8カ月に及ぶ安倍長期政権が後半、緩みを生じた理由の一つに、政権交代可能な野党の不在で政治に緊張感が失われたことがある。新党は「自公」に代わり得る新たな政権の形を早急に示さなければならない。

 合流は立民、国民ともに政党支持率の低迷が続くことから昨年末に浮上した。いったん見送られたが、今年7月に再び協議が始まった。安倍政権が行き詰まりの様相を呈する中で、野党の分立状態を解消し、政権選択の衆院選への備えを迫られたからだ。

 しかし、両党の幹事長が一定の合意に達しながら、国民の玉木雄一郎代表らは理念や政策の違いなどを理由に分党することになった。連合の組織内議員も新党綱領案に「原発ゼロ」が明記されたことで不参加を決めた。

 結党大会が急きょ15日に日程変更を余儀なくされるなど自民党総裁選の影響で埋没した感もあり、決して順調とは言えない新党の船出である。

 共同通信社が8、9日実施した世論調査でも次期衆院選の比例代表投票先に新党を挙げた人は15.7%。8月末の立民、国民合わせた数字よりは若干上昇したが、半数近い支持を得た自民には大きく水をあけられたままだ。

 背景には源流である旧民主時代から内紛を続け、分裂や対立を繰り返したマイナスイメージを払拭(ふっしょく)できていないことがある。失った信頼を取り戻すには、過去の総括が欠かせまい。

 その点で枝野氏が代表選を通して失敗を認め、「内部では徹底議論するが、外に向かって自分を正当化するような発信をしないと徹底する」と党運営の改善を約束したのは評価できよう。

 枝野氏は代表に選出後、昨年から衆参両院で組んだ統一会派が検察庁法改正案の追及などで成果を上げたとして早速、今回不参加だった国民議員も含め、幅広く他の野党に共闘を呼び掛ける考えを明らかにした。

 新代表には今後すぐに地方組織の再編や連合との協議が待ち受ける。当初慎重だった時限的な消費税減税も打ち出した。批判だけではない、政策を伝えられる野党の姿を示せるかが新党の浮沈の鍵を握っている。



新「立憲民主党」 国民本位の政策を示せ(2020年9月11日配信『琉球新報』-「社説」)

 立憲民主、国民民主の両党などが結成する合流新党の代表に枝野幸男氏が選出された。新党は「立憲民主党」に決定した。衆参両院を合わせて149人の最大野党となる。

 「安倍1強」といわれる政治状況が続き、行き過ぎた官邸主導を危ぶむ国民は多いはずである。単なる合従連衡ではなく、国民の声に耳を傾け国民本位の政策を確立することができるのか。代表としての手腕が問われる。

 代表選で枝野氏は、新型コロナウイルス禍で社会のひずみが露呈したとして新自由主義からの転換と「支え合う社会」の構築を訴えた。代表選後に「国民生活の現場」を大切にし「国民と共に闘う」姿勢を示した。

 安倍政権は、特定秘密保護法の制定や集団的自衛権の限定的行使を認めた閣議決定、安全保障法制など、多くの国民の反対や慎重審議を求める声を無視し、数で押し切る政治手法が際立った。

 安倍晋三首相の後継を決める自民党総裁選を巡り、5派閥が雪崩を打って菅義偉官房長官支持を決めた。安倍1強に代わって派閥政治が復活するのであれば、立憲政治は危機に瀕する。最大野党として政策論争を通じて国会を機能させなければならない。

 安倍政権の経済政策「アベノミクス」によって日銀が金融を緩和し株価を押し上げた。しかし、大企業や個人投資家は消費ではなく、内部留保や貯金に回していると批判されている。個人消費はこの20年でほぼ横ばいだ。地方経済にとってアベノミクスは何ら影響がないとの意見もある。

 アベノミクスの「最大の成果」は雇用改善とされる。しかし増加したのはパートなどの非正規労働者である。コロナ禍によって解雇や雇い止めが全国で5万人に上っている。

 自民党総裁選を争う石破茂元幹事長、菅官房長官、岸田文雄政調会長の3氏はアベノミクスをおおむね評価している。立憲民主党は格差是正にどう取り組むのか。アベノミクスに代わる経済政策を示さなければならない。

 沖縄にとって最大の懸案である名護市辺野古への新基地建設問題に、立憲民主党はどう向き合うのか。

 安倍政権は国政選挙、知事選挙、県民投票によって繰り返し示された新基地反対の民意を無視し、基地建設を強行してきた。

 民主党政権時代、鳩山由紀夫元首相が「最低でも県外」移設を掲げたが結局、県外移設は実現できなかった。

 日本記者クラブ主催の公開討論会で枝野氏は、米海兵隊が西太平洋地域で巡回することに意味があると説明した上で「米海兵隊の新基地を造らず、同時に普天間の危険を除去することは十分に可能だ」と述べ、対米交渉をして辺野古新基地を見直す方針を示した。民意に耳を傾ける政治を実現できるかどうか。県民は立憲民主党の動向を厳しく見ている。



[合流新党代表に枝野氏]明確な対立軸打ち出せ(2020年9月11日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

 立憲民主、国民民主両党などでつくる合流新党のかじ取り役に立民の枝野幸男代表が選ばれた。新党に参加する国会議員らによる投票で、立候補した国民の泉健太政調会長を大きく引き離し当選した。

 新党名は枝野氏が提案した「立憲民主党」に決まった。

 枝野氏は「ここから本当の戦いが始まる。国民の選択肢となる」と述べ、政権交代を目指す決意を表明した。野党第1党の運営を担う責任は重い。

 代表選で枝野氏は、消費税減税や新型コロナウイルス感染拡大で重要性が増した医療や介護、保育などサービスの充実、多様性を認め合う共生社会の実現などを主張してきた。

 野党勢力の結集を政権奪還に向けた受け皿として機能させるためには、これらの主張のほか、経済、外交などの主要政策を有権者に示し、与党への対立軸をより明確にすることが求められる。

 そのためには、党運営の手腕も問われる。

 旧民主党政権の終了後、離合集散を繰り返したことで、有権者の政治不信を招いた。安倍政権下で「1強多弱」を許した責任もある。こうした反省を踏まえ、党内の多様な意見を吸い上げるとともに、党内結束を図る統率力を発揮してほしい。

 国会ではこれまで、森友学園への国有地売却問題や「桜を見る会」など安倍政権下の疑惑を追及してきた。疑惑の追及はもちろん必要だが、新党には政策論争を深め、政権奪還に向けた将来像を国民に示す役割がある。

■    ■

 枝野氏は、名護市辺野古の新基地建設について、9日の公開討論会で「新基地を造らず、普天間飛行場の危険性を除去することは可能」と述べ、米側と協議する考えを示した。

 現政権と違って民意を反映させる姿勢を示した。

 普天間飛行場の返還は1996年の日米合意から24年たっても実現していない。軟弱地盤の改良工事で、工期は当初の8年から12年に延び、返還は2030年代半ばにずれ込む。国の言う「一日も早い普天間の危険性の除去」はすでに破綻している。

 枝野氏は、米国との丁寧な交渉で工事を止めることは可能とする。ただ、工事の即時中止は困難視し、「即時交渉に入ることが責任ある態度だ」と述べている。

 対米交渉に意欲を見せるが、具体策は示していない。姿勢だけではなく、沖縄の民意に正面から向き合い、解決への道筋を示すべきだ。

■    ■

 新型コロナによる経済格差拡大をはじめ暮らしを取り巻く問題への対応など、国会での野党の役割は増している。

 野党には少数意見を吸い上げ、多数派の行き過ぎをチェックすることも求められる。民主主義を健全に機能させるためにも監視役を十分に果たしてほしい。

 早期の解散総選挙が取り沙汰される。新「立憲民主党」を有権者にどう分かりやすく示していくか。新党に不参加の議員や野党間の連携も必要だ。野党第1党としての真価が問われる。
















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