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「大崎」再審棄却 救済の扉を狭めぬよう(2019年7月5日配信『北海道新聞』ー「社説」)

 無実の人の救済に道を開く再審の扉を重くしないか。そんな懸念を拭えない判断だった。

 鹿児島県で1979年に起きた「大崎事件」の再審請求審で、殺人罪などで懲役10年が確定し服役した女性について、最高裁は請求を棄却する決定を出した。

 地裁や高裁などの下級審が認めた再審開始の決定を最高裁が取り消すのは異例だ。

 弁護団が新証拠として提出した被害者の遺体の鑑定結果について、最高裁は、無罪を言い渡すべき明らかな証拠とはいえないと判断した。

 通常、憲法違反や重大な判例違反を審理する最高裁が、再審を巡る事実認定に踏み込むのは違和感がある。3回目となった再審請求に背を向けず、再審公判に委ねるか、高裁に差し戻すべきだった。

 「疑わしきは被告人の利益」が刑事裁判の鉄則である。その原則は、再審を開始するかどうかの判断にも適用される。

 今回の最高裁決定が、再審の門を狭めるようなことがあってはならない。

 弁護側は、死因とされた窒息死の典型的症状が遺体になく、転落事故による出血性ショックの可能性が高いと主張。最高裁も、事故死の見解を科学的推論に基づく仮説として尊重すべきだとした。

 にもかかわらず、鑑定した法医学者が直接遺体を見ておらず、写真などに基づいたものだとして、死因を認定するほどの証明力はないと結論づけ、新証拠と判断した高裁支部決定を取り消した。

 最高裁は75年の「白鳥決定」で「新証拠と確定裁判の旧証拠を総合評価し、確定判決の事実認定に合理的な疑いが生じれば再審を開始すべきだ」と緩やかな基準を示し、再審の門を広げた。

 鑑定の経緯に重きを置き、新証拠と認めなかった今回の最高裁の判断は、白鳥決定にも反する。

 近年、多くの冤罪(えんざい)事件を通じて露見した法の不備を補おうと、再審をより容易にするような法整備を求める声が上がっている。

 今回の最高裁決定が、そうした改善の機運に水を差すような事態は避けたい。

 今後の再審請求審で、DNA型鑑定など決定的証拠を求めるような形で、下級審が萎縮することも懸念される。

 再審開始決定の判断に当たり、過度に厳格な基準の適用が定着することになれば、再審が「開かずの扉」といわれた時代に逆戻りしかねない。

最高裁、大崎事件の再審認めず➡ここをクリック(タップ)




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Author:gogotamu2019
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