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自民党総裁選に関する論説(2020年9月12日)

自民党総裁選 外交・安保 対米偏重是正の議論を(2020年9月12日配信『北海道新聞』-「社説」)

 いま日本の外交・安全保障で問われているのは、安倍晋三政権が進めた対米追従と、憲法の平和主義を逸脱した政策にどう歯止めをかけ、是正するかだろう。

 自民党総裁選では、米製の高額な防衛装備品購入や、米軍と自衛隊の一体化など、一連の対米政策を検証する議論が欠かせまい。

 だが菅義偉官房長官、岸田文雄政調会長、石破茂元幹事長の3氏は大きな路線変更はしない考えだ。外交の基軸である対米政策の問題点に向き合わないのは、責任ある態度とは言えない。

 一方、安保を巡る直近の懸案は、歴代政権が否定してきた敵基地攻撃能力の保有についてだ。

 首相はきのう、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」計画の断念に伴う新たな安全保障政策に関する談話を発表した。

 敵基地攻撃能力の保有を念頭に、ミサイル阻止に向けた方策を年内に示す考えを明らかにした。

 保有すれば、日本が盾、米国が矛とする役割分担が根本から変わり、安保政策の大転換となる。

 ましてや次の政権が判断すべき政策を縛る権限はないはずだ。

 そもそも、相手国の攻撃着手を確実に見極めることは難しい。

 石破氏は「軍事合理性から判断されるべきだ」と拙速な保有に懸念を示し、岸田氏も「現実的な対応ができるか議論する」と慎重な物言いにとどめている。

 総裁に本命視される菅氏は与党の動きを注視する姿勢を示し、必ずしも容認に否定的ではない。

 戦後日本の国是である専守防衛を徹底する議論を尽くすべきだ。

 3氏とも中国、韓国、北朝鮮に対しては言及が少ない中で、石破氏が安倍路線と一線を画す姿勢を示すのが、沖縄の米軍基地問題と、ロシアとの北方領土交渉だ。

 普天間飛行場問題では「辺野古移設が唯一の解決策」とする政府方針に対し、出馬前から疑問を呈し、計画の検証を求めている。

 軟弱地盤の発覚で辺野古移設はもはや非現実的で当然の主張だ。

 だが石破氏は幹事長時代に移設の旗振り役だった。地元では真意を疑う声は強い。変心の論拠を丁寧に示さねば不信感は消えない。

 また北方領土交渉については、あくまで四島返還を求める原則的な立場に立ち返る考えを示す。

 身勝手な主張を強めるロシアに、法と正義に基づく解決を求め続ける必要はある。ただ求められるのは具体策であり、菅、岸田両氏を含め議論を深めてもらいたい。



「あつ森」(2020年9月12日配信『河北新報』-「河北春秋」)

 ビジネスの世界などでは「ピンチはチャンス」と言う。逆境を乗り越えて好機に変える。コロナ禍では多くの事業者が苦境に立たされる一方で、「巣ごもり需要」を追い風にしてチャンスをものにした例も

▼代表格が「あつ森」の通称で親しまれている「あつまれ どうぶつの森」。任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」向けソフトで、販売数は世界で2200万本を超す

▼プレーヤーが無人島に移住し、個性豊かな動物たちや他のプレーヤーとの交流を楽しむ。ほのぼのとした世界観で操作が難しくなく、女性や子どもにも遊びやすい内容がヒットの一因だ

▼「あつ森」人気にあやかり、ピンチをチャンスに変えたかったのだろうか。自民党総裁選で苦戦が伝えられる石破茂元幹事長の陣営。選挙活動に活用しようとしたところ、「政治に利用していいのか」などと疑義が出されて中止に。米大統領選の民主党候補バイデン氏も利用しているが、任天堂の規約が日米で違うとか

▼ちなみに、「あつ森」では、「いしばちゃん」を名乗る石破氏のアバター(分身)が「じみん島」という島で活動する予定だった。総裁選の結果次第では、党内での立場は今よりさらに厳しいものになる可能性も。こちらは、ほのぼのというわけにはいかない。



総裁選と外交政策 米中対立下の役割議論を(2020年9月12日配信『毎日新聞』-「社説」)

 悪化する隣国関係、先鋭化する米中対立、揺らぐ国際協調。激動する世界の中で次期政権は日本外交をどうかじ取りするのか。

 自民党総裁選で安倍晋三首相の外交政策を継承すると表明しているのが、菅義偉官房長官だ。長い間、安倍外交をそばで見てきた。

 しかし、それも手詰まり状態だ。前提条件なしの日朝首脳会談の呼びかけや、北方領土「2島」返還を念頭に置いた日露交渉の試みは不発に終わった。香港問題や東シナ海情勢をめぐって中国との摩擦も強まっている。戦略の見直しなしに道は開けまい。

 次期政権が直面する喫緊の外交問題は米中対立だろう。貿易戦争やIT覇権に加え、南シナ海での軍事的な緊張も高まっている。

 日本にとって米国は唯一の同盟国だ。一方、中国は最大の貿易相手国である。米中ともに不可欠な存在なのは言うまでもない。

 日米同盟をうまく管理し、日中関係を安定させるために日本が果たすべき役割は何か、真剣に議論する必要がある。

 安倍政権は日米関係を強化することで中国に対抗しようとしてきた。米国の優位が弱まり、中国の台頭が著しい現状では、それだけでは不十分だ。

 元防衛相の石破茂元幹事長は、中国も参加してアジアの安全を守る軍事的枠組みの構築を提案している。容易ではないが、米国一辺倒から脱却する発想といえよう。

 石破氏は沖縄の米軍基地建設の工法や費用を検証する必要性にも言及している。

 元外相の岸田文雄政調会長は米国が核軍拡に走る中で核軍縮の推進を訴えている。

 沖縄基地問題や核軍縮にかたくなな安倍政権との違いをアピールする狙いがあるのだろう。

 国内の声に耳を傾けず、米国の顔色をうかがい、追従するばかりでは、日本の国益にはつながらない。中国との協調の余地も狭まるだけではないか。

 一方、中国をめぐる政策論争はとぼしい。延期された習近平国家主席の国賓訪問を今後どう扱うのか、各候補は見解を示すべきだ。

 コロナ禍で「自国第一」主義が広がるおそれがある。いかにして多国間の協調主義を取り戻すか。こうした議論も深めてほしい。



自民党総裁選 国際協調へ戦略が問われる(2020年9月12日配信『読売新聞』-「社説」)

 世界に広がった感染症は、終息の兆しが見えない。一方、米中の対立は先鋭化している。複雑な国際情勢にどう対処するのか、自民党総裁候補は明確な戦略を示す必要がある。

 米政権は中国への圧力を強め、南シナ海での覇権的な活動に対しては、対中包囲網の構築を各国に呼びかけている。

 日本が、米国との同盟を基軸として対応すべきなのは論をまたない。日米で主導してきた「自由で開かれたインド太平洋」構想を推進するとともに、中国に強引な行動をやめるよう、自制を促し続けることが重要だ。

 同時に、米中の衝突を回避する手だてを模索しなければならない。16日にも発足する新政権は、地域の安定確保に向けて、難しい舵かじ取りを求められよう。

 各国が新型コロナウイルスのワクチン開発に力を入れている。米中露などには、途上国に供与し、自国の影響力を高める狙いがあろう。国際社会が協調し、途上国を支援する体制を築きたい。

 総裁選は、外交の方針や安全保障政策のあり方について、大局的に論じる機会である。

 岸田政調会長が「自国第一主義が進む中、多国間外交が大事になる」と語るのは妥当だ。

 石破茂元幹事長は、北朝鮮による拉致問題の解決に向け、東京と平壌に連絡所を設ける考えを示している。安倍内閣との違いを強調する意図だろう。

 菅官房長官は、首相が唱えた「戦後外交の総決算」の継承を訴えている。総裁選で本命と目され、安全運転に徹しているのだろうが、具体的に語ってほしい。

 総裁選の直後には、各国首脳の演説を収録し、映像を流す形で国連総会が開かれる。その後も多くの首脳会議が控えている。新首相は、緊迫する国際情勢への対応力を試されることになる。

 安倍首相が、ミサイル防衛を強化する方針を示した談話を発表した。安保戦略の見直しについて、新首相に詳細な検討を委ねた。

 北朝鮮は、弾道ミサイルの能力を向上させている。ミサイルの拠点を攻撃し、被害を食い止める選択肢を持つことは理にかなう。

 導入を中止した地上配備型迎撃システム「イージスアショア」について、今年初めに当時の防衛次官が技術的な問題を把握していながら、防衛相には6月まで報告していなかったことが判明した。

 これでは防衛政策への信頼を損ないかねない。情報共有の体制を点検すべきである。



「永田町にヤクザの世界が戻ってきた」(2020年9月12日配信『産経新聞』-「産経抄」))

「永田町にヤクザの世界が戻ってきた」。ある自民党議員は、総裁選における義理と人情、カネとポストが複雑に絡み合う各派閥の勢力争いをこう表現した。天下取りという権力闘争の中で展開される人間ドラマは、確かに面白い。そういえば、安倍晋三首相も任侠(にんきょう)映画に詳しい。

 ▼総裁選は、戦国時代にも擬される。9日の総裁選公開討論会では、歴史上の人物の誰に似ているかとの質問が出た。「答えるのは難しい」といなした菅義偉(すが・よしひで)官房長官に対しては、主(あるじ)の織田信長が倒れると、あれよあれよという間に天下人となった豊臣秀吉だとの見方もある。

 ▼岸田文雄政調会長が自らが率いる宏池会の設立者、池田勇人元首相の名前を挙げたのは順当だろう。不意を突いたのが、石破茂元幹事長が主、信長を討った明智光秀を引き「歴史を変える役割を果たす人」「地元では大変に慕われている」と評価したことである。後ろから矢を放つとの自身の悪評を、逆手に取っている。

 ▼ただ、光秀は本能寺の変で一度は天下を取ったものの、わずか13日後には秀吉に敗れて「三日天下」と呼ばれた。短期政権では大きな仕事はできず、国際的影響力も持てない。次の総裁には、長期安定政権を築き存分に働いてもらいたい。

 ▼「なった瞬間から批判される」。安倍首相は以前、後継首相の宿命をこう語っていた。かつては、新政権発足から100日間はマスコミも野党も性急な批判を避ける「ハネムーン期間」があったが、今はそれも期待できまい。

 ▼朝日新聞の2、3日実施の世論調査では、71%もの人が安倍政権の実績を評価していた。あの激しい安倍たたきは何だったのか。光秀の襲撃を受けた際の信長のように、「是非に及ばず」というしかないのか。



総裁選の報道 威圧するかの自民の要請(2020年9月12日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 見過ごせない報道への干渉である。自民党が総裁選をめぐって新聞・通信各社に「公平・公正な報道」を文書で要請した。

 取材は規制しないとする一方で、記事や写真の内容、掲載面積について「必ず各候補者を平等・公平に扱うようお願いする」と注文をつけている。告示前日の7日付で、総裁選の選挙管理委員長名で送付したという。

 前回2018年の総裁選の際にも、自民党は同様の文書を各社に送っている。前例を踏襲したと選管は説明するが、都度繰り返されていることこそが問題だ。

 要請の形をとってはいても、報道への威圧になる。取材は規制しないとあえて書くことにもその意図はちらつく。自民党は文書を撤回し、要請をやめるべきだ。

 総裁選は、自民党の選挙であると同時に、後継の首相を決める重要な意味を持つ。主権者である国民の知る権利に応えるには、新聞やテレビがそれぞれの視点で報道することが欠かせない。

 公正・公平が大切であることは言うまでもない。しかし、それはあくまで報道各社の自主的、自律的な判断によって確保されるべきものだ。政治権力が公正・公平を持ち出して横車を押せば、その原則が掘り崩されていく。

 安倍政権の下で、報道への圧力は目に見えて強まってきた。14年の総選挙では、民放の番組に出演した首相が、政権に批判的な街の声に「選んでますね。おかしいじゃないですか」とかみついた。自民党は在京のテレビ各社に、選挙報道の「公平中立、公正」を求める文書を送っている。

 ほかにも、放送事業者の自律を損なう政府、与党の手荒な介入が目についた。総務相は15年、個別の報道番組の内容に立ち入って、NHKに厳重注意の行政指導をしている。自民党は幹部を呼んで事情聴取した。

 その後、総務相はさらに踏み込み、放送番組が政治的な公平を欠く場合、電波の停止を命じる可能性にまで言及している。何が公平かを政府が判断するなら、政権の意に沿わない放送がやり玉に挙げられかねない。電波停止をちらつかせて脅すような発言に、強大化した政権のおごりが浮かぶ。

 報道の自由が脅かされてきた責任の一端はメディアの側にある。不当な干渉を押し返せなかったばかりか、やすやすと受け入れてきた面がなかったか。長期政権の退陣を機にあらためて自戒し、主権者の知る権利に応える報道の役割を再確認しなければならない。



緊張感が薄れるのは野党が怖くないから(2020年9月12日配信『日刊スポーツ』ー「政界地獄耳」)

★自民党総裁選で都道府県連の票もまとまりつつある。ある自民党を支持する団体の幹部が総裁選について語る。「自民党の議員たちと同じで、党員たちも首相・安倍晋三以外はいないとこの間まで言っていた者もいるし、そのくせ今は官房長官・菅義偉しかいないと勝ち馬に乗ろうとしている者もいる。むやみに地方組織の声が大きい議員に引きずられている党員もいる。業界団体は当然、権力になびく団体や人もいる」。

★「私自身、長年家族で党員だし、頼まれれば議員のパーティー券も何枚か買って顔を出す。何度も閣僚経験者と一緒にゴルフを回ったこともある。ただ自民党なら何でもいいと思っているわけではない。全体の議員の劣化や言葉の軽さ、いささかのたかり体質、数え上げたらきりがないぐらい議員の質が低下している。それでも党員は、議員を育てていかねばならないと思っている。議員に何かを頼まれてぺこぺこしている者もいるだろうし、何か恩恵を受けている人もいるかもしれないが、多くの党員は最初はしがらみや付き合い、しかしそのうち議員のことがよく見えるようになる」。

★「そうなれば、あれは将来の首相候補、彼は…と人物評に花が咲くこともある。党員は議員のタニマチではない。それなりに吟味している。毎回、総裁になった人が完璧だなんて思ったこともないし、与野党の攻防も、そこは野党の言い分の方が納得できると思うこともある。世間はすぐマルかバツの評価ばかりするが、長く見ているとそんな簡単なものではないことがわかる。政治自体のレベルが低下しているだろうし、選挙制度の弊害や幹部がいばりすぎなど感じるところはいろいろあるが、実は野党が自民党を楽にさせている。緊張感が薄れるのは野党が怖くないからだ。政治や政治家はそうやって育つんだよ。君から、枝野に言っといてくれ」。






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