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病院の経営悪化 頑張りに応える支援急げ(2020年9月13日配信『山陽新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で医療機関の経営悪化が顕著になっている。感染症との闘いの最前線が土台から揺らげば、ウイルス対策はおぼつかない。国は都道府県とも連携して、支援の拡大を急ぐべきだ。

 日本病院会などによると、全国の病院の6割以上が4~6月の経営状況は赤字だった。特に、コロナ患者を受け入れている病院に限ると、赤字の割合は8割を超えた。

 公立病院が加盟する全国自治体病院協議会も、コロナ患者を受け入れている病院の9割以上は4~5月の収支が悪化したと発表している。

 こうした病院では、症状の重い感染者を受け入れるため、集中治療室(ICU)のベッドを一定程度、空にしておく必要があったほか、院内感染を防ぐために病床数を減らしたり、不急の手術を先送りしたりもした。

 経営悪化は、患者にとって身近な地域の診療所にも及んでいる。コロナへの感染を防ごうと、外来の受診を控える人が多くなったとされるためだ。厚生労働省のまとめでは、全国の医療機関で受診した患者数は5月、前年同月から20・9%減った。

 岡山県内でも影響は深刻と言わざるを得ない。真庭市の整形外科医院が7月、岡山地裁津山支部に自己破産を申請し、全国初となるコロナ関連の医療機関の倒産とされた。主に開業医でつくる県保険医協会が6月に行ったアンケートでは、回答した医師と歯科医師の7割が受診控えなどの長期化を心配していた。

 看過できないのは、本来なら頑張りに十分応えるべき医療関係者の処遇が逆に悪くなったケースもあることだ。日本医労連の7月の調査では、医療機関354のうち約35%が看護師らの今年夏の賞与(ボーナス)を昨夏より引き下げると回答していた。

 医療機関への支援策として、政府は本年度補正予算で、医療機関が受け取る診療報酬について、新型コロナの重症者の入院料を3倍にした。だが、経営悪化に歯止めがかかったとは言い難い。支援はコロナ患者を受け入れられる大病院に手厚く、小さな診療所には届きにくいという指摘もある。

 厚労省は冬のインフルエンザとの同時流行に備え、発熱症状のある患者が受診する際の手続きを変更すると今月発表した。まず近くの医療機関に直接電話で相談し、検査や診療ができる医療機関を紹介してもらう流れである。

 開業医にもこれまで以上に緊密な連携と協力が求められることになろう。経営悪化による医療体制の弱体化は避けねばならない。

 政府は同時流行に備えた対策パッケージで、コロナ患者を受け入れる医療機関の安定的な経営のため、さらなる支援を行い、地域の医療提供体制を維持、確保する取り組みも進めるとした。それをどう具体化するかが問われる。




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