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ケリー被告 「あくまで合法的な方法」淡々と 「傑出した経営者」ゴーン被告持ち上げ(2020年9月16日配信『東京新聞』)

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 世界中に衝撃が走ったカリスマ経営者の逮捕から1年10カ月。日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(66)が不在のまま、報酬虚偽記載事件の公判が15日、始まった。逃亡先のレバノンで日本の司法制度批判を繰り返すゴーン被告。側近だった元代表取締役グレゴリー・ケリー被告(64)は、東京地裁の法廷で「共謀していない」と無罪を訴えた。(山田雄之、山下葉月)

 「私たちはゴーン氏をつなぎ留めるために報酬を支払う方法を検討したが、あくまでも合法的な方法を探ろうとしただけだ」

 黒めのスーツに、赤に白のストライプのネクタイで出廷したケリー被告。罪状認否では通訳を介して約10分間、事前に用意した書面を淡々と読み上げた。

 米国での弁護士資格を持つケリー被告は2008年、米国の日産系列会社から日産本社に移り、12年に代表取締役に就任。「ゴーン被告の懐刀。強い権力を持っていた」と社内で評される存在になった。

 ゴーン被告は自身を日本に残してレバノンに逃亡したが、ケリー被告はこの日の法廷で「ゴーン氏は日産を発展させた傑出した経営者だ」と持ち上げた。

 ゴーン被告の日産へのつなぎ留めは「経営陣の懸念事項だった」として、「必要で合法的な行動をとることが重要」と考えていたと強調。退任後も新たな契約上の報酬を支払うことで、競合他社などに移籍されないようにしたかったと説明した。

 検察側は冒頭陳述で、「ケリー被告は部下に指示し、ゴーン被告に未払い報酬を支払う方法の検討を手伝わせ、契約書の原案を作成させた」と指摘。「未払い報酬が毎年度発生し、元秘書室長がその額を管理していたことも認識していた」などと述べたが、ケリー被告は表情を変えずにメモを取っていた。

 閉廷後、ケリー被告は立ちが上がって弁護人と少し話すと、通訳を務めた女性に頭を下げて退廷した。

◆レバノン逃亡のゴーン被告、日本の司法批判

 公判の主役になるはずだったゴーン被告は、逃亡先のレバノンで自由を満喫しているとされる。日本に戻る意思は全く示していないが、いまも「私は無実だ」と周りに訴え、日本の司法制度を批判している。

 「不当な政治的迫害から逃れてきた。有罪率99%の司法制度の下では、公正な裁判は受けられない。ほかに選択肢はなかった」
 逃亡翌月の今年1月、レバノンの首都ベイルートで記者会見したゴーン被告は、日本の司法制度への不満を語った。

 4月には、特捜事件の元被告らが開いたオンライン上のシンポジウムに出席。「(否認すれば勾留が長引くとされる)人質司法を平気で行う検察が、実質的に有罪無罪を決めている」と検察批判を展開している。

 ベイルートでは8月、大規模爆発が発生。ゴーン被告の自宅窓なども被害を受けたが、本人や家族にけがはなかったとされる。事故後に連絡を取った郷原信郎弁護士は「ビデオ電話越しに元気な姿が確認できた」と話す。

 ゴーン被告と親交の深い男性も今月、電話で本人と話したという。逃亡を手伝ったとされる米陸軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員とその息子が、拘束先の米国から日本に引き渡される公算が大きくなったことに触れ、「日本では公正な裁判は受けられない」と親子の身を案じていたという。



元秘書室長の証言 公判のカギに 日本版司法取引で初の大型事件<ゴーン元会長事件>(2020年9月16日配信『東京新聞』)

 日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(66)の報酬を虚偽記載したとする金融商品取引法違反事件で、共犯に問われた元側近の公判のカギを握るのは、検察当局との司法取引に応じ、不起訴となった元秘書室長の証言だ。日本版司法取引が2018年に導入されて以降、初めての大型事件となる今回の裁判。識者からは「検察による証言の誘導の恐れ」を指摘する声も出ている。(山田雄之、山下葉月)

◆キーパーソンは元秘書室長

 15日に東京地裁で始まったゴーン被告の元側近、日産の代表取締役だったグレゴリー・ケリー被告(64)の初公判で、検察側の冒頭陳述には「元秘書室長」が頻繁に登場した。

 「元秘書室長は、未払い報酬に関する文書を作成するよう、ゴーン被告に指示された」「元秘書室長は文書作成の際、ケリー被告の指示や助言を受けた」

 ケリー被告側は「ゴーン被告の報酬を取り扱っていたのは元秘書室長だ。ケリー被告には相談や報告もなかった。ゴーン被告の報酬は、本人と元秘書室長だけで管理されていた」と反論。やはり元秘書室長をキーパーソンに位置付けた。

◆日本版司法取引の導入を視界に社内調査

 日産のごく一部の役員らによるチームが、ゴーン被告の不正疑惑をひそかに調べ始めたのは18年春ごろ。同年6月に控えた日本版司法取引の導入を視界に入れた動きだった。

 社内チームは6月になるや、ゴーン被告を巡る会社私物化疑惑などさまざまな不正情報を東京地検特捜部に提供。日産側は初公判での冒頭陳述で「捜査に全面的に協力した」とした。

 水面下で捜査が進む中、重要人物として浮上したのが元秘書室長だった。10月、社内チームが元秘書室長に接触。ゴーン被告の犯罪を特捜部に告白する選択肢もある―。そんな言葉に元秘書室長は覚悟を決めたとされる。

 ある日産関係者は「元秘書室長がどんな反応をするか分からなかったので、社内チームは捜査が進んだ段階で声をかけたようだ。元秘書室長は司法取引をすんなり受け入れたらしい」と明かす。

 元秘書室長は11月1日、特捜部と司法取引で合意。ゴーン、ケリー両被告は18日後、逮捕された。

◆証人として元秘書室長が23回出廷予定

 元秘書室長は今月29日から12月10日まで23回、証人として出廷する予定だ。ケリー被告の弁護側は「虚偽の証言で第三者を巻き込む危険性」を懸念するが、証言の信用性は担保されるのか。

 元日本刑法学会理事長の村井敏邦一橋大名誉教授は「ゴーン被告は仏自動車大手ルノーとの統合を進めようとしていたとされる。ゴーン被告を失脚させようとした日産が、元秘書室長を説得して司法取引に応じさせたのなら、日産や検察側の意に沿う証言をする恐れがある」と懸念する。

 大阪大の水谷規男教授(刑事訴訟法)も「元秘書室長の供述の信用性は、現時点では検察側しか判断していない。公判では客観証拠と照らし合わせ、慎重に判断する必要がある」と警鐘を鳴らした。



日産ゴーン前会長事件 ケリー被告「犯罪共謀、関与せず」 初公判で無罪主張(2020年9月15日配信『東京新聞』)

 日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(66)の役員報酬を実際より少なく有価証券報告書に記載したとして、ゴーン被告とともに金融商品取引法違反罪に問われた元代表取締役グレゴリー・ケリー被告(64)の初公判が15日、東京地裁(下津健司裁判長)であった。ケリー被告は「起訴内容を否認する。私は犯罪の共謀に関与していない」と無罪を主張した。法人として同罪で起訴された日産は起訴内容を認めた。

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初公判のため、東京地裁に入る日産自動車の元代表取締役グレゴリー・ケリー被告(左)=15日(代表撮影)

 ゴーン被告は昨年末にレバノンに逃亡しており、元側近の審理は「主役」不在のまま始まった。ゴーン被告は金商法違反罪のほか、中東の友人に日産資金を不正送金したなどとする会社法違反(特別背任)罪でも起訴されたが、公判の見通しは立っていない。ケリー被告が起訴されたのは金商法違反事件だけで、特別背任事件は審理されない。

 起訴状によると、ケリー被告はゴーン被告と共謀し、2011年3月期~18年3月期の8年間のゴーン被告の報酬は計約170億円だったのに、既払いの計約79億円だけを有価証券報告書に記載し、未払いの報酬計約91億円を記載しなかったとされる。
 公判の最大の争点は、計約91億円が未払い報酬と認定できるかどうか。

 検察側は冒頭陳述で、10年3月期から役員報酬の開示が義務化されたことで、ゴーン被告は10億円超の高額報酬が明らかになるのを避けようとしたと主張。開示する既払い報酬のほか未払い報酬も記載した書類を元秘書室長に作成させ、ケリー被告には未払い報酬の支払い方法を検討する役回りを担わせたと訴えた。

 ケリー被告の弁護側は、ゴーン被告には日産を退任後、顧問料など新たな契約上の報酬を支払うことは検討していたが、「未払い報酬には当たらない」と反論。仮に未払い報酬があったとしても、虚偽記載ではなく不記載にとどまり、刑事罰の対象にはならないと訴えた。

 また、東京地検特捜部との司法取引に合意した元秘書室長が、検察側に協力する見返りに不起訴とされたことを踏まえ、「証人尋問では証言の信用性を慎重に吟味してほしい」と裁判所に注文した。

 ゴーン被告を巡る一連の事件 2018年11月19日、東京地検特捜部がゴーン、ケリー両被告を電撃的に逮捕。特捜部は2人を役員報酬虚偽記載事件で2回逮捕・起訴し、否認すれば勾留が長引く「人質司法」だと国内外で批判された。特捜部はゴーン被告を会社法違反(特別背任)容疑でも逮捕し、最後の起訴となった19年4月、ゴーン被告は保釈された。特別背任罪の起訴状によると、私的な投資で生じた約18億5000万円の評価損を日産に付け替え、損失転嫁に協力したサウジアラビア人実業家に日産子会社から約12億8000万円を送り、子会社の資金約5億5000万円をオマーンの販売代理店経由で自身に還流したとされる。





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