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検察×ケリー被告全面対決「開示避ける方策」「合法的方法探った」(2020年9月16日配信『産経新聞』)

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初公判のため、東京地裁に入る日産自動車の元代表取締役グレゴリー・ケリー被告(左端)と弁護団=15日(代表撮影)

 「主役不在」のまま長期にわたる法廷闘争が幕を開けた。日産自動車元会長、カルロス・ゴーン被告(66)の役員報酬を過少記載したとして、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)の罪に問われた元代表取締役、グレゴリー・ケリー被告(64)。東京地裁で15日に開かれた初公判では、レバノンに逃亡したゴーン被告と歩調を合わせるかのように、検察側と全面対決する姿勢を鮮明にした。

 起訴状などによると、ケリー被告はゴーン被告と共謀し、平成22~29年度のゴーン被告の役員報酬が、退任後の受け取り分も含め計約170億円だったのに、約91億円少なく記した報告書を提出したとされる。

 一昨年11月の逮捕以降、初めて公の場に姿を現したケリー被告は、グレーのスーツに白いワイシャツ、赤地のネクタイ姿。罪状認否では「私は公訴事実を否認します。犯罪の共謀に関与していません」とした上で「退任後に彼(ゴーン被告)をつなぎとめるために合法的方法を探ろうとした」と述べた。

 検察側は冒頭陳述で、「ゴーン被告は自身を含む各取締役の報酬額を決定する権限を持っていた」と指摘。その上で、両被告らが平成22年2月ごろ、1億円以上の役員報酬開示制度が導入される見通しとなったことから、「(見かけ上の)ゴーン被告の報酬額を10億円未満に抑える方策を検討した」のが事件のきっかけだったとした。

 また、ケリー被告が日本人元秘書室長に開示を避けつつ支払う方法をまとめるよう指示したとも主張。外国人執行役員に対しては、報酬として支払う資金の流れが発覚しないよう、オランダに非連結子会社を、アラブ首長国連邦(UAE)にはその子会社を、それぞれ設立させたとした。

 さらに、23年3月ごろには、ゴーン被告が取締役退任後に支払いを受ける案を選択したとし、以降、「金額が明記され、取締役退任後に相談役報酬等の名目で支払う」という合意文書などが作成されたことなども明らかにした。

ケリー被告は指を組みながら検察側の冒頭陳述に耳を傾け、時折、メモを取るなどしていた。

 これに対し、弁護側は冒頭陳述で「支払い方法の検討はあくまで合法的な方法がないかという検討だ」「被告が関与した書面は、ゴーン被告が退職後に日産に提供する業務の対価で、取締役時に果たした業務に対する後払いではない」などと、検察側の主張に反論。今回起訴された内容が事実と認定されたとしても過少記載は虚偽記載ではなく不記載に過ぎず、「刑事処罰の対象となる事案ではない」とも訴えた。

 一方、起訴内容を認めた法人としての日産の弁護人は冒頭陳述で「ゴーン被告の私的利益を目的とした犯行で、企業の不正な利益を目的とした犯罪ではない」と述べ、かつてのトップを切り捨てた。



【ゴーン事件公判】真相解明に近づく審理を(2020年9月16日配信『高知新聞』-「社説」)

 「主役」不在の審理だが、日産ブランドを大きく傷つけた事件の真相解明に近づく審理を尽くさなければならない。

 元日産自動車会長、カルロス・ゴーン被告が、役員報酬を有価証券報告書に過少記載したとされる金融商品取引法違反事件の公判が東京地裁で始まった。

 元側近で共犯とされる元代表取締役、グレゴリー・ケリー被告は無罪を主張し、検察側と全面対決する姿勢だ。法人としての日産は起訴内容を認めた。

 起訴状などによると、両被告は共謀し、2010~17年度の元会長の報酬総額が約170億円だったのに、既に支払われた計約79億円だけを報告書に記載。退任後に受け取る未払い分約91億円を除外したとしている。

 ケリー被告の弁護側は、ゴーン被告を退任後も日産につなぎとめる顧問契約の対価であり、「未払い報酬は存在しない」と反論している。

 最大の争点は、この未払い分が報告書に記載すべき確定した報酬と言えるかどうかだ。検察は日産幹部と司法取引をしており、証言の信用性にも注目が集まる。

 ゴーン被告はこのほかにも、会社法違反(特別背任)の罪で起訴されている。私的な投資損失の付け替えや知人らへの不正送金などで日産に損害を与えたとされる。

 検察側から見れば、会社を私物化したという意味で事件の本質に迫る中身といえよう。ところが、ゴーン被告は保釈中の昨年末、レバノンに逃亡した。公判が開かれるめどは立っていない。

 逃亡先では自身の正当性を世界に発信し続け、日本の刑事司法は有罪ありきだと批判している。だが、日本の法律で罪に問われ、疑問に感じた司法の現状は日本の法廷で主張すべきなのは当然だろう。

 日本とレバノンは犯罪人引渡条約を結んでいない。レバノンは政情も混乱している。身柄の拘束や引き渡しは一層困難になっているとされるが、政府はなお粘り強く交渉していく必要がある。

 日産外部の弁護士らでつくる特別委員会が昨年まとめた報告書には、ゴーン被告に関して「ある種の神格化が進んでおり、活動は社内で不可侵領域化していた」などと日産の企業統治の問題が列挙された。

 日産は、ゴーン時代に販売拡大を優先するあまり新型車の開発が遅れ、現在の販売不振の要因となった。不祥事による社内混乱もあり、企業イメージが悪化して低迷に歯止めがかからなくなっている。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響も受けた21年3月期には、2年連続の巨額赤字となる6700億円の純損失を見込む苦境にある。経営立て直しは正念場であり、真の信頼回復は急務だろう。

 地裁は来夏まで計76回の審理を予定している。徹底した真相解明を求めたい。ゴーン時代の日産の企業統治とともに、日本の司法制度のあり方もうやむやにしてはなるまい。





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