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「駅無人化で移動の自由制限」 大分の車椅子利用者、JR九州提訴へ 全国初(2020年9月18日配信『毎日新聞』)

 JR各社が合理化などを理由に遠隔操作システムを導入して都市部や近郊の駅で無人化を進める中、車椅子生活を送る大分市の男女3人が、移動の自由が制限されているなどとして、JR九州を相手に1人当たり11万円の損害賠償を求める訴訟を23日、大分地裁に起こす。駅の無人化を巡り障害者が権利侵害を主張して提訴するのは全国で初めてで、民営化されて30年が過ぎたJRが経営戦略として進める駅無人化の是非が司法で問われることとなる。

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補助を受けて車椅子に乗ったままJRを利用する吉田春美さん=大分市の大分駅で2020年9月12日午前11時51分、河慧琳撮影

 提訴するのは、大分市の吉田春美さん(67)、宮西君代さん(58)、五反田法行さん(36)。吉田さんと宮西さんは脳性まひ、五反田さんは脊髄(せきずい)損傷で3人とも車椅子を利用しており、単独で駅を利用する際は駅員の補助が欠かせない。

 JR九州は大分市内17駅のうち10駅を無人化する計画を進めており、うち5駅が既に無人となった。無人駅には遠隔システムを導入し、カメラやインターホンを設置。主要駅の大分駅に常駐するオペレーターが各駅構内を監視して乗客に対応する。補助が必要な障害者には事前の乗車予約で対応するとしているが、原告側は、事前予約は健常者には課せられない条件で、障害を理由にした差別的な扱いは障害者差別解消法などに違反していると訴える。

 JRの無人駅のほとんどは山間部などの過疎地域で元々駅員不在の駅だ。そんな中、ここ数年は人口減などによる経営悪化から合理化を進めるうえで、主要駅からの遠隔システムを導入して都市部などでも駅を無人化する動きが出ている。

JR駅の無人駅数

 JR東日本、西日本、東海、九州は2013~15年にかけて遠隔システムを導入。過去5年間で、東日本11駅▽西日本1駅▽東海8駅▽九州36駅――が無人となった。JR九州の青柳俊彦社長は17年10月、九州の県庁所在地の近郊駅を無人化する方針を表明。東海も新たに7駅でシステムを導入する方針だ。JR北海道と四国は、赤字経営から5年以上前に無人駅の計画が終了しており、システム導入の予定はない。

 日本身体障害者団体連合会の土岐達志副会長は「効率化を理由に進められる無人化は、JR九州だけに限らず全国的な課題だ。緊急時に『予約がないから対応できない』では困る。無人化が障害者の日常をどれだけ脅かすか考えてほしい」と訴える。駅の無人化を巡っては、視覚障害者団体からも「柵も駅員もいない駅は怖い。JRは遠隔で案内するとしているが、目の見えない我々には難しい」との声が上がっている。

 JR九州の広報担当は、遠隔システムの導入を「鉄道事業を維持するために利便性や効率化も進めることが必要。システムを利用することで無人駅でも利用者の安全や利便性を高めている」と説明している。【河慧琳】

経営効率重視、障害者差別を助長の恐れ

 車椅子利用者で弁護士の東俊裕・熊本学園大教授(障害法)の話 市民の社会参加を促進するためには、移動の自由が確保されることが不可欠だ。JR各社はもはや公共の交通機関であり、経営や効率を重視して、障害者が利用する際に事前の予約を必要とするのは不平等だ。障害者が自由に鉄道を利用できない状態で遠隔操作システム導入による駅の無人化が進められれば、障害者への差別が助長されてしまう恐れがある。

経営努力は当然、行政や地域社会で工夫を

 地方鉄道に詳しい帝京大の浅井康次教授(地域経済学)の話 駅の無人化は既に全国的な流れで、JR九州が民営化して上場した以上、コストカットの経営努力を迫られるのは当然だ。さらに新型コロナウイルスの感染拡大の影響で鉄道会社の経営悪化は深刻化している。そうした中で障害者の移動手段を確保するのは福祉の役割だ。無人駅での対応は行政をはじめとする地域社会で工夫できることを考える必要がある。




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Author:gogotamu2019
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