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電子決済不正 安全対策なきに等しい(2020年9月19日配信『東京新聞』-「社説」)

 電子決済をめぐる不正出金の被害が広がり続けている。預金が知らぬ間に引き出され、利用者の不安は極度に増している。早急に官民が連携し、電子決済の安全対策を根底から再構築すべきだ。

 不正被害が最初に発覚したのはNTTドコモの「ドコモ口座」だ。提携する金融機関の口座から入金すればネット通販の支払いや送金もできるサービスだ。

 この仕組みに何者かがアクセスし、名義や口座番号などを盗んで預金者になりすまし預金を引き出していた。ドコモ側は口座開設の際の本人確認を名義を問わない無料メールでも可能にしていた。こうした対応が不正に直結したと強く批判せざるを得ない。

 ドコモ側は電子決済サービスを新たな収入源として強化していた。提携先の銀行が情報管理に厳しいとして、自ら行う安全対策を軽視したのではないか。もうけのために顧客の財産を危険にさらした形で、事業者として基本的心構えさえなかったと指摘したい。

 不正出金はゆうちょ銀行でも相次いでおり、被害はドコモ口座以外でも出ている。ゆうちょ銀行は一部の提携先について本人確認の基準を緩くしており、この点が不正の温床となったことは間違いない。金融機関としてドコモ以上に猛省を促したい。

 問題を受けて全国銀行協会の三毛兼承会長(三菱UFJ銀行頭取)は「銀行界としておわびする」とした上で、決済事業者と連携して対応する姿勢を打ち出したが当然だ。責任は決済事業者と金融機関の双方にあるのは明白で、早急に協力態勢を敷いて被害の拡大防止に取り組むべきだ。

 一方、菅新政権はデジタル庁の創設を目指している。電子決済の推進に加え、マイナンバーカードの普及や銀行口座とのひも付け義務化が大きな狙いだ。

 しかし、電子決済と銀行口座のひも付け自体をめぐって安全管理の甘さが露呈しており、政府の目的が実現する環境には程遠い。

 政府は不正を行った人物の摘発と手口の解明を最優先で進めるほか、被害者の救済にも監視の目を光らせるべきだ。同時に電子決済事業の当事者だけでなく、デジタル専門家を交えた安全対策の構築を先導する必要もある。

 デジタル技術は日進月歩で利用には細心の注意が必要だ。安易な導入は新たな被害を誘発しかねない。極限まで安全性を高めたシステムの構築なしに、デジタル推進の旗を振ることは許されない。




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Author:gogotamu2019
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