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男性同士のラブシーンは「好きに見て」 映画「窮鼠はチーズの夢を見る」の成田凌ま2020年9月19日)

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「うそのない作品を作りたい」と話す成田凌=東京都内

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男性同士の愛をナチュラルに表現した成田凌(左)と大倉忠義(C)水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会
「存在するだけで(思いが)伝わるような映像を撮ってもらえました」と言う成田凌=東京都内
妖しさと純粋さを併せ持つ男性をスクリーン上に体現した成田凌(C)水城せとな・小学館/映画「窮鼠はチーズの夢を見る」製作委員会

 最近は映画やドラマへの出演が立て続けにある。現在はNHKの連続テレビ小説「おちょやん」の撮影中。「忙しいでしょう?」と水を向けると、「とっても!」と屈託のない答えが返ってきた。俳優、成田凌の表情には充実感があふれる。

 公開中の映画「窮鼠(きゅうそ)はチーズの夢を見る」(行定勲監督)では、関ジャニ∞の大倉忠義を相手にゲイの男性役をリアルに体現した。男性同士の濃厚なラブシーンが話題を呼ぶが、「監督も僕らも『どうぞ好きに見てください』と思っている。それぐらい皆が(内容に)自信を持っている」と力強く語る。

 会社員の大伴恭一(大倉)の前に、彼の浮気現場の写真を携えた大学の後輩、今ヶ瀬渉(成田)が7年ぶりに現れる。現在は興信所の探偵をしているという渉は、事実の隠蔽(いんぺい)と引き換えに恭一をホテルに誘い、キスを迫る。最初は自分の身を守るために、しぶしぶ渉の要求を受け入れていた恭一だったが、彼の一途な思いに心が揺れ動いていく。

 原作は水城せとなの同名コミック。行定監督は男性二人の愛の軌跡を特異なものではなく、人間同士の純粋な心の触れ合いとしてナチュラルに描く。物語の構造はいたってシンプルで、「これがもし男と女の話だったら、めちゃくちゃつまらないのに、(男性同士だと)面白い。それがすごく不思議」と成田。

 出演を決めたのは「GO」「世界の中心で、愛をさけぶ」などの問題作、話題作で日本映画を刺激し続ける行定監督への興味が大きかった。これまでも周防正行や瀬々敬久、園子温、今泉力哉、蜷川実花ら個性派の監督の下で印象的な演技を披露しており、「すごく単純な話だけれど、魅力的な監督は魅力的な作品を持ってきてくれる」と言う。

 最初は主役の恭一役でオファーを受けたが、脚本に目を通し、自ら渉の役を希望した。「作品自体にほれたと言うか。自分が主役じゃなくても構わないと思った。今ヶ瀬渉は魅力的で、『どうやって演じよう?』と考えると、すごくワクワクした」 。ひたすら恭一が好きという気持ちを軸に、そこから逆算して彼の行動をうそなく表現することに心を砕いた。

 劇中では、恭一を挟んで彼の元恋人の女性と火花を散らすシーンなど通常の恋愛ドラマではあり得ないシチュエーションも。撮影当日、この元恋人役のさとうほなみ(バンド「ゲスの極み乙女。」のドラムス担当)とはほとんど口もきかないほど「ヒリヒリしていた」といい、成田自身もお気に入りという場面は、三者の思いが複雑に交錯し、強いインパクトを見る者に与える。

◇親や恋人には見られたくない

 幼い頃はテレビっ子。タレントで個性派の俳優としての評価も高い藤井隆に憧れた。俳優の道を目指したのは、藤井のように「テレビに出たい」と思ったから。「まさかこんなにたくさんの映画に出る人間になるとは思わなかった」。その言葉が示す通り、ここ数年は映画出演が相次ぐ。

 「スマホを落としただけなのに」の殺人鬼など癖のある役柄でも強い印象を残すが、「自分なんかどうでもいい。作品の中で目立たなければ目立たないほどいい」と言う。今作でもいわゆる“おネエ系”的な分かりやすい演技は避け、「湿度をまとった空気感」を持つ人間像の創造に力を注いだ。

 時に妖しく、時にピュア、さらには嫉妬深い側面も持つ渉。「彼の気持ちは分かりかねる部分もあるけれど、そこが魅力的だった。彼に男らしさと女らしさみたいなものがあるとすれば、それが程よい具合のバランスになればいいと思った」

 プライベートではゲイの友人もおり、男性同士の恋愛を描く内容に違和感はなかった。男性相手のラブシーンも男性同士の気楽さがあり、女優相手の場合に比べてむしろ楽だったという。「周囲も気を使わないし、撮影になるとなぜか女性スタッフが増える。『もうどうでもいいや。見ろ、見ろ』って感じでした」と愉快そうに語る。

 そんなムードの中で撮られた二人のシーンは「美しくて『これが(人間の)一番まっさらな姿では』と思うほど」と言う自慢のシーンに仕上がったが、「アフレコはめちゃくちゃ恥ずかしかった」。たくさんの人に作品を届けたいと願う半面、「親や(いたとしたら)恋人には見られたくない」と複雑な心境ものぞかせる。

 俳優生活は今年で7年目に突入、若き演技派として高い評価を受けるが、「『僕の仕事はこれ(俳優)です』とやっと言えるようになった」と謙虚だ。今後も「まともじゃないのは君も一緒」「街の上で」などの公開が控えるが、主役、脇役を問わず今回のような「社会的に強くない立場の役」に心を引かれるという。

 今、興味があるのは舞台。「この仕事を始めたころから、ずっとやりたいと思っているが、なかなか機会がなくて」。「葛城事件」などで知られる赤堀雅秋作品のファンだが、現代劇、古典劇を問わず「何でもやってみたい」と声を弾ませる。

 映像作品で引く手あまたの才能が舞台という新たなフィールドを得たら、どう飛躍を遂げるのか、今から興味が尽きない。 (時事通信社編集委員・小菅昭彦、写真・入江明廣)

 成田凌(なりた・りょう)=1993年11月22日生まれ、埼玉県出身。男性ファッション誌「MEN’S NON―NO」のモデルオーディションに合格し、芸能界に。CSテレビのドラマ「FLASHBACK」(2014年)の主演で俳優デビューした。映画の近作に「愛がなんだ」「さよならくちびる」「カツベン!」「弥生、三月 君を愛した30年」「糸」など。





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