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女性活躍、脱最下位 菅新政権の支援に課題(2020年9月22日配信『日本経済新聞』)

菅新政権 政策を問う(4)

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オリックスの育休者セミナーでは社員が復帰後の両立の悩みを共有した。新政権は働く母親の不安を払拭できるか

「女性活躍推進の扉は閉じたように見える」。菅義偉新政権が発足した16日、米ニューヨーク・タイムズはこう報じた。女性閣僚が2人だったことへの論評だった。

安倍晋三前首相が成長戦略に据えた女性活躍。今、急速にしぼんでいる。コロナ禍が原因だ。

前政権時代に就業者は約400万人増え、うち330万人が女性だった。しかし3月以降、コロナ禍が飲食業などで働く彼女たちを直撃した。労働力調査によると非正規女性は7月時点で3月から88万人も減った。

安倍政権で増えた女性雇用の4割強は非正規。活躍推進といいながら不安定な非正規雇用が増えただけ。そんな政策の脆弱さが明らかになった。

前政権の継承をうたう菅首相だが、激変した女性雇用への対応策は今のところ聞かれない。活躍の扉は閉じかねない。

「正社員になってほしい」。明治安田生命保険は約2500人の女性契約社員に呼びかける。管理職への道も開かれ年収は最大20%増える。彼女たちが担う手書き書類の処理などはデジタル化で今後なくなる。より生産性の高い業務を任せ、雇用分野の移動を進める。

アフターコロナの日本では業務のデジタル化が加速する。非正規女性が担ってきた定型業務は激減し、デジタル人材への雇用ニーズは強まる。

失職した非正規女性をデジタルスキルのある人材に育てる。価値が増す仕事へのシフトを後押しし、生産年齢人口の減少に悩む日本の働き手確保につなげる。そんな政策が女性にこそ不可欠だ。

国際労働機関によると日本の女性管理職比率は主要7カ国(G7)で最下位だ。米国ではシティグループで大手行初の女性トップが誕生する。初の女性副大統領が登場する可能性もでてきた。日本も女性雇用の質向上を急がないと世界の背中はどんどん遠くなる。

新政権でのもう一つの重要課題が少子化だ。2019年の出生数は過去最低の86万人。待ったなしの少子化対策として、菅首相は不妊治療の保険への適用を打ち出した。

高度な体外受精や顕微授精をすると、全額自己負担で1回数十万円かかる。当事者には朗報だ。ただ公的医療保険の財源は国民の保険料や税金。財源拠出を担保する効果をどう測るかなど難題が待ち受ける。

育児と仕事の両立策にも積み残しの課題が多い。オリックスの女性社員(38)は6月に出産、同社が17日に開いた育休者セミナーに参加した。「保育所に入れるかが心配」と不安を漏らす。

待機児童は約1万2千人。前政権が7年かけて実現できなかった「ゼロ」の日は現政策の延長ではやってこない。

家庭での男性活躍推進も緒に就いたばかりだ。18年9月から男性社員に育休1カ月取得を義務付けた積水ハウス。対象の670人全員が取得した。仲井嘉浩社長は「休業中の引き継ぎで無駄な業務を見直せた。生産性は高まった」と話す。

コロナ禍で図らずも得た柔軟な働き方を軸に、男性が家事・育児を担える政策が必要になる。

女性が子供を産み育てながら安心して働ける環境をつくることが、働き手の不足と少子化という日本が抱える2つの難題を克服する道だ。継承ではなく「安倍超え」へ。新政権に必要なのは、その野心に他ならない。




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