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秋彼岸 9月22日

秋彼岸(2020年9月22日配信『中国新聞』-「天風録」)

 墓参りに向かう途中、花を買おうと近所のスーパーに寄ると、おはぎがたくさん並んでいる。お彼岸と言えば、やはり欠かせない一品。先祖の後にいただこうと、おいしそうなのを選ぶ

▲先祖や自然への感謝を込めて供え、食べられたようだ。小豆の赤っぽい色が悪いものを追い払う―として食べたともいわれる。祖母の家で手作りした遠い日が懐かしいが、今ではすっかり店で買う物になってしまった

▲季節の花に見立てて秋は「お萩(はぎ)」、春は「牡丹餅(ぼたもち)」と名を変えるスイーツ。お萩は小ぶりに作るらしい。粒あんで萩の小さな花を表すとも。「餅の名や秋の彼岸は萩にこそ」。正岡子規の句にある。ことしの彼岸の入りは19日。子規の忌日だった

▲亡くなる前年9月から付けた日記「仰臥漫録(ぎょうがまんろく)」は、旺盛な食欲を伝える。その1901年の秋分は、朝からご飯3椀(わん)などを平らげた。さらにお昼は粥(かゆ)3椀や芋などのほか梨一つ、お萩一、二ケも。おやつとして来客が持参した牡丹餅や菓子パンまで

▲「梨腹も牡丹餅腹も彼岸かな」。食に執着しつつ、句や歌に情熱を傾け続けた。子規のように秋の味覚を腹いっぱい食べ、仕事に勉学に励もうか。先祖を敬うことも忘れずに。

秋彼岸(2020年9月22日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 赤い彼岸花が道ばたで揺れている。人はこんなにも忘れっぽいのに、季節の花はちゃんと咲く時季を知っている

◆もともと原産の中国・揚子江(ようすこう)あたりから伝来したわずかな球根から株分けをくり返し、日本中に広がったのだという。彼岸のころ一斉に花をつけるのは、同じ性格が引き継がれたせいなのだろう

◆種子が風に飛んで自然にさかえる草花と違って、彼岸花は人の手によって植えられたものである。むかしは害虫よけや土手が崩れるのを防いだり、飢饉(ききん)のときには非常食としても重宝されたというから、何げない道ばたの群生にも、先人たちの暮らしの記憶が息づいている。そう考えると、秋彼岸にあわせて花を咲かせることも深い意味のように思えてくる

◆この4連休は、新型コロナの感染拡大でお盆に帰省できなかった家族が久しぶりに顔をそろえた家庭も多かったのではなかろうか。墓前で、仏壇の前で、いまはもういない人たちと語らう。どんなに平凡なことであっても本当は特別なことなんだと、亡き人たちは教えてくれる。はげましてくれる。そんな、いのちを浄化するひとときを過ごしたことだろう

◆きょうは彼岸の中日の「秋分」。昼と夜が同じ長さで、太陽は真東から昇り、真西に沈む。この日を境に夜がだんだん長くなっていく。季節もまた、うつろうことを忘れない。



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