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コロナ下の自殺 「安全網」をより細やかに(2020年9月25日配信『毎日新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの収束が見通せない中、生活苦などによる自殺の増加が懸念されている。

 警察庁と厚生労働省によると、今年の自殺者数は前年比で7月から増加に転じた。8月は1849人(速報値)に上り、前年の同じ時期より246人増えた。

 1~6月の半年間は前年より約10%減少したが、専門家は、感染拡大の初期には命の危険を感じて身を守ろうという意識が強まったことが背景にあると指摘している。人との接触が減り、ストレスも軽減したという。

 だが、この状況が長期化し、経済の停滞で生活が困窮したり、心が不安定になったりする人が多くなれば自殺者の増加傾向が顕著になる可能性がある。

 コロナ禍に関連する解雇や雇い止めは6万人を超えた。資金繰りが悪化して廃業に追い込まれる中小企業の経営者や店舗の店主も少なくない。公的な支援が足りず、借金を繰り返して多重債務に陥るおそれもある。

 中でも心配なのは女性の自殺だ。人数自体は男性の方が多いが、8月の女性の自殺者は前年より約40%増えて650人に上った。同様の傾向が見られる韓国では女性の雇用悪化が背景にあるとの見方がある。詳細な分析が必要だ。

 自殺者の増加を受け、厚労省は不安を感じている人に、相談窓口へ連絡するよう呼びかけた。

 だが対策に取り組むNPO法人も感染拡大の影響を受けている。相談体制を縮小せざるを得なかったり、活動資金が不足したりする例が目立つ。政府には資金面を含め、手厚い支援が求められる。

 家庭の事情や年齢、仕事など、どんな状況の人に自殺リスクが高いかは地域によって異なる。このため自治体の果たす役割も大きい。民間と連携し、従来のセーフティーネットを再点検したい。

 市区町村の社会福祉協議会が窓口になり、収入が減った世帯向けに行う無利子貸し付けには申請が殺到している。こうした生活支援制度の拡充も必要だ。

 菅義偉首相は「自助、共助、公助」を国の基本に掲げ、中でも自助を重視しているように映る。しかし自殺対策では公助に重きを置き、より細やかな命の安全網づくりに力を注ぐべきだ。





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Author:gogotamu2019
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