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コロナと母子家庭 格差を固定化させるな(2020年9月25日配信『茨城新聞』-「論説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大になかなか終わりが見えてこない。そんな中、母子家庭の困窮が深刻さを増している。母親はパートやアルバイト、派遣社員など非正規で働く人が多く、解雇や雇い止めに遭ったり、仕事を失わずに済んでも休業によって収入が減ったりした。生活費を節約しようと食事の回数や量を減らす人もいるという。

 政府は全国民に1人当たり10万円の特別定額給付金を配った。さらに所得が比較的低く児童扶養手当を受給する、ひとり親世帯には第1子に5万円、第2子以降は1人につき3万円の一時金を支給し、新型コロナの影響で大幅な減収となった場合には5万円を加算するなど手を打っている。

 ひとり親世帯に独自に給付金支給を行う自治体や、食料支援を続けるNPO法人などもある。だが支援はまだまだ十分に行き渡っていないとの声は根強い。厚生労働省が7月に公表した2019年国民生活基礎調査では母子世帯の86・7%が「生活が苦しい」と回答したが、コロナ禍で、より一層厳しい状況にあるのは想像に難くない。

 子どもたちの育ちと学びに暗い影を落としかねないと懸念が広がっており、母子世帯に絞った新たな給付金なども課題となろう。加えて、非正規の待遇改善や正社員化といった中長期的な雇用対策も含め、格差を固定化させないため抜本的な取り組みが求められる。

 生活基礎調査によると、全国の母子世帯は昨年6月現在で推計64万4千世帯。平均所得額は306万円で15年から35万円余り増えたが、それでも全世帯平均の半分程度だ。18年時点で、中間的所得の半分に届かない家庭で暮らす18歳未満の割合「子どもの貧困率」は、全体で13・5%。それが大人1人で子どもを育てる母子世帯などでは48・1%に達した。

 そこへ、コロナ禍が降って湧いた。総務省が今月初めに発表した7月の労働力調査によると、正規が前年同期と比べて30万人近く増えたのに対し、非正規は131万人減り、うち女性は81万人で約62%を占めている。

 母子世帯を支援しているNPO法人が7月にシングルマザー1800人余りにインターネットを通じてアンケートを実施した。それによると、半数近い非正規855人の75・2%が感染拡大により自身の雇用や収入に影響があったと回答。2人の子どもを抱え、パートで働く30代は「子どもたちには2食で我慢してもらい、私は2日に1食が当たり前。子どもも私も3カ月ほどで体重が激減」と書き込んだ。

 ほかにも「子どもが学校に行けなくなった。タブレット、パソコンがないため会話に入れず、いじめに近い感じ」「児童扶養手当を臨時でいただけるのは助かるが、5万円なんて一瞬」といった声が寄せられている。勤務先の休業や労働時間の短縮、廃業などによって元から少ない収入が減り、預貯金を取り崩したり、食事を減らしたりしても、学校の休校などで食費が増え、なかなか困窮状態から抜け出せない。給付金など緊急支援も滞納した家賃や電気代で消えてしまい、母子世帯の貧困率は長年にわたり高止まりしている。

 子ども食堂や学習支援といったNPO法人などによる支援も含め困窮の実態を把握し、実効性のある施策を講じることができるかが問われる。




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