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ゆうちょ口座被害拡大み関する論説(2020年9月26日)

ゆうちょ口座被害拡大/顧客不在の体質が問われる(2020年9月26日配信『河北新報』-「社説」)

 ゆうちょ銀行は約1億2000万口座を有する、最も身近な金融機関の一つだ。郵便局の「郵便貯金」時代からの歴史があり、高齢者の信頼も厚い。それに背を向けるような事態が明らかになった。

 ゆうちょ銀の池田憲人社長が24日に記者会見し、貯金の不正引き出しが約380件、計6000万円に増えたと述べ、謝罪した。キャッシュレス決済と結び付いた口座から本人が知らないうちに預貯金が引き出される被害で、ゆうちょ銀が最大となった。

 これとは別に約600口座で不審な取引が疑われており、被害はさらに拡大する可能性がある。

 不正引き出しは金融機関と提携するNTTドコモの「ドコモ口座」が端緒となって発覚した。ドコモや銀行の本人確認の甘さを突いた犯罪で、地方銀行でも確認されている。

 ゆうちょ銀で見過ごせないのは被害の大きさもさることながら、情報開示に消極的な姿勢と、それによって被害が広がったことだ。顧客の安全を二の次にするような姿勢が厳しく問われる。

 ゆうちょ銀には、連携する複数の電子決済サービスで被害があった。総務省に報告したが、池田社長は今月11日に会見した際、ドコモ口座の事例にしか触れなかった。高市早苗総務相(当時)が15日に公にし、ゆうちょ銀は翌日慌てて説明した。

 不正引き出しで最も古い被害は2017年にさかのぼる。分かった時点で公表し対策を取っていれば、その後の被害も小さくできたはずだ。

 自行で発行するデビット・プリペイドカード「mijika(ミヂカ)」でも送金機能が悪用されて332万円が引き出されていた。

 ミヂカの不正が最初に判明したのは8月上旬だったのに今月23日まで明らかにせず、被害拡大を招いた。

 池田社長は「少しでも早く公表すべきだった」と釈明したが、後手に回った対応に弁解の余地はない。

 ゆうちょ銀は、電子決済サービスに登録している顧客550万人に対して被害の有無を確認するよう呼び掛けている。被害があったかどうかを知るには通帳を記帳するのが最も早い。口座のある人は面倒でも確認してほしい。

 判明した被害額は今年10月末までの補償完了を目指す。既に提携する決済事業者10社と貯金口座との新たな結び付けやチャージ(入金)を一時停止し、電子決済サービスのシステムの総点検をしているという。遅きに失した感はあるが、徹底してほしい。

 ゆうちょ銀は昨年秋、高齢者に投資信託を販売する際、商品特性を十分理解してもらわずに売っていた不適切販売が表面化したが、池田社長ら経営トップが会見することはなかった。その体質が改善できなければ、信頼回復は難しいだろう。



電子決済不正利用 安全性の確立こそ急務(2020年9月26日配信『秋田魁新報』-「社説」)

 電子決済サービスを悪用し、銀行口座から預貯金が不正に引き出される被害が相次いでいる。第三者が銀行口座の保有者になりすましサービスを利用しても、決済事業者と銀行はチェックできない仕組みだったことが要因とみられる。普及が進むキャッシュレスの決済サービスや銀行の信頼が揺らいでいる。

 決済事業者と銀行は協力し、他に被害がないか全容解明を急ぎ、被害は全額補償するべきだ。再発防止策を徹底させ、信頼回復に努めなければならない。

 最初に問題が発覚したのはNTTドコモの決済サービス「ドコモ口座」。メールアドレスさえあれば第三者でも開設できるシステムだった。何らかの方法で入手した銀行の口座番号や名義を使って銀行口座を結び付け、預貯金の一部をドコモ口座に移したとみられる。

 ドコモ口座と提携している銀行は全国で計35行。ゆうちょ銀行や地方銀行、計11行で211件、2833万円の被害が確認されている。ドコモは銀行と連携して全額補償する方針。被害者が知らない間に預貯金が引き出されたのだから当然だ。

 不正はドコモ口座だけでなく、大手のペイペイやLINEペイ、メルペイなどでも発覚。被害のあった電子決済サービスは計7事業者に上っている。

 本県の秋田、北都両銀行ではいずれの決済サービスでも、被害は確認されていない。両行をはじめ、各行は電子決済サービスの新規口座登録・変更や入金機能の一時停止などを余儀なくされている。

 本人確認の甘さが不正の拡大につながった。ドコモ口座は元々、ドコモの携帯電話の契約者限定のサービスだった。昨年9月、契約者以外でも開設できるようにしたため、本人になりすまして利用しやすくなった。事業拡大を優先し、安全性を軽視したと言わざるを得ない。

 被害防止に有効な方法に「2段階認証」があるとされる。暗証番号やメールアドレスだけでは、確実に本人かは分からない。数分間だけ有効な「ワンタイムパスワード」をショートメールで送信し、受け取った本人に入力してもらう方法や、指紋や顔を識別する生体認証を使い、もう1回確認することで不正が起きにくくなる。

 大手銀行は導入済みだが、地銀は4割止まり。被害があった11行とドコモは未導入だった。

 銀行側の被害はゆうちょ銀が最大。22日までにドコモ口座以外も含め約380件、約6千万円の被害が判明している。当初はドコモ口座の不正しか公表しないなど対応は後手に回った。かんぽ生命保険の不正販売で批判された日本郵政グループの顧客軽視の姿勢が再び露呈した。経営陣の責任は重大だ。

 電子決済はキャッシュレスの便利さを売り物に、官民で普及を推進してきた。便利な仕組みを安心して使えるよう、サービスの安全性の確立を急ぎたい。



不正引き出し 顧客への姿勢が問われる(2020年9月26日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 電子決済サービスを使って銀行の預貯金が不正に引き出される被害が拡大している。

 NTTドコモの「ドコモ口座」を通じた不正引き出しが10以上の銀行で判明。ゆうちょ銀行では、ドコモに限らず「ペイペイ」など計7社の決済サービスが悪用されていたことが分かった。

 銀行口座の情報を盗み出した何者かが本人になりすまし、その口座を決済サービスの入金元として登録して出金を繰り返したとみられる。口座を持っている人なら誰でも被害に遭う恐れがある。

 通帳記入などで明細をチェックし、覚えのない出金がないか点検しなくてはならない。

 不正が発覚したとき、サービス事業者や銀行は、被害の拡大を防ぐため顧客に対して早急に状況を開示する責任がある。

 それなのに、震源地となったドコモとゆうちょ銀行は今回、開示に後ろ向きだった。顧客軽視の対応であり、企業姿勢が厳しく問われる事態である。

 被害が突出して多いのがゆうちょ銀行だ。22日時点で約6千万円に上り、電子決済サービスに登録している顧客550万人に被害の有無を確認するよう求めた。さらに広がるとみられる。

 同銀行は当初、ドコモ口座以外も悪用されたと知りながら発表しなかった。その後の記者会見で、実は2017年〜19年にも同様の被害が起きていて、当時から把握していたと説明した。

 これとは別に、自行発行のデビット・プリペイドカードを使った不正引き出しがあったことも、この機に表面化する始末である。

 日本郵政グループは、大規模な保険不正販売を反省して再出発を決めたばかりだ。信頼回復は遠のいたと言わざるを得ない。

 ドコモは、同じ手口の被害が昨年も起きていたことを把握しながら発表せず、提携する銀行への通知も徹底していなかった。

 被害の背景には事業者と銀行の双方に本人確認の甘さがあったとされ、暗証番号に加え別のパスワードなどを使う「2段階認証」の徹底が対策に挙がっている。

 銀行口座の情報がどのように盗み出されたのかは、よく分かっていない。銀行や通販の偽サイトに個人情報を入力させる「フィッシング詐欺」などで流出した可能性が指摘されている。

 政府は電子決済の普及を急いでいる。安全対策が競争の陰に追いやられてはいなかったか。官民を挙げてまず取り組むべきは、安全対策の徹底ではないか。



ゆうちょ被害 あきれるばかりの無責任(2020年9月26日配信『新潟日報』-「社説」)

 不都合なことは頰かむりをする。そうした体質が被害の拡大を招いた大きな要因だろう。口座数で国内最大の銀行のあまりの無責任さにあぜんとする。

 被害の全容解明を急ぎ、救済措置と再発防止策を講じなければならない。

 「ドコモ口座」などの電子決済サービスを通して銀行口座の金が不正に引き出された問題を巡り、ゆうちょ銀行が24日、22日時点での被害が約380件、計約6千万円に上ったことを明らかにした。

 被害は地方銀行などでも確認されているが、公表ベースではゆうちょ銀が最も多い。

 これとは別に銀行側の調べで、数多くの口座で不審な取引が疑われており、被害はさらに膨らむとみられる。

 銀行口座の暗証番号などを入手した何者かが他人に成り済ましてドコモ口座などの決済サービスに登録し、銀行口座にひも付けて、金を引き出す。これが不正の手口だ。

 ゆうちょ銀は、全国の銀行で最も多い1億以上の口座を抱える。顧客には高齢者も多い。

 自分の口座が被害に遭っていないか心配している顧客は多いだろう。

 不正引き出し問題を巡って際立つのは、公表に後ろ向きなゆうちょ銀の姿だ。対応が後手に回り、被害を拡大させている。

 NTTドコモがドコモ口座を利用した不正な預金引き出しについて発表したのは今月8日だ。ゆうちょ銀は3日後の11日に自行の被害を公表した。

 ドコモ口座以外の決済サービス被害については、15日に当時の高市早苗総務相が発表、ゆうちょ銀の発表は翌日だった。

 ゆうちょ銀への被害申告は3年前からあったという。迅速に対応し、調査していれば、被害を抑えられた可能性がある。

 8月上旬には、自社で発行するデビット・プリペイドカード「mijica(ミヂカ)」で送金機能の悪用が確認されたが、サービスを停止せず、9月に被害が広がった。

 金融機関としての責任を自覚しているようには思えない。

 ゆうちょ銀を傘下に持つ日本郵政グループでは昨年、かんぽ生命の不正販売が社会問題化した。顧客を軽視しているとの批判を浴びて社長が辞任し、社員が懲戒処分を受けた。

 ゆうちょ銀には、人ごとだったのだろうか。問題が起きてもきちんと向き合おうとしない姿勢は、郵政グループ全体の体質とみられても仕方がない。

 ゆうちょ銀では昨年、投資信託の不適切販売が表面化した際、社長ら経営陣が会見を開いて説明することもなかった。

 不正引き出しについて、ゆうちょ銀はメールなどで注意を呼び掛ける考えを示すが、一人一人の顧客に向き合って、きめ細かく対応に当たるべきだ。

 全国にネットワークを張り巡らすゆうちょ銀は、山間地や離島などの過疎地での存在感も大きい。自らの責任の重さと預金者保護最優先を改めて肝に銘じなければならない。



「ご用心」-と心のクラクションを大きく鳴らす(2020年9月26日配信『神戸新聞』-「正平調」)

 役立たずの修理屋が出てくる西洋のジョークがあった。ブレーキの利かない車を預かっていたその修理屋が言う。「ブレーキは直せなかったから、代わりに警笛の音を大きくしておいたよ」

◆いや、そうじゃなくて-と小話はここでツッコミを入れるところだが、注意を促すクラクションの音を大きくしてくれただけで今は少々ありがたく感じる。「公表」という警笛をためらった銀行に比べれば、と

◆電子決済サービスを悪用した預貯金の不正引き出し問題で、ゆうちょ銀行が対応の誤りを認めて謝罪した。他行に比べて公表が遅れ、被害が広がったといわれる

◆人の口座に勝手に“蛇口”をつける手口で、犯人はそこから栓をひねるように金を引き出している。ゆうちょ銀の被害は3年前からだそうだが、今回の事態から察するに「顧客を守る」という肝心要の安全ブレーキは緩んだまま放置されていたのだろう

◆「ドコモ口座」など一連の不正引き出しが報じられてから、慌てて通帳記入に走った人も多いはずである。ゆうちょ銀のみならず顧客一人一人の不安をくみ、誠実に向き合っていくしか信用回復の道はあるまい

◆罪深いことに、これに乗じた新たな詐欺被害も出ている。「ご用心」-と心のクラクションを大きく鳴らす。




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