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コロナと自殺増 きめ細かな相談と支援を(2020年9月28日配信『産経新聞』-「主張」)

 自殺者の数が増加する兆しをみせている。かけがえのない命を守るため警戒を強めるべきだ。

 警察庁のまとめで今年8月の自殺者数は速報値で1849人に上る。前年同月比で約15%、246人の増加である。

 自殺には、失業や倒産、多重債務、過労や健康問題などの要因が複雑に絡み合っている。新型コロナウイルスの感染拡大が続き、人々に精神的なストレスも根強い。

 また一般的に景気が悪いときに自殺は増えるとされる。コロナ禍で苦しい経済状況が続き、さらなる自殺者増も心配される。官民挙げ、きめ細かな対策に心を配るときである。

 政府はまずは雇用の維持に全力を挙げ、さらに精神的な支援に取り組んでもらいたい。

 特に女性の自殺が前年8月と比べ約4割の増加で、顕著なのが気がかりである。

 女性の自殺の増加は、雇用不安が最初に表面化した可能性も否定できない。非正規雇用が多く、景気悪化の中で、職を失う現実がある。単身や母子世帯など生活基盤が脆弱(ぜいじゃく)な世帯には、さらなる目配りが必要である。

 隣国の韓国でも、女性の自殺の増加など同様の傾向があるという。背景などの詳しい分析とともに、情報交換し、必要な手立てに知恵を絞りたい。


 今月中旬の閣議で当時の加藤勝信厚生労働相は「新型コロナウイルス感染症の影響などにより、自殺リスクが高まることもあり得る」とし、対策への協力を依頼した。縦割りを排した命を守る連携が重要である。

 住まいのある都道府県や市区町村には、生活困窮に関する相談窓口が設けられている。生活が立ち行かない人は、相談をためらってはいけない。

 厚労省はホームページに、「生きづらさを感じている方々へ」として、「こころの健康相談」や「自殺対策のSNS相談」などを紹介している。

 新型コロナの感染拡大が続き、すでに半年以上、多くの人が他人と接することを避け、家に引きこもるように暮らしている。

 こんなときだからこそ、友人や知人、隣人同士で声をかけあったり、いたわったりする心の余裕を持ちたい。それが、相手の思い詰めた心に風を吹き込むこともあるだろう。



コロナ下の自殺対策 孤立を防ぎ安全網の機能強化を(2020年9月28日配信『愛媛新聞』-「社説」)

 長引く新型コロナウイルスの影響で、雇用環境の悪化などによる自殺者の増加が懸念されている。警察庁によると、8月の自殺者数は暫定値で1854人となり、前年の同じ時期より251人増えた。月別でも今年最多となっている。

 急速な景気回復が見込めない中、失業者らの困窮はさらに長引く恐れがある。「3密」を避けることで孤立を深めている人も多いとみられ、自殺のリスクは高まっている。今、苦境にある人に対して、行政や支援団体などが目配りできる体制を充実させ、セーフティーネット(安全網)の機能を強化していかなければならない。

 今年1~6月の自殺者数は、前年同期に比べ減っていた。コロナ禍で身を守ろうという意識が働くなどして減少したとの見方がある。その後、経済への打撃が顕著となるとともに、自殺者数は7月に1800人台となり、5、6月の1500人台から大幅に増えた。

 厚生労働省がまとめた2020年版の自殺対策白書の概要によると、中高年の自殺の原因や動機は「健康問題」に次いで、「経済・生活問題」が多い。新型コロナが状況をさらに悪化させている可能性は高い。関連する解雇や雇い止めは既に6万人を超え、倒産は2月からの累計で500件に達している。

 収入減や失業で困窮した人に家賃を補助する住居確保給付金や、最大20万円を特例で貸し付ける緊急小口資金の申請は急増している。ただ、要件の厳しさや、手続きの煩雑さといった課題の改善は道半ばだ。行政側は絶望やあきらめを生まぬよう、生活支援策をさらに拡充していく必要があろう。

 自殺者数のうち、気がかりなのは女性の増加が目立つ点だ。8月は651人で、前年同期から187人増えた。白書によると、女性の場合、自殺の原因や動機に「夫婦関係の不和」などの家庭問題が多い。在宅勤務の広がりで、ドメスティックバイオレンス(DV)の増加も問題となっている。閉鎖的な空間で追い詰められないよう、DVや児童虐待といった関連の行政機関の目配りが欠かせない。

 孤立を深めているのは、1人暮らしの高齢者や、オンラインでの授業などが続いている大学生らにも同じことが言えるだろう。直接面会することが難しくても、電話やインターネットを駆使して家族や友人、学校や地域といった周囲の人たちが互いに声を掛け合うことが大切だ。小さな変化を見逃さず、支援につなげていきたい。

 相談窓口としては「いのちの電話」をはじめ、会員制交流サイト(SNS)を活用したものなどさまざまな形態がある。支援団体も、人材不足や新型コロナの影響で活動が制限されるケースもあり、厳しい状況に置かれている。行政が資金面を含めて後押し、切れ目なく相談を受け付ける体制を維持していくことが求められる。





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Author:gogotamu2019
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