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同性カップル「公認」 権利保障の議論始めよ(2020年9月28日配信『中国新聞』-「社説」)

 同性カップルらを公認する「パートナーシップ」制度が自治体の間に広がっている。性的少数者(LGBT)の支援団体によれば、導入予定の広島市を含め、本年度末までに少なくとも大阪府と茨城県、全国67市区町村で導入の見込みという。

 国内では東京都渋谷、世田谷両区が2015年、同性カップルを婚姻に相当する関係と認める初の条例を定めた。

 その後、民間でも就業規則などを見直し、同性婚のパートナーを配偶者として扱う企業は増えている。五輪憲章が性的指向による差別を禁じていることから、20年東京五輪・パラリンピックのスポンサー企業が先取りした影響もあるだろう。

 一方、政府の動きは立ち遅れている。9月に始まった国勢調査でも、当事者団体の要望を入れず、同性カップルは集計も把握もしない扱いとした。

 国内では、婚姻制度は異性間に限っているからだ。同性婚のパートナーは、配偶者として法的に認められていない。そのため、所得税の配偶者控除を受けられない、手術に同意できない、財産の相続人になれないといった不利益を被っている。

 社会の理解も進まず、職場で不当な扱いを受けたり、学校でいじめの対象になったりする人権侵害や差別が後を絶たぬ現実も見逃せない。

 誰ひとり取り残さない―。

 15年に国連サミットで採択された、30年までの国際目標「持続可能な開発目標(SDGs)」の合言葉である。

 国連総会で先週演説した菅義偉首相も、コロナ禍を引き合いに、その合言葉を目標として掲げてみせた。さらに、一人一人に目を向けた「人間の安全保障」の理念に立脚する重要性についても、国際社会と共有することを約束していた。

 性的少数者に関わる施策は言うまでもなく、「ジェンダー平等を実現しよう」「人や国の不平等をなくそう」というSDGsの目標に位置付けられる。放置は決して許されない。

 20~59歳の労働者を対象にした連合の16年の調査で、同性愛や性同一性障害など性的少数者の割合は8%に上った。12、13人に1人という計算になる。岡山、総社両市など、パートナーシップ制度を導入済みの50以上の自治体では事実、千組以上が制度の認定を受けている。

 今回、名前の挙がった2府県と基礎自治体の67市区町村には、合わせて約4025万人が住んでいる。つまり、日本の総人口の3割超をカバーすることになる。

 こうした地方自治体の変化や国際社会の潮流を見誤ることなく、政府としても、性的少数者の権利保障について議論を始めるべきである。

 法的に「いない」、あるいは「見えない」存在としている限り、不平等や人権侵害が解消されることはあるまい。

 子どもの貧困が、いい例ではないか。旧民主党政権の09年、子どもの相対的貧困率が14・2%で7人に1人に当たると政府が初めて公にし、世間の見方が一変。13年成立の子どもの貧困対策推進法につながった。

 性的少数者についても同じだろう。同性婚の法制化といった制度的な保障の構築に向けて、政府はまず、実態把握の調査を急ぐ必要がある。



<同性パートナーシップ証明制度を導入している/導入予定の自治体一覧>
2020年9月17日現在

◎導入済み
東京都渋谷区 2015年11月5日
東京都世田谷区 2015年11月5日
三重県伊賀市 2016年4月1日
兵庫県宝塚市 2016年6月1日
沖縄県那覇市 2016年7月8日
北海道札幌市 2017年6月1日
福岡県福岡市 2018年4月2日
大阪府大阪市 2018年7月9日
東京都中野区 2018年9月6日
群馬県大泉町 2019年1月1日
千葉県千葉市 2019年1月29日
熊本県熊本市 2019年4月1日
東京都府中市 2019年4月1日
大阪府堺市 2019年4月1日
神奈川県横須賀市 2019年4月1日
岡山県総社市 2019年4月1日
神奈川県小田原市 2019年4月1日
大阪府枚方市 2019年4月1日
東京都江戸川区 2019年4月1日
東京都豊島区 2019年4月1日
栃木県鹿沼市 2019年6月1日
宮崎県宮崎市 2019年6月10日
茨城県 2019年7月1日
福岡県北九州市 2019年7月1日
愛知県西尾市 2019年9月1日
長崎県長崎市 2019年9月2日
兵庫県三田市 2019年10月11日
大阪府交野市 2019年11月22日
神奈川県横浜市 2019年12月2日 
大阪府大東市 2019年12月4日 
神奈川県鎌倉市 2019年12月4日
香川県三豊市 2020年1月1日
兵庫県尼崎市 2020年1月6日
大阪府 2020年1月22日
埼玉県さいたま市 2020年4月1日
東京都港区 2020年4月1日
東京都文京区 2020年4月1日
神奈川県相模原市 2020年4月1日
神奈川県逗子市 2020年4月1日
新潟県新潟市 2020年4月1日
静岡県浜松市 2020年4月1日
奈良県大和郡山市 2020年4月1日
奈良県奈良市 2020年4月1日
香川県高松市 2020年4月1日
徳島県徳島市 2020年4月1日
福岡県古賀市 2020年4月1日
宮崎県木城町 2020年4月1日
愛知県豊明市 2020年5月1日
埼玉県川越市 2020年5月1日
兵庫県伊丹市 2020年5月15日
兵庫県芦屋市 2020年5月17日
岡山県岡山市 2020年7月1日
神奈川県川崎市 2020年7月1日
神奈川県葉山町 2020年7月1日
三重県いなべ市 2020年7月1日
大阪府富田林市 2020年7月1日
兵庫県川西市 2020年8月1日

◎導入予定
千葉県習志野市(2020年度をめどに)
兵庫県明石市(2020年度に)
広島県広島市(2020年度の早い時期の導入を目指す)
東京都小金井市(2020年秋をめどに)
神奈川県藤沢市(2021年4月開始を目指す)
千葉県浦安市(2020年度内)
京都府京都市(2020年9月1日)
京都府亀岡市(2020年度中)
長野県松本市(2021年4月開始を目指す)
大阪府貝塚市(2020年9月1日)
東京都国立市(2021年4月)
埼玉県鴻巣市(2020年12月1日)
青森県弘前市(2020年12月)
鹿児島県指宿市(2021年4月1日)
愛知県名古屋市(2021年度中に)
埼玉県坂戸市(2020年10月)
埼玉県北本市(2020年11月)

◎検討中(時期未定)
滋賀県大津市
沖縄県浦添市
岐阜県飛騨市
沖縄県石垣市
沖縄県糸満市
沖縄県豊見城市
沖縄県西原町
沖縄県恩納村
沖縄県粟国村
埼玉県越谷市
岩手県盛岡市

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名古屋市がパートナーシップ制度導入へ。全国に広がる自治体の動き、進まない同性婚の法制化(2020年9月17日配信『Yahooニュース』)

名古屋市が「パートナーシップ制度」を2021年度に導入する方針を発表した。

自治体が性的マイノリティのカップルの関係を公的に認証する「パートナーシップ制度」。9月1日時点で59の自治体で導入されており、制度を利用するカップルの数は、今年6月時点で1000組を超えた。

人口約230万人の名古屋市で導入されることは非常に画期的であり、名古屋市出身でもある筆者としても歓迎したい動きだ。しかし、政令指定都市という枠組みで見ると、実は今回の発表は遅すぎると言える。

政令指定都市では、すでに札幌市、福岡市、大阪市、千葉市、堺市、熊本市、北九州市、横浜市、新潟市、さいたま市、相模原市、浜松市、京都市、岡山市、川崎市で同制度が導入されている。

今月11日には、東北ではじめて青森県弘前市が導入を発表するなど、パートナーシップ制度導入は全国的にますます広がりを見せている。

キャプチャ
「自治体にパートナーシップ制度を求める会」作成(Twitter@partnership_)

パートナーシップ制度は結婚ではない

よく「渋谷では同性カップルでも結婚できるんだよね」と聞かれることある。

日本では同性婚が認められていないため、法律上同性のカップルは結婚することができない。

パートナーシップ制度は、自治体が性的マイノリティのカップルをパートナーとして認める制度だ。あくまで”認証”にとどまるため、相続などの法的な効果は発生せず、婚姻とは異なる。

ただ、特に地方では性的マイノリティがカミングアウトすることは難しく、”いないもの”として扱われやすい。そんな中、自治体がパートナーシップ制度を導入するということは、行政が性的マイノリティの当事者の存在を認めるという点でも、非常に重要な制度と言える。

法的な効果はなくても、パートナーシップ制度の広がりを受けて、住宅購入の際の共同ローンや生命保険の保険金受取人を同性パートナーに指定できるようにするなど、企業の取り組みも進んでいる。社内規定を変更し、同性パートナーを配偶者として扱い福利厚生を適用する企業も増えてきている。

導入自治体の増加、求められる”実態”

2015年に渋谷区・世田谷区で初めてパートナーシップ制度がスタートしてから、導入自治体数は3年で「9」と微増だった。

しかし、2018年からは当事者らが自治体にパートナーシップ制度導入を求める陳情書や請願書を一斉に提出するアクションを起こし、2019年で31自治体、2020年9月時点で59自治体と急増している。

また、昨年10月には東京都渋谷区が、同性カップルの区職員に慶弔休暇や介護休暇などの福利厚生を適用することを発表した。

さらに、今年に入って豊島区は、「子の看護のための休暇」や「出産支援休暇」など、出産・育児関係も含めた7つの休暇制度を利用可能とし、世田谷区や文京区も同様の取り組みを行なっている。

また、鳥取県ではパートナーシップ制度を導入していないが、県職員の同性カップルにも福利厚生を適用することを認めた。

一方で、東京都では同性カップルへの福利厚生が適用されないことに対し、同性のパートナーがいる都職員が改善を求めたが、東京都はこれを却下した。都は2018年に条例で性的指向や性自認による差別禁止をうたっているにもかかわらず、差別的な取り扱いを続けている。

今年7月に行われた都知事選では、主な候補者4名のうち、小池都知事のみがパートナーシップ制度の導入を明言しなかった。

全国的なパートナーシップ制度導入の広がりに加えて、性的マイノリティのカップルの存在を”認証”するだけでなく、実態として異性カップルと同等に扱う動きの広がりも求められている。

そもそも「同性婚の法制化」を

そもそも同性婚が認められていないため、どれだけパートナーシップ制度の導入が広がっても、同性カップルは法的な権利を得ることはできない。逆に言うと、パートナーシップ制度が全国の自治体に広がれば、同性婚を法制化するための大きな後押しとなる可能性はある。

昨年2月には、同性婚を認めていない現行の民法は憲法違反だとして、複数の同性カップルが国を相手取り「結婚の自由をすべての人に訴訟」を起こした。しかし、国はこれに争う姿勢を示している。

一方で、厚生労働省が委託して行われたLGBTに関する職場実態調査によると、企業が国や自治体に求めることとして一番多かった回答が「ルールの明確化」だった。

国が同性婚を認めないために、自治体は「パートナーシップ制度」を導入し、企業も配偶者の定義を広げるなど、制度設計に苦慮しながら、同性パートナーへの福利厚生などを適用している。

同性婚が法制化されれば、こうした苦慮をしなくても、日本全国で同性カップルの関係性が保障され、制度が利用できるようになる。先の委託調査はこのような状況を表したものとも考えられるのではないだろうか。

約7年半の安倍政権から菅政権へと移行したが、政権が変わっても同性婚を認めないというこれまでの国の姿勢は引き継がれるのだろう。同性婚訴訟の判決や、パートナーシップ制度が全国に広がりきる前に、同性婚は法制化されるのだろうか。

松岡宗嗣
一般社団法人fair代表理事
2018年明治大学政治経済学部卒。政策や法制度を中心としたLGBTに関する情報を発信する「一般社団法人fair」代表理事。ゲイであることをオープンにしながら、HuffPostや現代ビジネス、Forbes等でLGBTに関する記事を執筆。教育機関や企業、自治体等での研修・講演実績多数。2015年、LGBTを理解・支援したいと思う「ALLY(アライ)」を増やす日本初のキャンペーンMEIJI ALLY WEEK発起人。





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