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脱はんこ(2020年9月28日配信『高知新聞 』-「小社会」)

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 日本人のはんこ文化は、江戸時代には庶民生活まで広がっていたそうだ。井原西鶴の「万文反古(よろずのふみほうぐ)」には男が遺言状を書いて、年寄五人組に証人として判を押してもらった描写がある(門田誠一著「はんこと日本人」)。

 明治の法令整備では、はんこか欧米のようなサインかが論争になった。国民が自署に慣れていないとする司法省には併用案もあったが、膨大な書類と日々向き合う大蔵省や銀行業界が反発。はんこ社会への道が定まったという。

 以来、ゆりかご(出生届)から墓場(死亡届)までといわれる日本独特の文化が続いてきた。生活に根差した慣用句でいえば、絶対に確実という保証を示す「太鼓判を押す」などが浮かぶ。

 そのはんこに逆風が吹いている。変革を促したのはコロナ禍。押印のための出社が在宅勤務の壁になる、と見直す動きが広がった。河野行革担当相も行政手続きで印鑑使用を原則廃止するよう省庁に要請。デジタル改革の先駆けにしたい意気込みのようだ。

 もちろん、行政手続きが簡素化するなら歓迎すべきこと。ただ、押印に代わるシステムの費用に中小企業が対応できるかといった課題もいわれている。「脱はんこ」に限らず、改革には光があれば必ず「痛み」もある。

 規制改革に力が入る菅政権はぜひ、何ごとも問題点や対策の説明を徹底してほしい。決して「ご指摘は当たらない」といった判で押したような対応ではなく。




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