FC2ブログ

記事一覧

[児童虐待防止法20年] 改正重ねても なお課題(2020年9月29日配信『沖縄タイムス』-「社説」)

2020年9月29日 07:01

 児童虐待防止法の施行から今年で20年となる。

 それまで「家庭内のこと」とされてきた問題への関心を高め、「虐待は許さない」という意識を広げるきっかけとなった法律である。一方で幼い命が奪われる悲惨な事件はなくならず、「児童の権利利益の擁護」という目的の達成は道半ばだ。

 児童虐待防止法が施行される前年の1999年度、全国の児童相談所に寄せられた虐待件数が1万件を超えたと、大きく報じられた。

 2018年度の児童虐待件数は約16万件。統計開始から28年連続の増加だ。子どもの前で家族に暴力を振るう「面前DV(ドメスティックバイオレンス)」などの心理的虐待が約半分を占めている。

 社会的関心の高まりが数を押し上げている要因の一つだ。しかしそれでも児相へ寄せられる相談や通告は、全体の一部でしかない。

 児童虐待防止法は04年の改正で、通告義務を「虐待された児童」から「虐待を受けたと思われる児童」へと拡大し、早い段階の発見に力を入れた。08年には安全確認のための強制立ち入りなど児相の権限を強化。今年4月の改正では親による子どもへの体罰禁止を盛り込んだ。

 命に関わる暴力でも幼ければ幼いほど、自ら助けを求めることも逃げることも難しい。「密室の暴力」からどうやって子どもを守るのか。

 核家族化が進み地域のつながりが希薄化する中、周囲の大人が果たす役割や、学校などの公的責任がこれまで以上に増している。

■    ■

 あまりのむごさに思い出すだけで胸が苦しくなるのは、昨年1月に千葉県野田市で起きた小4女児虐待死事件だ。

 少女が父親の暴力を訴えたアンケートを、市教委が父親に渡すなど対応の不手際と危機感の欠如が重なり悲劇は起きた。

 事件を巡っては一家が野田市に転居する前に住んでいた糸満市の対応も問題となった。「転出先に虐待情報を伝えなかった」「DVと児童虐待の関係性についての知識が不足していた」などが指摘されたのだ。

 虐待の背景にはさまざまな要因がある。県内の過去の事件で目に付くのは、転居を繰り返し地域から孤立し、DVと児童虐待が同時に進み深刻な事態に陥ったというケースである。

 DVと虐待をひとつながりのものととらえた包括的支援が必要だ。

■    ■

 コロナ禍の今、外出自粛によるストレスや収入減による生活苦などから、児童虐待リスクの高まりが懸念されている。実際、児相が対応する虐待件数は増加傾向にある。

 いつもとは違う状況だからこそ、困難でも子どもの見守りを続け、小さな変化も見逃さないようにしたい。

 この20年、法の不備を埋めるように改正を重ねてきた児童虐待防止法だが、抜け落ちているのは子どもの頃に受けた虐待の影響に苦しむ大人の支援だといわれる。

 心の傷を抱える当事者支援を次の段階の課題とすべきだ。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ