FC2ブログ

記事一覧

国語世論調査 言葉は選んで大切に使いたい(2020年9月30日配信『読売新聞』-「社説」)

 相手に気持ちや用件を伝えるのに、言葉は欠かせない存在だ。言語活動は人格の形成にも影響する。日頃から正しく使う習慣を身につけたい。

 文化庁が2019年度の「国語に関する世論調査」の結果を発表した。「国語が乱れている」と感じている人は、20年前より約20ポイント少ない約66%にとどまった。

 「乱れていない」と回答した人に理由を尋ねたところ、「言葉は時代によって変わる」「多少の乱れがあっても根本的には変わっていない」が多かった。

 スマートフォンやSNSの普及で、誰でも情報を発信できるようになった。多様な表現に触れる機会が増え、言葉の使い方にも寛容な人が増えているのだろう。

 そうであっても、相手との意思疎通に支障が出たり、相手が不快に感じたりするようでは問題だ。調査によると、乱れを感じるのは、「敬語の使い方」と「若者言葉」が上位を占めたという。

 「やばい」という言葉は従来、若者を中心に「危ない」という意味で使用されてきた。最近は「面白い」など多義的な使われ方をする。仲間内なら通じるかもしれないが、相手の世代や状況によっては逆の意味に取られかねない。

 そもそも、SNSでは短文が多用され、趣旨や感情が伝わりにくい面がある。場面に応じて、使うべき言葉をしっかりと選び、適切に用いることが大切だ。

 調査では、新しい表現や慣用句の使い方についても尋ねた。

 婚活や終活などの「活」がつく表現や、パワハラ、モラハラといったハラスメントを省略した言葉は幅広く親しまれていた。

 一方、「敷居が高い」は「相手に不義理をしてしまい、行きにくい」という本来の意味を知る人が29%で、約56%は「高級すぎて入りにくい」と思い込んでいた。

 文化庁は「相手に不義理だという感覚自体がなくなってきたのではないか」と指摘している。

 言葉は今後も、はやり廃りがあるだろうが、ビジネスや公的な場では、正確に使うことが不可欠である。理解が不十分だと、外国人に教えることもできない。

 言語感覚を養うには、幼少期から読書体験を重ね、語彙(ごい)を豊かにする必要がある。作品を通じ、他者への理解や共感も生まれる。

 本を読まない高校生や大学生が多いのは心配だ。家庭や学校などで、活字に触れる機会を増やしたい。深く考える力や、豊かな情緒を育むには、じっくりと言葉と向き合うことが重要だ。



敬語は難しい(2020年9月30日配信『南日本新聞』-「南風録」)

 タピオカ飲料を楽しむことをタピ活とは戸惑うが、就活や婚活など活動を「~活」と略す言い方を9割が気にしない。文化庁の昨年度国語世論調査からは、多様な表現に寛容な風潮がうかがえる。

 クールビズなど「~ビズ」、パワハラやセクハラなど「~ハラ」も8割超が許容した。5年ほど前のサラリーマン川柳に<何ハラだ? 身をふり返り ハラハラさ>という秀句があった。人との接し方の難しさは相変わらずらしい。

 国語の乱れを感じる人は過去最低だった。それでも、敬語の使い方には厳しい見方もある。気になる言葉のトップは「そうなってございます」で8割超、20年前に比べて大幅に増えたのが際立つ。

 「当該の文書は保管してございません」「承知してございません」といった応用形は、森友、加計問題など国会審議の官僚答弁で何度も聞かされた。確かにうわべは丁寧なようだが、誠意を感じない言い回しである。

 国語学者の金田一秀穂さんの著書「おとなの日本語」によると、「おります」で十分であって「ござる」とする必要はない。「分からない人が上品ぶって使う敬語は、かえって下品で聞くに堪えない」という。敬語は難しい。

 会員制交流サイト(SNS)などでさまざま表現が広がっている。時代が変わっても大切なのは相手を不快にしない気配りだろう。保身に走る人たちに求めても無駄なことか。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ