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押印の原則廃止 具体的な線引きの明示を(2020年9月30日配信『産経新聞』-「主張」)

 河野太郎行政改革担当相が行政手続き時の印鑑使用を原則廃止とするよう全府省に文書で要請した。菅義偉政権が掲げるデジタル化推進の一環であり、改革の徹底を印象づける狙いもあろう。

 新型コロナウイルス禍に伴うテレワークの広がりで、押印のために出社する効率の悪さなどが浮き彫りになった。形式的で煩雑な押印の手続きを、国が率先してなくすのは理に適(かな)う。

 ただし、社会に根付いた「はんこ文化」を変えようとする改革である。実施時に混乱が生じるようでは元も子もない。原則廃止というならどんな例外があるのか。そうした点を明確化するなど、国民への周知を丁寧に行うべきだ。

 押印廃止は、7月に安倍晋三前政権が閣議決定した規制改革実施計画に含まれる既定路線だ。

 これを加速するため、河野氏は全府省への要請で、押印が必要な手続きの大半について、今月30日までに(1)廃止(2)廃止の方向で検討中(3)存続の方向で検討中-に分類するよう求めた。存続の場合は理由を示さなくてはならない。

 国の法令で押印が必要と定められた手続きは年1万件以上だ。その多くは認印を押すだけのものであり、実質的に本人確認の機能を果たしていない。


 これを廃止して手続きのオンライン化を進めることは、官民の事務コストを低減し、働き方を効率化するためにも有益である。

 一方、存続する押印は、実印が求められる不動産登記や銀行印が必要な手続きなどが想定されるようだ。ただ、具体的な線引きが示されているわけではない。各府省の扱いに整合性が取れないようでは困る。政府は早急にわかりやすい統一基準を示すべきだ。

 本人確認も徹底しなくてはならない。留意すべきは、押印廃止で電子化が進んだときの安全性確保である。ネット上では、他人になりすました人物が預金を抜き取るなどの不正が横行し、サイバー攻撃の懸念もある。こうしたリスクの高まりに備えて、セキュリティー対策をさらに強化すべきだ。

 国家や国民にとっての究極の印は、天皇陛下が法律の公布文や条約の批准書などに押印される御璽であり、勲記に押印される国璽である。はんこ文化が変革を迫られている今だからこそ、これが豊かな伝統や文化に支えられていることも併せて認識しておきたい。




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