FC2ブログ

記事一覧

大学共通テスト 安心して臨める態勢を(2020年9月30日配信『北海道新聞』-「社説」)

 来年1月に初めて実施される大学入学共通テストの出願受け付けが始まり、大学入試に向けた動きが本格的にスタートした。

 共通テストは読解力や思考力を重視し、従来のセンター試験とは形式や設問が様変わりする。

 その初年度に新型コロナ禍が生じた。長期休校など予想外の事態が続き、受験生の不安は大きい。

 テストは学習の遅れに配慮し、二つの日程を設定するほか、感染した場合に備えて追試も行う。

 だがコロナ感染の収束は見通せず、入試シーズンにインフルエンザと同時流行する懸念もある。

 テストを実施する大学入試センターや各大学は、感染防止対策を徹底しつつ、不測のトラブルも想定に入れ、受験生が安心して臨めるよう万全を期してほしい。

 本試験は現役、浪人を問わない第1日程と、学習が遅れた現役生向けの第2日程を設けた。受験予定の現役生46万人の93%が第1日程、7%が第2日程を希望する。

 テスト結果は全国の860校以上、道内は国公私立40校と短大9校が利用する見込みだ。

 共通テストは大学入試改革の柱として導入された。文部科学省は英語民間試験の活用や、国語と数学への記述式問題導入を計画したが、紆余(うよ)曲折の末に断念した。

 受験生本位の改革とは到底言えず、文科省は教育現場を翻弄(ほんろう)したことを忘れてはならない。

 共通テストの試験日程はコロナ禍で複雑になった。今回が第1回となるため、過去の出題は存在せず、参照したくても不可能だ。

 大学入試センターは実施要項などの情報をきめ細かく提供し、かつてない条件下にある受験生の不安解消に努める責任がある。

 4カ月後のテスト本番で最も重要なのはコロナ感染の防止だ。

 試験場となる大学は「3密」回避のため、受験生の間隔を空けるなどの対策を急ぐ。検温や換気といった基本を押さえ、実力を発揮できる環境を整えてほしい。

 これは各大学の個別試験も同様だ。地域によって感染が深刻化する可能性もある。文科省などは受験の状況に差が生じないよう配慮しつつ、試験を実施する際の判断基準も検討してはどうか。

 新型コロナのワクチン実用化が見通せない中、その存在を前提に暮らす社会は当面続く。大学の教育もオンライン授業が普及するなど既に変容している。

 入試のあり方も例外ではない。公正公平なより良い将来像を探る必要がある。



来春の大学入試 受験生の不安、どう解消(2020年9月30日配信『中国新聞』-「社説」)

 大学入試センター試験に代わって来年1月に初めて実施される大学入学共通テストの出願受け付けが始まった。全国で大学など860校以上が利用し、50万人以上が受験する見通しだ。

 今年の受験生は、新入試制度導入を巡る混乱に加え、新型コロナウイルスの感染拡大で長期にわたる休校にも見舞われた。今後の再流行への懸念も残る。

 こうした受験生の不安解消に向けて、文部科学省と大学側は丁寧で迅速な情報提供に努め、さらなる混乱を招かないよう細心の注意を払う必要がある。

 コロナ対策として、共通テストの本試験は、当初予定の来年1月16、17日を「第1日程」とし、2週間後の30、31日に「第2日程」を設けた。

 休校の影響で学習の遅れの出た現役生を「救済」する仕組みで、出願時にいずれかの日程を選択できるようにした。浪人生は第2日程には出願できない。

 文科省は高校などの現場の声に応えたというが、異なる日程で行われた試験を同じ土俵で評価する異例の試みになる。二つの試験の難易度を同じにそろえることは極めて難しい。

 極端な有利、不利が生じた場合、入試の公平性を損ないかねない。文科省は、二つの試験をどう公平に評価するのか、事前にルールを明確に示しておかなければならない。

 2週間の繰り下げにどれだけ救済効果があるのかも疑問だ。第2日程を選ぶと、その後の大学ごとの個別試験に向けた準備時間が確保しにくくなる上、同じ時期に入試をする私立大もある。受験生にとっても悩ましい選択になったのではないか。

 かえって不利になる可能性もあり、救済策や配慮になっていないとの批判も出ている。第2日程では、地方の試験会場の確保も課題とされている。受験生が住んでいる場所で不利を被ることのないよう、十分詰めておくことが必要だろう。

 文科省は各大学が個別に行う入試についても、追試日程を設けることや、出題範囲を絞り込む配慮を求めている。

 国立大82校のうち80校が、感染などによって欠席した受験生のために追試験などの救済策を実施する予定でいる。

 受験生が全国から都道府県境をまたいで集まり長時間を過ごす試験会場は「密」になりかねない。入試の頃に再び感染が拡大している恐れもある。文科省も大学も対応策を練り上げ、複数回の受験機会を確保する備えに万全を期してほしい。

 共通テストは入試改革の柱の一つとされていた。「知識・技能」だけでなく、「思考力・判断力・表現力」をより評価するために導入された。

 ところが昨年11月以降、予定されていた英語民間試験の活用や記述式問題が、制度設計の甘さから見送られた。コロナ禍を受けては9月入学の議論まで浮上し、受験生や関係者はその都度振り回されてきた。文科省と大学側には、受験生が安心して入試に臨める環境づくりに最善を尽くすことが求められる。

 コロナ禍の下、浮き彫りになっている教育格差にも目を配りたい。収入減に苦しむ家庭が増え、困窮する大学生も多い。経済的な理由で進学を諦める受験生が出ないよう、政府や自治体は奨学金などさまざまな支援策の拡充にも取り組むべきだ。 



大学入学共通テスト 受験生本位の制度設計を(2020年9月30日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 来年1月に初めて実施される大学入学共通テストの出願受け付けが始まった。受験生は気持ちを新たにしていることだろう。

 昨年来、導入予定の民間試験や記述式問題が相次ぎ見送りになるなど、受験生たちは、そのずさんな制度設計に振り回されっぱなしだった。加えて新型コロナウイルスの感染拡大も混乱に拍車を掛ける。まずは実施に向け万全の準備に努めた上で、改めて共通テスト導入の必要性や受験生本位の制度設計を論議し明確にすべきだ。

 小中高校で積み上げる学びの集大成と位置付けられる大学入試だが、かつては教科書の内容を超えるような難問奇問が続出していた。その解消を図ろうと国公立大共通1次試験を経て、昨年度まで続いてきたのが大学入試センター試験だった。

 比較的良問が多いとされてきたセンター試験だが、解答を選択肢から選ぶマークシート方式の限界も指摘されていた。2013年に政府の教育再生実行会議が「知識偏重の1点刻みからの脱却」を掲げ、その翌年に中教審(文科相の諮問機関)が記述式問題の導入を提言した。一連の入試改革は政治主導で実行されてきたといえる。

 人工知能導入などが進む社会情勢を背景に、自ら考え行動する力が必要だといわれる中、入試で問うべきは「知識・技能」だけでなく「思考力・判断力・表現力」というのが当初の意図だった。

 しかし、その目玉施策の一つだった英語の民間検定試験の導入を巡り、高額な受検料や会場面で経済・地域格差があるとの批判が出て、昨年11月、文科省は対応策を示せぬまま見送りを発表。萩生田光一文科相が当初、「身の丈に合わせて頑張って」と格差を容認するような発言をするなど、姿勢の甘さを露呈していた。

 さらに同12月には、国語と数学への記述式問題導入も見送った。民間企業が担う採点でのミスの懸念や、受験生による自己採点の精度が低いといった課題への解決策を見いだせなかったことを理由としていたが、これらも早くから文科省が認識していた課題だった。

 公平性が求められる入試制度でありながら、結果として制度設計を軽んじた政治主導の改革のあり方は大いに反省すべきだ。文科省は専門家らによる検討会議で制度設計の再考を図っている。現在の中2が高校に入る22年度から新学習指導要領に基づく教育が始まることを念頭に、この世代が大学入試を受ける24年度に新制度をスタートさせる予定だ。スケジュールを逆算すれば結論のタイムリミットは来年夏。十分な論議と論議内容の公開を求めたい。

 コロナ禍の共通テストは、学習の遅れなどを考慮して第1日程(1月16、17日)と第2日程(同30、31日)に分けて実施される。ただ、第2日程は一部の私立大入試と重なり、救済策や配慮としては不十分だとの指摘もある。異例の対応だが、ここでも重要なのは公平性の確保だ。これ以上、受験生を振り回してはならない。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ