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デジタル庁新設へ 従来の政策検証が先だ(2020年9月30日配信『秋田魁新報』-「社説」)

 菅義偉首相は「デジタル庁」新設に向け、年末に基本方針をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する方針だ。「縦割り行政の打破」の看板政策として、早期の実績づくりを目指す意向とみられる。

 新型コロナウイルス対策では省庁のデジタル対応の不備が明らかになった。各省庁が個々に進めてきたデジタル化に強力な司令塔を設け、デジタル化の一層の推進を図るのは理解できる。だがデジタル化は長年にわたり取り組んできた政策である。新たな官庁をつくる前にまず、従来の政策の何が問題だったのか、しっかり検証することが必要だ。

 新型コロナ対策として実施された全国民への一律10万円給付や雇用調整助成金では、オンライン申請を巡り混乱が相次いだ。誤入力や二重申請を防げず、自治体は手作業で確認に追われる始末だった。各省庁を結んだテレビ会議が開けないこともあった。

 米国でも家計への現金給付が行われたが、内国歳入庁に登録された銀行口座に振り込む方式だったために、迅速に支給が進んだ。海外に比較して、日本のデジタル化の遅れが露呈した。

 菅首相は、省庁の縦割りの弊害が原因の一つと指摘。各省庁の関連部署を集約し、デジタル関係の政策全般を担う新組織としてデジタル庁を創設する考えを表明した。しかし、縦割り行政が原因でデジタル化が遅れたというのは的を射た指摘と言えるのかどうか。結論を急ぎ過ぎてはならない。

 政府は2000年にIT基本戦略を決定。「縦割り行政の弊害を排し、5年以内に世界最先端のIT国家を目指す」などと目標を掲げた。デジタル化の推進は、安倍前政権にも引き継がれた。近年では各省庁に計9千億~1兆円規模の予算が毎年度投じられてきた。

 20年という時間と多額の税金を使いながら、いざという場面で期待された機能を果たせなかった原因を分析しなければならない。過去の反省と教訓を生かして、デジタル庁の構想を進めるべきだ。

 具体的な組織や役割はまだ検討が始まったばかりで、不明な点が多い。既存の省庁の権限や組織、予算に切り込むため、強い抵抗も予想される。21年度予算の概算要求で一般会計の総額が7年連続100兆円を超える見通しとなった。コストを意識した議論を期待したい。

 給付金のオンライン申請は、マイナンバーカード取得者が対象だった。カードの取得率はいまだに2割にとどまる。取得率の向上が、行政サービスのデジタル化の鍵と言える。

 普及が進まない理由の一つに政府や自治体が個人情報を把握することへの拒否反応が根強いことが挙げられる。個人情報保護を従来以上に徹底し、制度そのものへの信頼を高めることが重要だ。





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