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核のごみ、安全になるまで10万年 処分場の選定調査に応募する利点とは?(2020年10月9日配信『東京新聞』)

 原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の選定を巡り、北海道の2町村が公募に応じる方針を表明しました。(小野沢健太)

 Q 最終処分場とは。

 A 地中300メートル以上の深さに、使用済み核燃料を溶かした廃液とガラスを混ぜた「ガラス固化体」を埋めて処分する施設です。地上部分の敷地は1~2平方キロメートルで、地下に総延長約200キロの坑道を張り巡らします。ガラス固化体は人が近づくと20秒で死亡する強い放射線を放ち、比較的安全な線量に減るまで10万年かかるとされています。

 Q いくらかかるの。

 A 総事業費は約3.9兆円と試算されています。坑道を埋め戻し、地上の施設を撤去する「完成」までにかかる費用です。私たちが支払う電気代を元に原発を保有する大手電力会社など13社が、事業主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)に拠出します。

 Q 手続きはどう進むの。

 A まず資料で活断層の有無など立地の可能性を調べる「文献調査」に2年程度、次にボーリングなどで地質を調べる「概要調査」に約4年、地下に調査施設をつくって詳しく調べる「精密調査」に約14年かかる想定です。

 Q 途中の段階で止まることはできないの。

 A 特定放射性廃棄物最終処分法では、概要調査以上へ進む際には経済産業相が知事および市町村長の意見を聴き、十分に尊重しなければならないと規定しています。経産省の担当者は「知事か市町村長のどちらかが反対ならば、先には進まない」と明言しています。

 Q 調査応募の利点は。

 A 文献調査を行うだけで、自治体は年10億円で最大20億円の交付金を国から受け取れます。経産省の担当者は「地元への敬意と感謝の気持ち」と説明しますが、立地の可能性を調べる段階での交付金は原発で年1.4億円、火力発電所では年5000万円なので、桁違いに高額です。概要調査に進めば、交付金は最大70億円となります。

 Q 核のごみ問題は前進するの。

 A 海外ではフィンランドで処分場が建設中で、そこは硬く安定した地層です。日本の地層は欧米よりも新しく、軟らかくて水を通しやすい上に、地震や火山活動も活発です。深い地層に埋めて、安全に管理できるのか。懸念や不安が消えないのが現状です。



寿都・神恵内 文献調査へ 核ごみ マチ分断懸念 「進めば進むほど溝」 交付金「一時的に潤うだけ」(2020年10月9日配信『北海道新聞』)

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片岡春雄町長が文献調査への応募を表明した寿都町の市街地=8日午前11時(大島拓人撮影)

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神恵内村役場前でポスターを掲げ、調査応募に反対する市民団体のメンバーら=8日午前8時50分(伊丹恒撮影)

 後志管内の寿都町と神恵内村で、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査が行われる見通しとなった8日、地元住民の間では賛成、反対の立場にかかわらず「議論が不足している」との不満が広がった。周辺自治体に十分な説明がないまま事態が進んだことに、首長たちは困惑。道民からは応募への理解の一方で、北海道全体に対する風評被害への懸念の声も上がった。

 「最終処分場の誘致まで目指すべきだ。でも、反対している住民に対してこそ、町の財政状況などをもっと丁寧に説明し、納得してもらわなければ、地域が分断されてしまう」。文献調査の受け入れに賛成する寿都町の浜岸雅尚さん(68)は、こう懸念する。

 浜岸さんは40年以上前、寿都町に隣接する後志管内泊村のホテルで働いていた。そのころ、北海道電力泊原発(同村)の建設工事が始まり、空室が数年単位の長期契約であっという間に埋まったことを覚えている。それだけに、過疎などによる財政難を克服するには最終処分場の誘致や、その前提となり、20億円の交付金も支給される文献調査が必要だと思う。

 「ただ、交付金を有効活用するためには、町民全員で知恵を出し合わなければならない。分断が生まれれば、その素地を失いかねない」(浜岸さん)

 同町の片岡春雄町長は8日の記者会見で、応募を急いだ理由として「賛成、反対がエスカレートすると、どんどん溝ができる」とし、住民の分断を避ける狙いがあったと説明した。だが、町内の自営業の60代男性は「前に進めば進むほど町民同士の溝は深まる。応募前だからこそ、賛否両方の専門家による公開討論などを開いて、しっかり勉強する機会を設けてほしかった」と話す。

 町内では同日、住民団体「子どもたちに核のゴミのない寿都を!町民の会」などが記者会見を開いた。同会の吉野寿彦共同代表は「北海道で大きな輪をつくって、反対運動を進めていきたい」と訴えた。





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