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[脱はんこ] 新様式を定着できるか(2020年10月9日配信『南日本新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルス対策で、行政手続きなどでの押印をなくす動きが全国的に広がっている。

 感染が拡大する中、書類作成のため出勤を余儀なくされるなど非合理性が顕在化したためだ。菅義偉首相も看板政策の行政のデジタル化実現に向け強力に推進している。

 日本では、はんこ決裁に代表される企業文化が根強く残っている。コロナ禍があけた風穴を、生活やビジネスの新たな様式として根付かせられるか。政府をはじめ行政、民間企業は、「脱はんこ」に対する社会の理解と納得を得ながら進めてもらいたい。

 コロナ下にあっても外部と交わす契約書に押印が必要とされ、職場から離れて働くテレワーク定着を阻む壁となっていた。

 特に財務・経理、総務・人事の両部門で、テレワークに踏み切れない要因となっているようだ。

 事態を打開しようと、政府は7月、経団連や経済同友会などの経済団体と共同で、「書面、押印、対面」を原則とした制度や慣行を、デジタル技術の活用で抜本的に見直すと宣言した。

 宣言には、各省庁が全ての行政手続きの原則デジタル化に向けて年内に業務見直しと法令の改正を検討することが盛り込まれた。地方公共団体には国に準じた必要な対応を求め、民間は経営者が率先して押印廃止や書面の電子化を推進するとした。

 こうした変更を進めるのは、感染リスクを下げながら業務の効率化、住民サービスの向上を図っていく上で必要なことだろう。
 旗振り役の河野太郎行政改革担当相は印鑑使用の原則廃止を全府省に文書で求めた。これに続いて首相も規制改革推進会議で押印廃止へ向けた対応を各省庁に指示、見直しに本腰を入れる姿勢を鮮明にした。来年の通常国会への関連改正法案提出を目指すという。

 経済産業省、環境省などは既に押印廃止に動いている。自治体の取り組みも進んでおり、福岡市は9月末、市に提出する申請書類などへの押印義務を全て廃止した。鹿児島県は一部を廃止した上で、押印が必要な申請事務の洗い出しを行っている。

 民間ではIT企業などで印鑑の要らない電子契約への切り替えが広がる。損害保険ジャパンは企業向け保険の非対面販売を恒久化し、押印や署名を不要とすると打ち出した。

 ただ、不動産取引など高い信用が求められる契約では、信用を担保する印鑑証明書付きの実印が欠かせないという声がある。押印をなくすかどうかの判断は分野ごとに慎重に行うべきだろう。

 デジタル化へまだ対応できていない中小企業などへの目配りも大切だ。丁寧な取り組みが求められる。




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Author:gogotamu2019
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