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<核のごみどこへ 緊急リポート>上 開いた「パンドラの箱」財源確保へ応募急ぐ 町長、住民対立回避 村長、周到に準備(2020年10月9日配信『北海道新聞』)

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昼休みになり、町役場を出る寿都町の片岡春雄町長(手前中央)=8日正午(大島拓人撮影)

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記者団に囲まれる中、昼休みに村役場から自宅へ自転車で向かう神恵内村の高橋昌幸村長=8日正午(伊丹恒撮影)

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 「今までの実績が全部吹っ飛びますよ」「金がなくても、危ない話はやめた方がいい」。道内に甚大な被害が出た胆振東部地震から1年が過ぎた昨年秋。後志管内寿都町の片岡春雄町長は、ひそかに意見を求めた町内の代表者の痛烈な反応に打ちのめされていた。「もっと前向きな話になると思ったのだが…」

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査に応募するだけで、最大20億円の交付金が得られる「おいしい」制度は議論の価値がある―。慎重論を踏まえ、公言するのは控えてきたが、それでも確信があった。

 そして8日。「私の判断は間違っちゃいない」。未曽有のコロナ不況に追い立てられた片岡町長は反対論を押し切り、応募に踏み切った。

 呼応するように同管内神恵内村でも文献調査の実施が確実となり、2007年に高知県東洋町で頓挫して以降、停滞していた最終処分場選定手続きが道内の2町村同時に動きだす異例の展開となった。

 核のごみを巡る重い問題を1自治体で決めていいのか。住民が反対したら選定手続きは途中で止められるのか。将来の安全性は―。多くの疑問を残したまま「パンドラの箱」が開いた。

 「これから真面目に、勉強していかなければならない。安堵(あんど)している暇なんてないというのが私の心境だ」。後志管内寿都町の片岡春雄町長は8日、高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査への応募を表明した記者会見をこう締めくくった。マスク姿だが目元には笑みが漏れ、発言には強気の姿勢があふれた。

 片岡氏は会見で、町内の反対論は「わかりやすく言うと、停滞してしまった。住民投票の必要はない」と主張。検討表明からわずか2カ月の判断は、賛成、反対両派の住民間の対立のエスカレートを防ぐためには必要だったと強調し、周辺自治体にも広がる「拙速」との批判をはねのけた。

■コロナも打撃

 片岡町長は2001年から20年間、町政を担い、独自の風力発電などで歳入確保に取り組んできたが、人口はピーク時の3分の1以下の2905人まで減少。マチ存続への危機感が年々強まる中、コロナ不況が追い打ちをかけた。町財政への打撃を乗り切るには「これしかない」。ひそかに応募を決断した今春から「強行突破」の腹は固まっていた。

 一方、神恵内村の高橋昌幸村長は8日の会見で、村商工会の請願を採択した村議会の判断を「尊重する」と強調しつつ、自身の考えは「近いうちに表明する」と繰り返した。自ら議論をけん引した片岡町長とは対照的に映るが、水面下で周到に準備を進めていた。

 商工会の請願を採択した議会の判断を熟慮した形をとりつつ、9日には国からの「申し入れ」を受け入れる形で応募に踏み切る―。国や処分事業の主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)とも呼吸を合わせ、その時を待った。

 神恵内村の人口は818人。過疎化への悩みは寿都町と共通するが、北海道電力泊原発の立地自治体(4町村)の一つという意味で、事情が異なる。原発や関連産業で働く村民も多く、9月下旬に行われた住民説明会では応募への賛成意見が相次いだ。商工会には12年から停止中の泊原発が再稼働のめどが立たない中、新たな財源確保策として最終処分場誘致を模索する動きもあり、請願に賛成した村議は「原発が止まり、人の出入りが減った。村の経済が回らなくなる危機感があった」と漏らす。

■互いに後押し

 寿都、神恵内の2町村が同時に文献調査に踏み出す展開について、複数の関係者は「調整したわけではない」と話す。ただ2人をよく知る元道幹部は「高橋さんは寿都町に先を越されたという思いを持ちつつ、神恵内も応募に動けば、孤立した寿都を応援できると考えていた」と明かす。神恵内村で応募の動きが表面化した9月上旬、片岡町長は「候補地が増えれば、町民の心配も弱まるはずだ」と周囲に漏らしており、2人の動きは結果的に互いを後押ししあう構図になった。

 国も東洋町の失敗を繰り返さないために、両町村に対して住民説明などさまざまな支援を与えてきた。政府高官は8日夜、文献調査受け入れ自治体への交付金について「処分場は全国のどこかには造らなければならない。20億円は安いものだ」と満足げに語った。

 2町村の動きを止められなかった道は「核抜き条例」だけでは、核のごみ問題に対応しきれない限界を露呈した。「法律上は、文献調査にあたり、知事が意見を言うことはできない」。鈴木直道知事は8日、東京都内で記者団に悔しさをにじませ、第2段階の概要調査に進む際には改めて反対意見を述べると強調した。

 当初は寿都町の対応を「拙速」だと強く批判した知事だが、自民党道議らから「地方自治の侵害だ」などと批判を受け、その後の発言はトーンダウンした。最終処分場の選定を巡る議論は、2年半後の道知事選の大きな争点になることも予想されるが、知事周辺は漏らす。「道に今後のシナリオは、何もない」(川崎学、山田一輝、村田亮)



■今後も複数の応募期待 名古屋大の吉田英一教授(応用地質学)

 事故時のリスクが高い原発はない方がいいですが、放射性廃棄物は現に存在し、解決しなければならない問題です。核のごみは放射能が強いが、爆発するわけではない。今回の応募表明によって、広く国民に関心を持ってもらえるでしょう。その意味でも意義は大きい。

 私たち科学者の意見に基づき国が示した「科学的特性マップ」の適地であっても、調査しなければ本当に適地かは分かりません。不適でも適地にするようなことはありえません。そのことを分かってもらい、今後複数の自治体が応募してくれればいいと思います。

 住民には不安もあります。調査する原子力発電環境整備機構(NUMO)は、調査過程で分かったこと、分からなかったことを正直に伝える必要があります。透明性を高めるためにも、第三者の科学者によるチェックを含めた情報公開をした方がいい。

■「肌感覚」で決められぬ 脱原発弁護団全国連絡会の海渡雄一共同代表

 寿都町と神恵内村の判断はあまりに拙速です。国が2017年に公表した最終処分地の適地を示す「科学的特性マップ」を見ても適地は限られています。世界初の最終処分場が建設されているフィンランドと日本の地層は異なる上、地層処分技術も確立されていません。

 核の問題は地域の性格を将来にわたって方向づけてしまいます。良好な環境の中、安心して生きる権利に関わる問題で、大人だけではなく、これからを生きる世代の思いを反映した合意形成が必要です。寿都町長の言う「肌感覚」で決められることではありません。

 国際的には環境政策の意思決定に市民を参加させることを義務づけている条約(オーフス条約、日本未加盟)もあります。この地域が安全か、適切な処分技術や設備があるかどうか、さまざまな情報を住民に提供して議論し、住民が熟考した上で決めるべきです。



2カ月後認可見通し 核ごみ調査事業(2020年10月9日配信『北海道新聞』)

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 核のごみの最終処分場選定に向けた調査は、処分事業の主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO)が行う。高知県東洋町の例を踏まえると、後志管内寿都町が応募し、同管内神恵内村が国からの申し入れを受諾すれば、約2カ月以内に経済産業相が調査事業を認可する見通しだ。認可後すぐ、NUMOは文献調査を開始する。

 調査は火山の分布図などを調べる文献調査(約2年)、ボーリングで地下を調べる概要調査(約4年)、地下施設を建設して試験する精密調査(約14年)の3段階ある。NUMOは第1段階の文献調査開始後、住民向け説明会を担う職員の拠点となる現地事務所を開く。



寿都 核ごみ応募表明 神恵内9日受諾 全国初調査 年内にも(2020年10月9日配信『北海道新聞』)

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記者会見で文献調査への応募を表明した寿都町の片岡春雄町長(大島拓人撮影)

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調査受け入れについて記者会見する神恵内村の高橋昌幸村長(伊丹恒撮影)

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 後志管内寿都町の片岡春雄町長は8日、記者会見し、原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査について「応募を決意した」と表明した。同管内神恵内村の高橋昌幸村長も、臨時村議会が調査受け入れを求める村商工会の請願を賛成多数で採択したことを受けて記者会見し、「議会の結果を尊重する」と調査の受け入れを表明した。国が両町村での調査を認可するのは確実で、年内にも全国で初めて最終処分場選定に向けた調査が始まる。

 片岡町長は9日、処分事業の主体となる原子力発電環境整備機構(NUMO(ニューモ)、東京)に出向いて応募書を提出した後、梶山弘志経済産業相に応募を伝える。一方、経産省資源エネルギー庁は9日、神恵内村に担当者を派遣して調査実施を申し入れ、高橋村長は直ちに受諾する方針だ。



核ごみ文献調査応募表明 異論顧みぬ前進は危うい(2020年10月9日配信『北海道新聞』)

 高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定を巡り、後志管内寿都町の片岡春雄町長と神恵内村の高橋昌幸村長がきのう、それぞれ第1段階となる文献調査に応じる方針を表明した。

 両町村では文献調査に向け、地域の合意は十分得られていない。処分場設置につながる文献調査の実施や核ごみの危険性に関し、住民の不安や疑問は残ったままだ。

 両首長は議会の賛成などを根拠にしている。だが、反対する住民の声を丁寧に聞く姿勢に欠けており、このままでは地域の分断が一層深まるだろう。

 応募の検討が表面化してから、寿都町では約2カ月、神恵内村では約1カ月で、首長が表明するに至った。反対の声を顧みない性急な応募方針の表明は、禍根を残す。撤回するのが筋だ。

■議論の広がり見えぬ

 片岡町長は記者会見で「私の判断として文献調査の応募を決意した」と述べた。

 高橋村長は、村議会が調査受け入れを求める地元商工会の請願を採択したことを受けて、「議会の結果を尊重する」と述べ、文献調査に応じる考えを明らかにした。

 両町村は住民説明会を開いてきたが、応募ありきの姿勢も見られ賛否の議論がかみ合わなかった。

 町長は「一石を投じ、議論の輪を国内に広げたい。文献調査への応募は全国で最低でも10(自治体)はあがってほしい」と述べた。

 しかし、町長の狙い通り、各地で文献調査応募に向けた論議が起きるかは分からない。

 実際、高知県東洋町が2007年に文献調査に応募後、住民の反対で撤回した。それ以降、応募する自治体は出てこなかった。

 東京電力福島第1原発の事故以降、原子力施設について、国民の不信感は根強い。

 北海道で文献調査に応じる2町村が現れたことで、両自治体を対象に処分地選定が進めば、道外で最終処分場設置への関心が薄れることも考えられる。

 町長は以前から水面下で応募を検討してきたと示唆している。どのような経緯があったか、説明する責任があるだろう。

■処分場設置の一里塚

 実務主体の原子力発電環境整備機構(NUMO)は、文献調査について、最終処分場の選定のために行うと資料に明記している。

 文献調査は処分場設置への一里塚との考えだ。町長のいう「(調査と設置を)分けて考える」ことは困難になると予想される。

 NUMOによると、文献調査は第2段階のボーリングを行う概要調査と事実上一体で、「明らかに適切でない場所を除外し概要調査地区を検討する」と説明する。

 また文献調査と並行して地域住民らとの「対話」も行う。これは推進派による「説得」であろう。

 核のごみは安全な状態になるには約10万年かかる。その間、地震多発国である日本に安定した地層があるのか明確でない。設置後に危険を察知しても手遅れとなる。

 梶山弘志経済産業相は、概要調査に進む際、地元首長と知事の反対があれば先の調査には進まないと述べている。法律でも知事意見を尊重すべきだと定めている。

 だが地域の意向が優先される確実な保証があるわけではない。

 宗谷管内幌延町では、核のごみの地層処分技術の研究が期間を延長して続いている。処分場設置までずるずると形を変えて続く可能性も考えられる。

 両首長は、調査がいったん始まれば後戻りすることは難しいと分かっているようには見えない。

 文献調査に応じると20億円、概要調査は70億円が国から地元自治体に交付される。

 交付金に依存した財政運営を始めると、処分場に関する調査から抜け出せなくなるのは目に見えている。原発設置でも使われた、地域をからめ捕る巧妙な手法だ。

 鈴木直道知事が言う通り「札束で頬をたたく」やり方だ。知事は菅義偉首相らと接触を重ねている。地方の弱みにつけ込む国のやり方を改めるよう促すべきだ。

■原子力政策見直しを

 すでにある核のごみをどうするかという議論は常にある。国民皆で考えるべきだとの意見もある。それにはまず、国が最終処分の安全性を確立する必要がある。処分地や調査地の選定はそれからだ。

 その段階がないから、地域住民が不安を抱く。周辺自治体や1次産業団体から風評被害の懸念が出るのももっともだ。

 アイヌ民族の団体からも、処分場選定手続きを進める場合、先住民族アイヌの同意を求めるべきだと声明が出ている。

 そもそも原発を稼働し続ける限り、核のごみは発生する。この問題の解決には国のエネルギー政策を根本から見直し、脱原発への取り組みを加速させる必要がある。



文献調査 道内企業 応募反対29% 賛成8%、賛否保留53%(2020年10月9日配信北海道新聞』)

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 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定について北海道新聞社が道内主要企業に尋ねたところ、道内の自治体が文献調査に応募することについて「反対」と答えた企業は、回答があった202社の29・7%となり、「賛成」の8・9%を大きく上回った。ただ、「どちらとも言えない・分からない」が53・0%、無回答も8・4%あり、多様な意見がある難しい問題に対し、多くの企業が困惑している状況がうかがえる。

 選択式で聞いた反対の理由を見ると「観光や1次産業などへの風評被害が心配」と「全道的な議論が必要」がともに36・7%となり、「調査受け入れが処分場建設に直結する可能性がある」が23・3%だった。自由回答で「受け入れる選択はない」(卸小売業)と拒否姿勢を鮮明にする意見もあった。反対した企業の割合を業種別に見ると、製造業の35・8%が最多で、建設業30・8%、卸小売業30・4%と続いた。



北電「非常に感謝」 核のごみ応募で(2020年10月9日配信『北海道新聞』)

道電力は8日、後志管内の寿都町と神恵内村が原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場選定に向けた文献調査受け入れの方針を決めたことに対し「国のエネルギー政策上の課題に関し、真摯(しんし)に向き合い、議論いただいていることについて、改めて敬意を表するとともに、原子力事業者として大変意義深く、非常に感謝している」とコメントした。

 同社はその上で「廃棄物の発生者として、引き続き、国、NUMO(原子力発電環境整備機構)と連携して、NUMOの支援や理解に向けた活動に積極的に取り組んでいく」とした。(土屋航)







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