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成年後見 高知県内の担い手不足 社会福祉士に負担集中(2020年10月10日配信『高知新聞』)

制度スタート20年 低報酬や受け皿増課題 
 
 認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人を支援する「成年後見制度」が始まって20年。高知県内では、業務の難易度や報酬の低さもあって後見人の担い手が不足し、社会福祉士らに負担が集中する課題が浮かんでいる。

 高知市の社会福祉士、片山崇志さん(42)は県内13人の後見人を担当。多くが介護施設や病院に入所、入院している。

 このうち県中西部の80代女性は1人暮らし。施設に入れば生活の心配は少なくなるが、「本人の意思を尊重し、自宅での暮らしを支援することにした」(片山さん)。

 預貯金の管理などの業務だけではなく、女性がご近所とトラブルになれば駆け付けて謝り、家から出てこなくなれば合鍵を持って安否確認に向かう。

 小中高の10校でスクールソーシャルワーカーも務める片山さん。後見業務でトラブルが起きると、休みや自分の時間は消える。

■身上監護

 県内で成年後見を利用する人は昨年末時点で1320人。制度を所管する高知家庭裁判所はその内訳を明らかにしていないものの、弁護士や社会福祉士らが後見人を務める「第三者後見」が大半を占めるとみられる。

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 2000年に制度が始まった当初、後見人を務めた親族による横領などが続発したことを受け、最高裁が第三者後見人を奨励。全国では約8割に上っている=グラフ参照。

 後見人の仕事は、預貯金の入出金、不動産の売却などの「財産管理」と、介護サービスの利用契約や入退院の手続きなどの「身上監護」がある。財産管理は、家裁が弁護士や司法書士に依頼することが多い。

 ただ、高知県では1人暮らしの高齢者が増え続けており、2015年の国勢調査では約5万2千人と2000年比で約1・47倍に。身寄りのないお年寄りが増えるにつれ、後見人が身上監護を求められるケースも増えてきた。

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「困っちゅうことないですか?」。利用者の女性の近況を聞く後見人の田村和裕さん(県中部の障害者施設)

 社会福祉士の田村和裕さん(49)=佐川町社会福祉協議会=は、身上監護を引き受けた在宅高齢者のために買い物に行ったり、施設に入所する知的障害者の着替えを、高齢の親に代わって届けたりしたこともある。

 こうした身の回りの世話は本来、身上監護の業務に含まれていないが、「介護や生活支援のサービスが少ない郡部では、誰かが手を貸さないと暮らしが成り立たない」と田村さん。「手のかかる案件は後見人を引き受けてくれる人がいない」とつぶやく。

■月2万円
 
 後見人の報酬は、利用者本人の財産などに応じて家裁が金額を決める。財産の少ない利用者だと報酬は月2万円程度。支援に費やす時間や手間が増えても、報酬は増えない。

 最高裁は今年2月、後見人の報酬を業務量や難易度に応じて算定する方針を示したが、高知の現場で大きな変化は起きていない。

 県西部のある司法書士は「福祉的な支援をやれと言われても、普段の仕事とかけ離れている。通常業務を減らしてまで低報酬の案件を受け持つのも考えにくい」と話す。

 高知市の弁護士も「財産管理がメインなら手間が少ないが、身上監護までは手が回らない。事務所でも2、3人を受け入れるのがやっと」。いずれも、ボランティアでは事務所が維持できないのが実情だ。

 結果、低報酬で難しい案件の多くは社会福祉士に集中。高知県社会福祉士会内で後見業務を担う「ぱあとなあ高知」では、28人のスタッフが約80人の後見を務めており、中には1人で30人の後見を受任している人もいる。
■法人が対応  

 「今後も身寄りのない人の増加で社会福祉士による後見の需要が高まっていくのは間違いない」と高知県社会福祉士会の徳弘博国会長(49)。「マンパワーを増やすなり、連携を取るなり工夫しないと、持続は不可能だ」とする。

 高知県社会福祉士会は今年7月、1人の利用者に対し複数のスタッフで後見を行う「法人後見」の運用を始めた。

 後見人としての研修を受けたスタッフが責任者となって指示を出し、研修を受けていない他のスタッフが利用者との面談や金銭の支払いなどを担当。スタッフを28人から200人以上に増やせると見込む。

 2006年から法人後見を始めた高知市社会福祉協議会「共に生きる課」の中島由美課長(63)も、「受け皿が増えるのは利用者にとって価値がある。1人の後見人に負担が偏ることがなくなればサービスの質も良くなる」と期待を寄せる。

 ただ、法人後見はあくまで人員確保の一時的な措置。徳弘会長は「われわれだけで全ての支援を請け負うのはどこかで限界が来る。身寄りのない人に声を掛けるなど、地域の皆さんの協力も欠かせない」と強調する。

 高齢者らの安心を支える後見人制度。それを支える社会のあり方も問われている。(板垣篤志)






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