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緊急避妊薬 女性に体を守る選択肢を(2020年10月13日配信『山陽新聞』-「社説」)

 性交後、速やかに服用すれば高確率で妊娠を防ぐ「緊急避妊薬」を、医師の処方なく薬局で購入できるようにする方針を政府が明らかにした。今後5年間の「男女共同参画基本計画」案に盛り込み、検討を進めるという。

 緊急避妊薬は避妊が十分でなかった場合などに望まぬ妊娠のリスクから女性を守る「最後のとりで」とも言える薬で、性犯罪の被害者や若者の支援団体が処方箋なしでの販売を長年にわたり要望してきた。実現すれば大きな一歩となるのは間違いない。

 世界保健機関(WHO)は「全ての女性が安全に使用できる」として必須医薬品に指定しており、この薬剤による緊急避妊は国際的にも標準の方法という位置付けだ。性交後72時間以内に飲めば妊娠阻止率は約80%とされ、処方のスピードが効果を左右する。

 欧米やアジアなどの86カ国では薬局で買え、価格は数百~数千円程度で中には無料の国もある。だが現在の日本では原則、医師の診察を受けなければ入手できない。夜間・休日対応の病院が必ずしも近くにない、全額自己負担で約6千~2万円と高額である、といった利用しづらさも課題となってきた。

 このたび政府が市販化の方向にかじを切った一因には、新型コロナウイルス感染防止のための外出自粛の影響で、性暴力を含め、各地の機関に妊娠に関する相談が急増したことがあろう。

 安全な避妊方法の普及を目指す市民団体「#なんでないのプロジェクト」の5月の調査によると、回答者の約1割が意図せぬ妊娠の不安に直面し、「ストレスのはけ口にされ断れなかった」「コンドームを勝手に外された」などと答えた。そのうち緊急避妊薬を求めたのは、高額などを理由に17%にとどまった。

 コロナ禍の中、4月からは条件付きで初診からオンライン診療が認められたが、受診に抵抗がある人や、経済的に困窮している人には依然としてハードルが高いことも分かった。

 処方箋なしでの購入を巡っては、「安易に利用されかねない」「性教育の充実が先だ」といった慎重論がかねて根強く、2017年の厚生労働省の検討会議では「時期尚早」と見送られた。同薬の承認自体も、残す国が数カ国のみとなった11年まで持ち越した経緯がある。

 だが、内閣府が行った17年度の調査で「無理やりに性交等された経験」がある女性は13人に1人に上った。男女ともに適切な避妊方法を学ぶ機会を増やしたり、薬剤師の研修を充実させたりするなど取り組むことは多いが、国は薬が必要な人にきちんと届く仕組みづくりを急ぐべきだ。

 近年はインターネットで未承認の薬を売る犯罪も起き、薬局販売を求める声は高まり続けている。女性が自分の体を守る選択肢を増やす時期にきているのではないか。




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