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自民の憲法論議 改定ありきから脱却を(2020年10月15日配信『北海道新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染収束が見通せない中、改憲がいまエネルギーを注ぐべき課題なのか。

 自民党憲法改正推進本部が改憲条文案の起草委員会を発足させた。年内に策定し、国会の憲法審査会に提出を目指すという。

 改憲は安倍晋三前首相の宿願だった。しかし、7年8カ月の長期政権でも世論の共感は広がらなかった。

 後任の菅義偉首相は憲法への言及が少ない。党の改憲推進派の焦りの表れとの見方もできよう。

 憲法論議は国会の多数党が改憲ありきで推し進めるのではなく、慎重な議論を求める野党の立場も尊重して憲法のあり方を多角的に掘り下げなければならない。

 起草委では党が2018年にまとめた9条への自衛隊明記など改憲4項目を基に条文案を作る。

 だが、改憲機運の醸成を狙って4項目を提唱した安倍氏でさえ、退陣の記者会見で「残念ながら国民的な世論が十分盛り上がらなかった」と認めざるを得なかった。

 公明党の山口那津男代表も「年内に一気に合意形成できる環境は整っていない」とくぎを刺す。

 性急に事を進めれば、野党の反発を招くだけだろう。

 そもそも、自衛隊明記は9条2項に残す「戦力不保持」と整合性をどう取るのか、党内でも異論がある。

 コロナ禍で安倍政権が改憲の突破口にしようとした緊急事態条項の新設も大幅な私権制限を伴い、強権国家となる懸念が拭えない。

 1票の格差是正に端を発した参院選選挙区の合区解消問題は、公選法の改正で対応できるはずだ。

 教育充実についても改憲の俎上(そじょう)に載せるまでもなく、当然取り組むべきものである。

 これらを盛り込んだ4項目は、議論の仕切り直しが求められる。

 衆院憲法審査会では、改憲の手続きを定めた国民投票法の改正案が継続審議となっている。

 公選法に沿って共通投票所の設置などを新たに追加する内容だが、野党が投票時のCM規制を検討すべきだと主張して平行線をたどっているためだ。

 表現の自由とのバランスが課題となるが、資金力のある団体が際限なくCMを流すのは公平さを欠く。会員制交流サイト(SNS)への広告や虚偽のフェイクニュースへの対処も必要だろう。

 個別の条文についての検討に入る前に、公正で公平な国民投票制度について丁寧な議論を進めていかなければならない。




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Author:gogotamu2019
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