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秋。しのぶ季節に入る(2020年10月15日配信『朝日新聞』-「正平調」)

 先週末、喪中はがきがもう届いた。年賀状の印刷受け付けが早くなってきたそうだから、喪中の知らせまで前倒しになったかと、驚きながら読む

◆長らく会っていない沖縄の知り合いからだった。お母さんが亡くなったという。沖縄で多難の戦中、戦後を送った方だろうと、簡潔な文面を読みながら想像する

◆年賀状は一読して終わることが多い。それに比べて喪中はがきは人生が詰まっているように思え、つい読み返す。いや保存しているはがきもあると、終末期医療にもかかわる評論家米沢慧(けい)さんが本紙に書いていた

◆家族がそろった夕食の席で、90歳を超えたお母さんが「ふっとろうそくの火が消えるように」亡くなった。「私たちがそばについていながら…」という悔い、時間が少しずつ癒やしてくれることへの祈り。そんな思いがないまぜの知らせだったそうだ

◆超高齢社会であることを、喪中はがきで感じることが増えた。お年が100歳前後というのも間々ある。書き添えた一言、「老老介護でした」をしみじみと読んだことも何度か。子どもを看取(みと)った方からの知らせは、涙のしずくが透けて見えそうに思えた

◆年始のあいさつはメールで済ませられるだろうが、喪中の知らせはそうはいかない。秋。しのぶ季節に入る。



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