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(論)「コロナと自殺」に関する論説(2020年10月17・18・20・21・25日)

生きるって、なに?(2020年10月25日配信『新潟日報』-「日報抄」)

 生きるって、なに? 生きるって「自分を100%受け入れる」こと。「自分を100%受け入れる」って?…生きることを巡る問いと答えが、こんなふうに重ねられていく。世界の人々の生き生きとした表情の写真も添えられている

▼旅人でエッセイスト、たかのてるこさんの著書「逃げろ 生きろ 生きのびろ!」は、自分を大切に、とにかく生きて、と訴えかけてくる。執筆の背景には「生きのびるために逃げた」たかのさん自身の切実な体験があるという

▼勤務した会社では最後の数年上司に疎まれ、心身がぼろぼろになるまで追い詰められた。会社を辞めた、つまり逃げたことでやっと自分を取り戻した。それ以外でも自分を守るためにいろんな場所や人から逃げたと振り返る

▼県内で8月の自殺者数が急増したことが分かった。要因として新型ウイルスの影響による生活苦が指摘されている。苦悩は大きかったとしても、踏みとどまれなかったか。生きることをやめずにいるすべはなかったか。残念でならない。何とか、歯止めをかけられたら

▼たかのさんは、こうつづっている。うつ状態まで追い詰められても誰も「逃げなよ」と言ってくれず、自分を責めた。だからこそ死ぬほどつらい思いをしている人に、人からどう思われようが「逃げていいんだよ」という思いを伝えたかった-

▼苦しみから逃れるため、誰かの助けが必要になることもあるはずだ。悩みの渦中にある人は、逃げるために頼ることもためらわないでほしい。





増える自殺 命守る態勢強化が急務(2020年10月21日配信『北海道新聞』-「社説」)

 厚生労働省と警察庁がまとめた全国の自殺者数は7月以降、3カ月連続で前年を上回った。

 専門家は新型コロナウイルスの感染拡大による影響が大きいと指摘する。

 経済的な打撃や、長引く自粛生活による疲れが重くのしかかってきているとみられている。

 生きづらさを感じたり、人と会う機会が減る中で孤立を深めている人も少なくないという。

 国は自殺者が増加に転じた原因を詳細に分析し、徹底した対策を講じていくべきだ。

 いま支えが必要な人たちの命を守るため、セーフティーネット(安全網)を再点検し、きめ細かく張り巡らせることが急務である。問題解決まで寄り添うような相談体制の充実も求められる。

 自殺者数はこの10年は減少傾向にあった。今年も1~6月は前年を下回っていたが、7月から増加に転じた。9月の自殺者数は1805人(速報値)で前年同月に比べ143人増えた。

 専門家はコロナ禍の影響の差が顕著となり「周囲と比べ自分が恵まれていないという不遇感は大きくなっている」と分析する。

 中でも女性の増加が際立つ。8月の統計では特に40歳未満の女性が7割以上増加した。

 新型コロナ関連の解雇や雇い止めは全国で6万5千人を超えた。非正規雇用が比較的多い女性は影響を受けている可能性が高い。

 家で過ごす時間が増え、子育てや家事でのストレスに加え、家族間の距離が近くなり、心理的な負担が増しているとの指摘がある。在宅勤務による家庭内暴力のリスクの高まりも危ぶまれている。

 社会全体でこうした事態に気づくために、自治体や保健所などの関係機関が連携を強めていく必要があろう。

 相談体制では、全国の「いのちの電話」の存在が改めて注目されている。「北海道いのちの電話」(札幌)にはコロナ関連の相談が増えている。

 春先は感染への漠然とした不安が多かったが、最近は生活苦そのものの相談が目立つ。コロナ絡みの相談の2割が自殺をほのめかす深刻なものだという。

 民間や行政の相談窓口はコロナの影響に加え、慢性的な人手不足が続いている。財政面などで国の手厚い支援は欠かせない。

 生活苦に陥っている人たちを支援するための各種給付金など救済制度の充実、継続が必要なのは、言うまでもない。



早急に安全網を整えよ/増える女性の自殺(2020年10月21日配信『東奥日報』-「時論」)

 新型コロナウイルスの感染拡大で雇用や日々の生活に深刻な影響が広がる中、女性の自殺が増えている。政府は新型コロナ対策分科会メンバーや雇用、医療の専門家から成る「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を設置。来月から自殺や解雇・雇い止め、ドメスティックバイオレンス(DV)被害などの実態調査に乗り出す。

 警察庁によると、1月から6月にかけて自殺者数の月別速報値は前年同月と比較して減少が続いていたが、7月以降、3カ月連続で増加。とりわけ女性は7月と8月、それぞれ651人と直近の5年間で最多となり、8月は前年より187人も増えて、男性の64人増を大幅に上回った。

 働く女性はパートやアルバイト、派遣社員など非正規が多く、コロナ禍による景気悪化で休業を理由に収入を減らされたり、解雇・雇い止めに遭ったりする。主婦としては、感染を恐れて家族がこもりがちになり、家事や子育て、介護の負担が増し、DVのリスクにもさらされる。特にシングルマザーは困窮状態から抜け出すのが難しい。

 感染収束の兆しは見えず、省庁や自治体、民間団体の相談窓口には「眠れない」「死にたい」などと悲痛な声が後を絶たない。実態調査は欠かせないものの併せて丹念に支援を積み上げ、早急に安全網を整えることが求められる。

 警察庁発表の月別の自殺者数は7月1818人、8月1854人、9月1805人。このうち女性は前年同月比で6月から増加に転じ、9月は639人だった。橋本聖子男女共同参画担当相は「新型コロナの影響は女性に特に強く表れている」と述べた。調査で自殺の要因などを詳しく検証し、今後の対策につなげていきたいとしている。

 有識者研究会に提出された資料によると、特に非正規で働く女性が多い宿泊・飲食、生活・娯楽、卸売・小売各業はコロナ禍で大きな打撃を受け、緊急事態が宣言された4月から7月にかけて、女性の就業者数はそれぞれの業種で113万人、55万人、47万人減少した。

 総務省による8月の労働力調査で非正規は2070万人。前年同月と比べ120万人減と6カ月連続の減少となり女性は84万人だった。

 また、厚生労働省が13日に発表したコロナ関連の解雇・雇い止めは見込みも含め、6万5121人。前週より1774人増え、非正規がほぼ半数を占めた。ただし全国のハローワークや労働局を通じての集計で「氷山の一角」とみられている。

 女性に厳しい数字が並ぶが、コロナ禍の影響はそれだけではない。DVの相談は4~7月、前年同月の1.4~1.6倍で推移。7月は1万6748件だった。各地の配偶者暴力相談支援センターに加え、4月に内閣府が24時間態勢で電話やメール、会員制交流サイト(SNS)による受け付けを始め、掘り起こしにつながったとされる。

 支援は急を要する。当面は、雇用継続を図る雇用調整助成金の拡充や現金給付などが焦点となるだろう。給付金については全国民に一律10万円のような形ではなく、本当に必要としている人に届くよう対象を絞り込むことを考えたい。さらに中長期的には、非正規と正社員や男女の間にある待遇格差の是正などに取り組み、粘り強く施策を重ねていく必要がある。



【女性の自殺増加】コロナ禍踏まえ支援急げ(2020年10月21日配信『高知新聞』-「社説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大が雇用などに深刻な影響を与える中、懸念されるデータである。

 警察庁などの統計で9月の自殺者数が速報値で1805人となり、前年同月比8・6%増えた。このうち男性が1166人で同0・4%増だったのに対し、女性は639人で同27・5%と大幅に増えていた。

 働く女性は非正規雇用が多く、コロナ禍による雇い止めなどの影響を受けやすいとも指摘されている。国は女性への影響を分析し、相談や支援態勢を充実させていかなければならない。

 自殺者数の月別速報値をみると、1~6月は前年同月比で減少が続いていた。ところが7月以降は、3カ月連続で増加に転じている。

 政府の緊急事態宣言の下、外出自粛や県境移動が制限されていた4~6月は減少しているのはなぜか。分析すべきことはまだまだある。とはいえコロナ禍が長引くことに伴う生活様式の変化がストレスとなり、心の健康に影響している可能性は否定できない。「コロナうつ」も指摘されている。

 とりわけ女性の自殺者は7月と8月、それぞれ651人に上った。これは直近の5年間で最多である。9月は女性が前年同月比で138人増となり、男性の同5人増の約27倍にもなっている。

 橋本聖子・男女共同参画担当相は「新型コロナの影響は女性に特に強く表れている」と述べている。それを裏付けるデータもある。

 内閣府によると、女性は男性に比べて非正規雇用の割合が高い。特にコロナ禍で打撃を受けた「宿泊、飲食業」「生活、娯楽業」「卸売、小売業」は非正規で働く女性が多い。景気悪化で収入を減らされたり、解雇や雇い止めにあったりするケースは少なくない。
 ドメスティックバイオレンス(DV)の相談が増えていることにも注意を要する。5月と6月、配偶者暴力相談支援センターなどへの相
談件数は、前年同月比の約1・6倍に上った。感染を恐れて家族が家で過ごす時間が増える中、女性の負担が増したりDVのリスクにさらされたりしているのだとしたら、深刻さはさらに募る。

 政府も事態を重視し、コロナ禍が女性の生活や雇用に与える影響を検証する有識者研究会を設置した。新型コロナ対策分科会のメンバーや雇用、医療などの専門家が実態を調査し、対策を議論する。雇用継続のための雇用調整助成金の拡充などはもとより、非正規雇用労働者の待遇改善を急ぐ必要がある。

 日本では新型コロナウイルス感染による死者は、現状で2千人以下にとどまっている。一方でコロナ禍で自殺に追い込まれている人が増えているのであれば、看過できない問題である。

 詳細な実態分析とともに、困難に直面している女性を一人でも多く救い出せるよう、きめ細かな支援策が求められる。





コロナ禍と自殺 あらゆる手段で安全網を(2020年10月20日配信『熊本日日新聞』-「社説」)

 警察庁によると、9月の全国の自殺者数(月別速報値)は前年同月より143人多い1805人となり、7月から3カ月連続で前年を上回った。特筆したいのは、男性の増加が5人だったのに対し、女性は実に138人だった点だ。

 7、8月を見ても、女性の自殺の増加傾向が著しい。背景にはむろん、新型コロナウイルスの感染拡大で雇用や暮らしが受けた深刻なダメージがある。その痛みが社会のより弱い部分を突いていることも、容易に想像がつく。

 政府は9月、内閣府に「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を設置。来月から自殺や解雇・雇い止め、ドメスティックバイオレンス(DV)被害などの実態調査に乗り出すという。

 ただ、現状では困窮者に具体的に届く支援メニューの策定こそ急ぐべき局面ではないか。財政支出を含むあらゆる手段を講じて、社会の安全網の確立を求めたい。

 ことしの自殺者数は6月まで前年同月を下回ったが、7月に1818人(前年同月比25人増)、8月1854人(251人増)と増え始めた。男女別では女性が6月から増加に転じ、7、8月は両月とも651人で、直近の5年間で最多。9月も639人と、看過できない水準に達している。

 研究会資料によると、政府が緊急事態を宣言した4月、全国の就業者数は大幅に減少したが、うち男性は37万人減、女性が70万人減だった。4~7月の失業者数は、男性が6月から減少に転じたのに対し、女性は4月以降の増加傾向に歯止めがかかっていない。

 総務省の8月労働力調査では、パートやアルバイト、派遣社員などの非正規雇用労働者は全国で2070万人。前年同月比で120万人減少し、うち女性が84万人を占めた。いずれのデータも非正規が多い女性の働き手が、コロナ禍による解雇や雇い止めの痛みをより強く受けた実態を示す。

 雇用現場だけではない。家庭内では家族の在宅時間が延びたことで、女性の家事や子育て、介護などの負担、さらにDVリスクが増したとみられる。DV相談件数は4~7月、前年の1・4~1・6倍で推移。7月は1万6748件が寄せられた。

 自殺者増を受け、田村憲久厚生労働相は先週の記者会見で「相談体制をしっかり整えていかねばならない」とした。男女を問わず生活面、精神面で悩み苦しむ人に対し、多様な相談窓口を通じてサポートしたい。

 そのためにも、相談から支援へスムーズにつながる施策が不可欠と言える。当面は雇用調整助成金の拡充や、新たな現金給付が課題だろう。本当に困っている人に、スピード感をもって支援の手が届く仕組みを構築するべきだ。

 自殺者数の推移は、そのまま社会のひずみの反映である。中長期的にも、正社員と非正規間、また男女間の格差など、多くのひずみを是正し、あらゆる人が生きやすい社会の実現へ、粘り強く取り組んでいきたい。



コロナ下の女性の自殺(2020年10月20日配信『宮崎日日新聞』-「社説」)

◆支援が必要な人絞り込みを◆

 新型コロナウイルスの感染拡大で雇用や生活に深刻な影響が広がる中、女性の自殺が増えている。政府は新型コロナ対策分科会メンバーや雇用、医療の専門家から成る「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を設置。来月から自殺や解雇・雇い止め、ドメスティックバイオレンス(DV)被害などの実態調査に乗り出す。

 警察庁によると、1月から6月にかけて自殺者数の月別速報値は前年の同じ月と比較して減少が続いていたが、7月以降、3カ月連続で増加。とりわけ女性は7月と8月、直近の5年間で最多となり、8月は前年より187人も増えて、男性の64人増を大幅に上回った。

 働く女性はパートやアルバイト、派遣社員など非正規が多く、コロナ禍による景気悪化で休業を理由に収入を減らされたり、解雇・雇い止めに遭ったりする。感染を恐れて家族がこもりがちになり、家事や子育て、介護の負担が増し、DVのリスクにもさらされる。

 感染収束の兆しはいまだに見えず、省庁や自治体、民間団体の相談窓口には「眠れない」「死にたい」などと悲痛な声が後を絶たない。実態調査は欠かせないものの、併せて丹念に支援を積み上げ、早急に安全網を整えることが求められる。

 警察庁発表の月別の自殺者数は7月1818人、8月1854人、9月1805人。このうち女性は前年同月比で6月から増加に転じ、9月は639人だった。橋本聖子男女共同参画担当相は「新型コロナの影響は女性に特に強く表れている」と述べた。

 有識者研究会に提出された資料によると、特に非正規で働く女性が多い宿泊・飲食、生活・娯楽、卸売・小売各業はコロナ禍で大きな打撃を受け、緊急事態が宣言された4月から7月にかけて、女性の就業者数はそれぞれの業種で113万人、55万人、47万人減少した。

 コロナ禍の影響はそれだけではない。DV相談は4~7月、前年同月の1・4~1・6倍で推移し、7月は1万6748件。各地の配偶者暴力相談支援センターに加え、4月に内閣府が24時間態勢で電話やメール、会員制交流サイト(SNS)による受け付けを始め、掘り起こしにつながったとされる。

 支援は急を要する。当面は、雇用継続を図る雇用調整助成金の拡充や現金給付などが焦点となるだろう。給付金については全国民に一律10万円のような形ではなく、本当に必要としている人に届くよう対象を絞り込むことを考えたい。中長期的には非正規と正社員、男女間の待遇格差の是正などに取り組む必要がある。





コロナと自殺増 命救う対策と実態調査を急げ(2020年10月18日配信『読売新聞』)

 自殺者が夏場から急増している。新型コロナウイルスの流行が長引き、精神面にも悪影響が出ているのではないか。一人でも多くの命を救う対策を急がねばならない。

 警察庁の統計によると、7月から9月の自殺者数は、3か月連続で1800人を超え、前年同期より計400人以上多かった。

 外出や営業の自粛が長期化し、経済的、精神的な負担が蓄積されている。1~6月はいずれも前年を下回っていた。最近の急増は深刻に受け止めるべきだろう。

 女性と子供の自殺の増加が目立っているのが気がかりだ。

 8月の統計では、女性は前年比4割増で、特に40歳未満は7割以上増えた。女性は非正規雇用が多く、コロナ禍で職を失った人もいる。外出自粛に伴う育児や介護のストレスのほか、家庭内暴力なども潜んでいた恐れがある。

 「学校問題」を理由とした子供らの自殺は、前年の16人から52人に増えた。長引く休校や慣れないオンライン授業で、子供たちは不安定な状況に置かれていた。

 コロナの影響で、解雇や雇い止めを通告された人は、6万5000人を超えている。

 1990年代のバブル崩壊後、年間3万人以上が命を絶ち、失業との関連が指摘された。国は、コロナと自殺の関係性について、調査を急いでもらいたい。

 一般に自殺の原因は、経済状況や人間関係などが複雑に絡み合うことが多い。芸能人の自殺が相次いだ影響が大きいと話す専門家もいる。国や自治体が、自殺の原因やリスクが高い層を見極めて、適切に対処することが大事だ。

 厚生労働省は1万人を対象に、「コロナうつ」の実態調査を始めた。高齢者を中心に、感染の不安などから心の不調を訴える人は多い。特に、一人暮らしのお年寄りや一人親家庭など、孤立しがちな世帯への目配りが重要になる。

 厚労省は9月、「生きづらさを感じている方々へ」と題した大臣メッセージを公表し、悩みを抱え込まずに、家族や友人ら身近な人に相談するよう呼び掛けた。

 悩みを打ち明けられる窓口の拡充が急務である。人手不足で活動を制限している団体もある。コロナ禍で対面相談は難しい。SNSを使った相談態勢の整備も必要だろう。国や自治体が、資金面で手厚く支援することが不可欠だ。

 周囲に助けを求められない人もいる。地域住民や関係機関が垣根を越えて連携し、SOSをすくい上げる環境を整えてほしい。



早急に安全網を整えよ(2020年10月17日配信『佐賀新聞』-「論説」)

 新型コロナウイルスの感染拡大で雇用や日々の生活に深刻な影響が広がる中、女性の自殺が増えている。政府は新型コロナ対策分科会メンバーや雇用、医療の専門家から成る「コロナ下の女性への影響と課題に関する研究会」を設置。来月から自殺や解雇・雇い止め、ドメスティックバイオレンス(DV)被害などの実態調査に乗り出す。

 警察庁によると、1月から6月にかけて自殺者数の月別速報値は前年の同じ月と比較して減少が続いていたが、7月以降、3カ月連続で増加。とりわけ女性は7月と8月、それぞれ651人と直近の5年間で最多となり、8月は前年より187人も増えて、男性の64人増を大幅に上回った。

 働く女性はパートやアルバイト、派遣社員など非正規が多く、コロナ禍による景気悪化で休業を理由に収入を減らされたり、解雇・雇い止めに遭ったりする。主婦としては、感染を恐れて家族がこもりがちになり、家事や子育て、介護の負担が増し、DVのリスクにもさらされる。特にシングルマザーは困窮状態から抜け出すのが難しい。

 感染収束の兆しはいまだに見えず、省庁や自治体、民間団体の相談窓口には「眠れない」「死にたい」などと悲痛な声が後を絶たない。実態調査は欠かせないものの、併せて丹念に支援を積み上げ、早急に安全網を整えることが求められる。

 警察庁発表の月別の自殺者数は7月1818人、8月1854人、9月1805人。このうち女性は前年同月比で6月から増加に転じ、9月は639人だった。橋本聖子男女共同参画担当相は「新型コロナの影響は女性に特に強く表れている」と述べた。調査で自殺の要因などを詳しく検証し、今後の対策につなげていきたいとしている。

 有識者研究会に提出された資料によると、特に非正規で働く女性が多い宿泊・飲食、生活・娯楽、卸売・小売各業はコロナ禍で大きな打撃を受け、緊急事態が宣言された4月から7月にかけて、女性の就業者数はそれぞれの業種で113万人、55万人、47万人減少した。

 総務省による8月の労働力調査で非正規は2070万人。前年同月と比べ120万人減と6カ月連続の減少となり、うち女性は84万人だった。

 また厚生労働省が13日に発表したコロナ関連の解雇・雇い止めは見込みも含め、6万5121人。前週より1774人増え、非正規がほぼ半数を占めた。ただし全国のハローワークや労働局を通じての集計で「氷山の一角」とみられている。

 女性に厳しい数字が並ぶが、コロナ禍の影響はそれだけではない。DVの相談は4~7月、前年同月の1・4~1・6倍で推移。7月は1万6748件だった。各地の配偶者暴力相談支援センターに加え、4月に内閣府が24時間態勢で電話やメール、会員制交流サイト(SNS)による受け付けを始め、掘り起こしにつながったとされる。

 支援は急を要する。当面は、雇用継続を図る雇用調整助成金の拡充や現金給付などが焦点となるだろう。給付金については全国民に一律10万円のような形ではなく、本当に必要としている人に届くよう対象を絞り込むことを考えたい。さらに中長期的には、非正規と正社員や男女の間にある待遇格差の是正などに取り組み、粘り強く施策を重ねていく必要がある。(共同通信・堤秀司)





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