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手話通訳者 茨城県内で不足 高まる需要、増える派遣 収入不安定、多い「副業」 担い手 伸び悩む(2020年10月18日配信『茨城新聞』)

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フェースシールドを着けて手話通訳をする県手話通訳者協会の吉原守利会長=水戸市住吉町フェースシールドを着けて手話通訳をする県手話通訳者協会の吉原守利会長=水戸市住吉町

 茨城県内の手話通訳者が不足している。聴覚障害者の活躍の場が広がるにつれ、手話通訳の派遣はここ5年で3割以上増えた。その半面、通訳者の数は横ばいが続いている。通訳の仕事は肉体的負担が大きく、専門的な技術を要するものの、収入が不安定なため多くは別に本業を抱えている。関係者は「通訳者を確保、養成できなければ、今後の障害者の社会参加を阻んでしまう」と危機感を募らせる。

■体力勝負

 今年5月から導入された知事会見の手話通訳。生配信が始まると、知事の発言に合わせて通訳者は手や腕、口を素早く動かし続ける。表情豊かに体全体を使って、画面を通して聴覚障害者に情報を伝える。

「手話通訳の仕事は体力勝負。長時間の通訳は難しく、20分が限界」。県手話通訳者協会の吉原守利会長(59)は明かす。

 通訳者は会話の要点をつかみ、的確な手話に置き換える技術と集中力が求められる。会見では15分ほどで別の通訳者に交代し、負担軽減を図っている。

 県聴覚障害者協会(会沢隆典会長)は「手話通訳のおかげで、障害者がタイムラグなく情報を得られる環境になった」と会見への通訳導入に安堵(あんど)する。

 手話通訳の需要は年々高まっている。手話通訳者の派遣事業を営む県聴覚障害者福祉センター「やすらぎ」(水戸市)によると、2019年の派遣人数は延べ4107人で、5年前の3083人と比べ1024人(33・2%)増えた。

 依頼が増えた背景には、16年に障害者差別解消法と改正障害者雇用促進法の施行がある。聴覚障害者の活躍の場が企業やイベントなどで拡大。県内では18年に県手話言語条例が施行され、県や市町村、企業などに手話普及の努力義務が課された。吉原会長は「ニーズは今後ますます増え、多様化していく」と指摘する。

■増減なし

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 一方で、手話通訳者の数は伸び悩む。同センターによると、県内の登録は114人で、ここ数年大きな増減なく推移してきた。年代別で見ると、50代以上が約6割。20〜30代は1割に満たず、高齢化が課題だ。

 登録者のほとんどは別に本業を持っていて、平日に依頼を受けられる人は限られる。専業主婦や定年退職者など20人ほどで依頼全体の6〜7割を請け負っており、1人で年間150件近くこなす人もいる。

 新型コロナウイルスの影響で最近の派遣依頼は減っているものの、医療機関への同行依頼は依然多い。口の動きが見えるよう、マスクの代わりにフェースシールドを着け、消毒などの対策も講じている。

■地位向上

 通訳者不足の一因に、収入の不安定さがある。登録者はあくまで団体や自治体に「登録」しているだけで、雇用関係や労働契約は結んでおらず、報酬は依頼ごとに支払われる。福利厚生もなく、「手話通訳一本で生計は立てられない」(吉原会長)。公的機関での正規雇用など、担い手の地位向上を求める声が出ている。

 人材養成も課題だ。県聴覚障害者協会によると、認定試験の合格者は毎年少ない上、合格後すぐに現場で活動できる人もわずか。同協会は養成講座の指導改善に加え、多くの人が手話に触れる機会づくりを検討する。

 吉原会長は「聴覚障害者が積極的に声を上げることが必要。障害者や手話通訳への理解が広がることで、通訳者を目指す人が増えてほしい」と期待する。




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