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「妻子の遺影、なぜ持ち込めぬ」 池袋暴走、遺族が初公判で感じた疑問(2020年10月19日配信『毎日新聞』)

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妻真菜さんと長女莉子ちゃんの遺影を手に、東京地裁に入る松永拓也さん(手前左)と真菜さんの父、上原義教さん(同右)=東京都千代田区で2020年10月8日午前8時50分、小川昌宏撮影

 遺影を持った被害者参加は認められない――。2019年4月に11人が死傷した東京・池袋の暴走事故の公判で、被害者参加制度の利用を申請した遺族に、東京地裁がこうした判断を示した。妻と娘を亡くした松永拓也さん(34)は「遺影は2人の姿の代わり。一緒に参加できないのはおかしい」と、判断の見直しを求めている。遺影の持ち込みは、これまでも遺族が闘ってきた歴史がある。なぜ裁判所は慎重なのか。【島田信幸】

 「裁判所に『おかしい』と言ったら、裁判が不利になりますか?」。初公判を5日後に控えた10月3日。松永さんは被害者参加代理人の上谷さくら弁護士との打ち合わせで、裁判所に対する違和感を初めて口にした。

 法廷への遺影の持ち込みを希望する松永さんたちに、この前日、検察官を通じて東京地裁の考えが伝えられていた。①傍聴席で遺影を持つことは構わない②ただし、被害者参加人として法廷に入る場合は認められない③遺影を持つなら被害者参加人から外れるように――との趣旨だった。

 被害者参加人は、刑事裁判の当事者として法廷で検察官の隣に座り、意見を述べるほか、被告に質問もできる。地裁は事前に松永さんのほか親族6人の被害者参加を認めていた。「遺影か」「被害者参加か」。松永さんは地裁から二者択一を迫られていると受け止めた。

 「裁判所に主張するのは正当な権利。不利になることはない」。上谷弁護士は、納得がいかない様子の松永さんを励ました。松永さんは裁判を通じて事故の悲劇だけでなく、被害者の権利をきちんと主張していくことを決意した。

 松永さんは事故で妻真菜さん(当時31歳)と長女莉子ちゃん(同3歳)を奪われた。2人は自転車で青信号を渡っていたところを、旧通産省工業技術院の元院長、飯塚幸三被告(89)=自動車運転処罰法違反(過失致死傷)で起訴=が運転する車にはねられた。車は時速96キロの猛スピードで暴走していた。

 遺影は18年12月、松永さんの父の誕生日に撮影した家族写真だ。晴れ着姿でほほ笑む真菜さんと莉子ちゃん。突然の事故に混乱するなか、「せめて晴れ着姿のきれいな2人を」と選んだものだった。「2人の声は自分が代弁できるが、姿を見せることはもうできない」。松永さんは、遺影と一緒に裁判を闘うことは譲れなかった。

 遺族側は5日に上申書を地裁に提出した。被害者参加人が多いことから、地裁は法廷の柵を越えた検察側の席に座りきれない被害者参加人のための席を、傍聴席に確保していた。上申書は、この席で親族が遺影を持つと説明し、「検察側の席で遺影を持つわけではなく、被害者参加人の立場のままでも遺影を持つことは問題ない」と訴えた。

 だが、地裁の判断は変わらず、詳しい理由の説明もないまま上申書は退けられた。8日の初公判では、松永さんの母が被害者参加を辞退し、傍聴席で、膝の上に遺影を乗せて傍聴した。

 刑事裁判での遺影の取り扱いは、遺族が裁判所への訴えを続け、一部勝ち取ってきた歴史がある。最初に疑問を呈したのは、19…




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