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【杉田議員問題】自民党は厳正な処分を(2020年10月19日配信『高知新聞』-「社説」)

 性暴力被害を巡り、「女性はいくらでもうそをつけますから」。被害者を蔑視するような発言をした自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に対し、抗議活動が続いている。

 性暴力撲滅を訴える「フラワーデモ」の主催者らが呼び掛け、議員辞職や謝罪を求める署名はおよそ半月で13万6千筆超も集まった。

 しかし自民党は受け取りを拒否した。問題の沈静化を図ろうとしているようだが、幕引きは許されない。

 杉田氏の発言は、性暴力被害者をおとしめる「セカンドレイプ」そのものだ。本人のブログでの「謝罪」で済む問題ではない。政治家として公の場で謝罪するとともに、自民党は厳正な処分を検討するべきだ。

 杉田氏の発言は先月25日、政府担当者が性暴力の相談事業を説明した非公開の党会合で行われた。

 「女性がうそをつく」という偏見は「レイプ神話」と呼ばれている。女性が被害を訴えても信じてもらえず、「あなたにも落ち度があった」「合意があった」と疑われる。

 そうした言動は「セカンドレイプ」といわれ、被害者はさらに傷つき、泣き寝入りにも追い込まれる。

 杉田氏は当初、発言を否定したが、会合の5日後に自民党の下村博文政調会長から口頭で注意を受けた後、ブログで認めて「謝罪」した。

 ただ、その内容は「女性のみがうそをつくかのような印象を与えた」「女性を蔑視する意図はまったくございません」という釈明だった。

 女性一般に関する話のように問題をすり替えており、性暴力被害者から「謝罪になっていない」と抗議の声が収まらないのは当然だろう。

 杉田氏は「こういう形での説明は党と相談し、指導をいただきながらやっている」と、ブログでの謝罪は自民党の判断であると述べている。

 杉田氏は性暴力被害を公表したジャーナリスト、伊藤詩織さんを中傷するネット投稿に繰り返し「いいね」を押したとして、8月に提訴された。伊藤さんを「女として落ち度があった」とテレビで批判もした。氏の偏見は根強いと言える。

 一昨年には、性的少数者(LGBT)への持論を月刊誌に寄稿し、「子供をつくらない、つまり『生産性』がない」と主張した。あからさまな差別、排除の考え方で優生思想さえ想起させる。この時も、自民党は杉田氏への「指導」を党のホームページで公表するにとどめた。

 なぜ党は杉田氏に甘いのか。保守派の識者は「似たような発想の国会議員が何人もいて、党は厳しい処分ができないのでは」と指摘する。

 さらに「封建的な価値観で男尊女卑の傾向が強い中高年男性から、『女性なのにいいことを言ってくれる』と支持を集めていた」という。事実ならゆがんだ考え方を感じる。

 杉田氏は党が擁立した比例単独候補として当選している。党総裁の菅義偉首相はどう考えているのか。

 杉田氏という一議員の問題ではない。自民党の人権に対する認識が問われている。




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