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「生きづらさを知ってほしい」 いまを生きるトランスジェンダーのドキュメンタリーが伝えるもの(2020年10月19日配信『AERA.com』)

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「I Am Here」は、10月17~24日、東京・田端の「シネマ・チュプキ・タバタ」で上映(要予約)。毎日、浅沼さんと出演者によるトークイベントを開催。東京ドキュメンタリー映画祭2020、香川レインボー映画祭でも上映される予定。https://trans-iamhere.jp/(写真/浅沼智也)

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浅沼智也さんは1989年、岡山県生まれ。看護師。自身の経験を踏まえてトランスジェンダー当事者がより生きやすい社会になるよう啓発活動をしている(撮影/編集部・大川恵実)

 現代日本に生きるトランスジェンダーに光をあてたドキュメンタリー映画「I Am Here ─私たちはともに生きている─」が公開中だ。自身も当事者である浅沼智也さんが監督した。AERA 2020年10月26日号から。
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「どんだけ戸籍を男にしても、自分は元女だって言い続けて処置を受けるだろうなと思ったから、戸籍を変えるのをやめました」と話す人もいれば、「(性別適合手術を受けて)やっと女性の体に戻れたということが、本当にうれしかった」と語る人がいる。映画「I Am Here ─私たちはともに生きている─」に登場する人たちの言葉だ。この映画は、20代から70代まで、17人の性同一性障害(GID)やトランスジェンダーの人たちが、それぞれの過去や悩み、希望を語ることで、当事者たちの抱える問題を浮き彫りにしようと試みたドキュメンタリー作品だ。

■ハードル高い戸籍変更

 この映画を監督し、出演もしているのが、トランスジェンダーの浅沼智也さん(31)。女性として生まれたが、23歳で性別適合手術を受け、戸籍を男性に変えた。

「昔に比べると、今の日本は僕たちが少しだけ生きやすい社会になったと思います。しかし、全ての当事者が胸を張って幸せに生きられる状態とは言い難い。差別や偏見は続いているし、いないものとされることもあるからです。映像を通して、日本のトランスジェンダーの状況を、世界を含むあらゆる人に知ってもらいたいと思ったのが、映画を作るきっかけの一つです」

 浅沼さんは、年代もバラバラで、職業も会社員から、水商売、研究者と、さまざまな境遇で生きる当事者をインタビューしていくことに決めた。実は映画を作ったことも勉強したこともない。友人の力を借りて、昨年7月から撮影、8カ月で完成させた。

 映画では、2004年に施行された戸籍上の性別を変更できるGIDの特例法にも触れる。20歳以上であること、未成年の子どもがいないこと、性別適合手術を受けていることなど、五つの要件を満たした人が戸籍性を変えることができる。待望の特例法だったが、変更するためのハードルは高い。

「戸籍を変えて幸せになった人もたくさんいます。でも、戸籍変更のための法律は心身ともに負担が大きいと思っています。性別適合手術の場合、体への負担が大きく、アフターケアも大変。僕自身、生殖器を取ったことで、子孫を残せないし、更年期障害の症状もある。戸籍変更後も、ホルモン療法を継続するために資金が必要です。若い人が戸籍変更する事も多いですが、変更後の人生の方が長いんですよね」

 浅沼さんは手術をしたことに後悔の気持ちがあるからこそ、次世代の当事者たちには、同じ思いをさせたくないと願う。映画の出演者からも、「自分と同じような境遇にある人を助けたい」という思いを感じたという。

■一緒に協力してほしい

 トランスジェンダーは日常的に傷つけられることが多い。たとえば、書類の性別欄。見た目と戸籍の性別が一致しない場合、どちらに〇をしても、トランスであることを強制的に告白しなくてはならないことがある。見た目で差別や偏見を受けることもあるし、ネット上ではトランスヘイトが広がっている。差別や偏見を受け、孤独感が増し、自ら死を選ぶ人も少なくない。

「この映画を通して、当事者の人には、他にもがんばっている人がいるから、自分らしく胸を張って生きてほしいとエールを送りたい。同時に、当事者でない人にも、僕たちが何に困っているのか、日本の法制度を含めどんな問題があるのかを知ってほしい。そして、一緒に変えていくために協力をしてほしいんです」

(編集部・大川恵実)

※AERA 2020年10月26日号



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