FC2ブログ

記事一覧

75歳以上医療費 不安に応える議論尽くせ(2020年10月20日配信『新潟日報』-「社説」)

 少子高齢化が止まらない中で、担い手が減る社会保障制度をどう見直し、維持するのか。

 国は社会保障制度改革の目玉となる75歳以上の医療費窓口負担引き上げを、年末までに最終決定する方針だ。

 後期高齢者の急増を控えて対策が急がれる一方、「痛み」を伴う改革は賛否が割れ、異論もある。政府は全世代型社会保障検討会議や国会で議論を尽くし、国民の疑問や不安にしっかりと応えてもらいたい。

 75歳以上医療費の窓口負担は現在、年収約383万円以上の「現役並み所得」がある約115万人(約7%)が3割、それ以外の人は1割だ。

 窓口負担以外の医療費は税金と、現役世代が払う保険料からの支援金で賄っている。

 厚生労働省は新たに、年収が「240万円以上、383万円未満」の人の窓口負担を、現在の1割から2割に引き上げる案を検討中で、約190万人(十数%)が対象になる見通しだ。

 新たな線引きには、介護保険制度が高齢者の所得上位20%を2割負担としていることから、「理屈」として説得しやすいという思惑が透ける。

 高齢者の負担引き上げは、保険料で支える現役世代に配慮したものだ。それだけに受け止め方には世代間で違いがある。

 新潟日報社が加盟する日本世論調査会が8~10月に行った調査では、窓口負担を増やす方針について、賛成は52%、反対は47%で賛否が割れた。

 現役世代の30代は60%が賛成と答えた一方、70歳以上は53%が反対という結果となった。

 負担増に対しては高齢者だけでなく、医療関係者の間にも異論が出ている。

 窓口負担が増えれば高齢者が受診回数を控えかねず、糖尿病など慢性疾患の重症化を招くリスクが高まるためだ。

 医療機関には、新型コロナウイルスの感染拡大で外来患者が減少する中、高齢者の患者まで減ることになり、経営を圧迫するのではとの懸念もある。

 だが今回の案に沿って窓口負担を引き上げても、現役世代が負担する支援金の削減効果は年約500億円にとどまり、毎年平均約1600億円の増加分には追いつかない。

 制度を維持していくには、負担と給付の在り方を抜本的に見直し、財源についても幅広に議論していくことが不可欠だ。

 気になるのは衆議院の任期満了が1年後に迫り、衆院選を意識して「やるべき改革でも先送りになるかもしれない」との声が国会内から聞こえることだ。

 国民に負担を強いる上、賛否が分かれる難題ではあるが、団塊の世代が75歳以上になり始める2022年が迫っていることを見据えれば、先送りする余裕はないはずだ。

 菅義偉首相は目指す社会像を「自助、共助、公助」としているが、社会保障制度を構築する土台である人口減少問題にはどう向き合うのか。26日召集予定の臨時国会で、その方向性をしっかり示してもらいたい。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ