FC2ブログ

記事一覧

NHK受信料 取り立てにはやる危うさ(2020年10月21日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 公共放送を受信料で支える仕組みは、視聴者、国民の支持と信頼の上に成り立つ。徴収が強制の色合いを強めれば、その基盤を崩すことになりかねない。

 テレビを設置した人に届け出を義務づける受信料制度の改定を、NHKが総務省の有識者会議で要望した。テレビがない場合にも届け出を求めている。

 加えて、受信契約を結んでいない世帯について、居住者の名前や転居先を公共機関などに照会できる制度の導入も要望した。未契約者を把握しやすくすることで不払いを減らし、徴収に関わる経費を削減できると説明している。

 NHK会長の諮問機関が2017年に出した答申を踏まえての提案だろう。テレビの設置状況を確認できる制度を設けることや、電気、ガスなどの事業者から居住者の情報を得て受信料の徴収に使う案を示していた。

 NHKは今回、法制度の改定による届け出の義務化にまで踏み込んでいる。そうなれば、強制の色合いを帯びるのは明らかだ。また、テレビを持たず、受信契約の義務がない人に届け出を義務づけるのはそもそも無理がある。

 居住者情報の照会制度も、強引さが否めない。事業者が持つ個人情報は本来、本人の同意なしに第三者に提供できない。受信料の徴収に利用できるのか疑問だ。

 放送法は、テレビを設置した人に受信契約を結ぶよう定めている。最高裁は17年、この規定を合憲と判断した。受信料制度を、特定の個人や団体、国家機関の影響が及ばないよう、広く公平な負担によって公共放送を維持する仕組みと位置づけている。

 一方で放送法は、契約を強制する規定を置かず、不払いへの罰則もない。それは、番組や組織運営が視聴者に支持されなければ、制度が立ちゆかないことを意味する。受信料で成り立つ公共放送としてNHKはそれだけ重い責任を負っているということだ。

 しかし、実情は危うい。報道が政権寄りだとの批判は絶えず、背骨である自主自律がぐらつく事態も相次ぐ。かんぽ生命保険の不正販売を追及した番組をめぐっては、日本郵政の幹部による介入を許した。政府、与党の圧力にも毅然(きぜん)と向き合えていない。

 主権者の知る権利に応える公共放送として足場を立て直し、受信料の負担に理解を求めていくことこそが欠かせない。経営上、都合がいいように法制度を変え、取り立てにはやるのは、受信料制度の根本をはき違えている。




スポンサーサイト



プロフィール

gogotamu2019

Author:gogotamu2019
障害福祉・政治・平和問題の最新ニュース・論説紹介

最新記事

カテゴリ