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(論)森友問題に関する論説(2020年10月21・22・12月1日・2021年3月4日

【森友応接録】不開示46回で何を隠した(2021年3月5日配信『高知新聞』-「社説」)

 学校法人「森友学園」への国有地売却を巡る学校関係者らとのやりとりを記録した応接録の情報公開請求に対し、財務省は文書が存在しないことを理由に計46回の不開示決定をしていた。麻生太郎財務相が衆院予算委員会で明らかにした。

 実際には応接録は存在し、一部職員はそのことを認識していたとされる。それにもかかわらず虚偽決定を繰り返していたことになり、極めて悪質だ。

 麻生氏は「誠に遺憾」と述べたが、情報公開法違反が疑われかねない事態だ。行政がゆがめられてはならない。森友問題の全容の解明に取り組む誠実な姿勢が求められる。

 不開示決定は、2017年3月~18年5月に財務省の本省で9回、近畿財務局で37回あったとする。

 財務省が18年6月に公表した決裁文書改ざんの調査報告書によると、情報公開請求により応接録の開示を求められるケースも相次いだが、「その都度、『文書不存在』を理由に不開示の決定」を行ってきた。こうした事実は明らかにしていたが、回数は不明だった。その多さゆえに隠していたと思えるほどだ。

 報告書によると、理財局は売買契約が締結された16年6月を「事案終了」に当たると整理した。佐川宣寿理財局長(当時)は17年2月の衆院予算委員会で、交渉記録は保存期間が1年未満とされ、「記録が残っていない」と答弁した。

 当時の理財局総務課長や国有財産審理室長は、文書が残っていることを「認識していたものと認められる」と指摘している。一方、理財局長は存否を確認しないまま廃棄されているはずだと認識したことや、総務課長の、残っているならば適切に処理するよう指示されたものとする受け止めを記している。

 内向きで、身勝手な解釈だ。それで何を守ろうとしたのか。

 森友問題を巡っては、決裁文書を改ざんさせられ、自殺に追い込まれた元近畿財務局職員の妻が、国などに損害賠償を求めている裁判で、元職員が改ざんの過程を記したとされるファイルなどの提出を申し立てた。国側は請求棄却を求め争う姿勢で、ファイルの存否さえ明らかにしない。「真相を知りたい」という妻の思いに寄り添う姿勢は見えない。

 安倍政権下では、森友問題で事実と異なる政府答弁が計139回あったことが判明している。これには、学園との応接録がありながら不存在とした答弁も含まれる。

 また、「桜を見る会」前日の夕食会費問題でも100回を超える「虚偽答弁」が行われた。国会、ひいては国民の軽視も甚だしい。

 人事権を振りかざして官邸の意向に従わせ、全体の奉仕者である官僚に忖度(そんたく)と身内優遇とをはびこらせる。官僚の倫理観も相当ぐらついている。総務、農水省の官僚は利害関係者から接待を受けて処分される不祥事も起きている。

 行政の公平性、透明性に疑念が向けられていることをしっかり認識して、検証が必要だ。





財務省森友文書 民主主義を掘り崩す隠蔽(2021年3月4日配信『信濃毎日新聞』-「社説」)

 隠蔽(いんぺい)体質は何も変わっていない。

 森友学園問題を巡って、財務省が内部文書を改ざんしていたことが判明してから、2日で3年が経過した。

 公文書を恣意(しい)的に改ざんしてまで、国有地を低価格で売却した過程を隠そうとした問題だ。財務省の体質が厳しく批判され、当時の理財局長だった佐川宣寿氏ら20人が処分されている。

 動機や改ざんの経緯など、まだ分かっていないことが多い。

 決裁文書を改ざんさせられ、自殺した元近畿財務局職員赤木俊夫さんは、改ざんの過程をファイルに記していたとされる。

 それなのに財務省は、ファイル提出を求めた衆院調査局の調査に対し、要求を拒否し続けている。存否すら明らかにしていない。

 赤木さんの妻が国などに損害賠償を求めた訴訟が係争中で、「訴訟に不当な影響を与える」ことを理由にしている。

 一方、訴訟では「改ざんの経緯や内容などは公表した通りで、ファイルは争点とは関係ない」として、存否も回答していない。

 財務省は衆院では「訴訟に影響を与える」とし、訴訟では「争点とは関係ない」と主張していることになる。訴訟の争点に関係ないのなら、存否を明らかにすべきだ。存在するなら衆院に提出するのが筋ではないか。ファイルを隠蔽したい理由があるのか。

 衆院財務金融委員会では、野党が「二枚舌」として批判し、麻生太郎財務相に「存在を認めるべきだ」と要求。麻生財務相は「ファイルがあるかないか、分からない」と開き直ったかのような答弁をしたため、審議が紛糾した。

 衆院調査局の調査は、国会の国政調査権を補完する仕組みだ。民事訴訟を理由に、国が資料提出を拒否した事例はほかにない。今回の対応は国民の代表である国会の軽視だ。看過できない。

 衆院予算委員会では、森友学園関係者などとの応接録の情報公開請求で、財務省が虚偽回答をしていたことも分かった。文書が存在しているのに、文書不存在を理由に46回の不開示決定をしていた。

 期間は2017年3月から18年5月で、文書改ざんが判明した後も虚偽回答を続けていた。

 公文書管理法は、行政文書を「民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」とし、「現在と将来の国民に説明する責務」を果たすことを求めている。

 財務省は、国会や公文書に対する姿勢を、根本的に見直さなければならない。





森友問題への政府対応 歯止めかからぬ国会軽視(2020年12月1日配信『毎日新聞』-「社説」)

 学校法人「森友学園」への国有地売却に関する公文書改ざん問題で、財務省が国会から求められた資料の提出を拒んでいる。国会を軽んじる異例の事態だ。

 改ざんを指示されて自殺した近畿財務局職員の赤木俊夫さんが、改ざんの経緯を記したとされる文書だ。元上司が文書の存在を赤木さんの妻に伝えた会話の録音データも残っている。

 国会には、憲法62条に定める国政調査権がある。これを補完するため、少数会派でも活用できる「予備的調査」という制度が衆院規則で設けられている。

 40人以上の議員が要請すれば、衆院調査局長らが官公庁に協力を求めて調査する制度だ。今回は野党議員128人が要請していた。

 改ざんが発覚した2年前の国会で、大島理森衆院議長は「国民に大いなる不信感を惹起(じゃっき)し、極めて残念な状況だ」と政府の対応に懸念を表明した。その際、活用を呼びかけたのがこの制度だった。

 ところが、麻生太郎財務相は、赤木さんの妻と国などの間で民事訴訟が続いているとし、「訴訟に影響を及ぼすべきではないので回答を控えたい」と語っている。

 協力要請に強制力はないが、民事訴訟を理由に要請された資料を出さなかったり、回答を拒んだりした例は過去にないという。財務省の対応は、制度の趣旨や議長の提案をないがしろにするものだ。

 麻生氏や当時の佐川宣寿理財局長らが約1年半の間に、この問題について国会で事実と異なる答弁を139回していたことも調査で明らかになった。

 虚偽答弁の問題は、安倍晋三前首相の「桜を見る会」前夜祭を巡っても表面化している。調査局によると、前首相は事務所の関与や差額の補塡(ほてん)、明細書の存在を否定する国会答弁を計33回していたという。

 内閣は行政権の行使にあたり、主権者である国民を代表する国会のチェックを受ける。権力分立の仕組みだ。

 国会を尊重し、これを機能させるのが内閣の責務だ。虚偽答弁や調査への回答拒否が続けば、国会は本来の役割を果たせない。

 議会は民主主義の土台だ。前政権から続く国会軽視の姿勢を、政府は改める必要がある。





森友公文書改ざん/新たな証拠を無駄にするな(2020年10月22日配信『河北新報』-「社説」)

 学校法人「森友学園」の国有地売却問題で、決裁文書改ざんの核心に触れる新たな証言が出てきた。

 「公文書を改ざんした経緯を詳細に記録したファイルが残されている」

 改ざんに加担させられたことを苦にして自殺した元財務省近畿財務局職員赤木俊夫さん=当時(54)=の元上司が2019年3月、赤木さんの自宅を一周忌の弔問に訪れた際、赤木さんの妻に語った内容の音声データだ。

 元上司は「ファイルにして赤木さんがきちっと整理している。何が本省の指示か、これを見たら、われわれがどういう過程でやったのかが全部分かる」と述べている。

 音声データは、赤木さんの妻が国と当時理財局長だった佐川宣寿氏に計約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、原告側が大阪地裁に証拠提出した。今月、原告側が公開した。

 原告側は国にファイルの提出を求めたが、国は「回答の必要がない」として存在の有無すら答えていない。

 元上司は「赤木さんは涙を流しながら改ざんに抵抗していた」と部下が苦しむ様子も明かした。

 国有地売却の責任者であり、改ざんの当事者の証言だ。見過ごすことはできない。赤木さんの苦痛と自殺との因果関係を確認するためにも、ファイルの公開は欠かせない。

 財務省は調査報告書で、改ざんは佐川氏が主導したと断定している。ゆがんだ行政がまかり通っていたのだ。国は非を認めた以上、全容解明へ責任を全うすべきだ。

 元上司は国有地の売却にも言及している。財務省は鑑定価格の9億5600万円から約8億円値引きし、1億3400万円で売却した理由を、地下のごみ撤去に費用がかかるためだと説明してきた。

 元上司は「この8億の算出に問題がある」「確実に撤去費用が8億になるかという確証が取れていない」と金額の整合性を疑問視している。

 佐川氏は虚偽公文書作成容疑などで告発されたが、不起訴となった。財務省による処分は済んだが、指示系統がはっきりせず、8億円も減額した動機は不明のままだ。

 今年6月に第三者委員会による調査を求め、約35万筆の署名が安倍晋三前首相に提出されたのは、幕引きの仕方に対する国民の疑念の表れだ。
 安倍政権は調査に応じる姿勢を見せなかった。前政権の「継承」を掲げる菅政権は対応を引き継ぎ、この問題にふたをしようとしている。

 森友学園問題は安倍政権の「負の遺産」の一つだ。不信感は時間がたてば払拭(ふっしょく)されるものではない。改ざんを強いられた職員が自ら命を絶った事実は忘れ去られることはない。

 ファイルは真相究明の鍵を握っている。その存在をあいまいにし、公開を拒否することは許されない。



ふたの文化(2020年10月22日配信『佐賀新聞』-「有明抄」)

 世の中には間違いが常識として定着してしまうことがある。身近な例は洋式トイレ。日本人が「ふた」と思っているのは、実は「椅子」である。そこに腰かけて靴を脱いだり、脱衣したりするためにある

◆外国ではバスルームの便器にだけ座面(ふた)があり、靴を脱ぐ必要がない公衆トイレなどの個室式にはそれがない。おしり洗浄や温か便座とともに、ふたも日本で独自に進化したトイレ文化かもしれない

◆文科省の全国調査では、公立の小中学校に設置された洋式トイレは57%と初めて和式を逆転した。とはいえ県内はまだ47・8%。多くの家庭に洋式が普及したいま、もともと恥ずかしくて行きづらい学校のトイレが、古くて慣れない和式だとますます敬遠されかねない

◆日本人が椅子をふたと間違えた原因は「臭いものにはふた」の意識が染みついていたから、との説もある。前政権では森友、加計学園や桜を見る会の問題が、ずさんな公文書管理で「なかったこと」になった。新首相の著書から、むかし書いた「政府があらゆる記録を残すのは当然」という持論が消えたのもお国柄だろうか

◆TOTOが募集した今年の「トイレ川柳」にこんな入選作があった。〈生きてるって 大変よねと 思う場所〉。臭いものにふたをして何になる…学校に残る和式トイレはそう教えているのかも。



森友公文書改ざん(2020年10月21日配信『しんぶん赤旗』ー「主張」)

菅政権は全容を公開すべきだ

 学校法人「森友学園」に国有地が破格の安値で払い下げられ、その交渉内容を記した公文書が改ざんされた問題で新事実が浮上しました。改ざんの経緯を記録したファイルが存在するとの発言が音声データに記録されていたのです。発言したのは、改ざんを強いられ自殺した近畿財務局の職員、赤木俊夫さんの元上司です。元上司は、ファイルを見れば改ざんの過程が「全部分かる」と述べています。「真実が知りたい」と裁判を起こした赤木さんの妻、雅子さんは、音声データを証拠として提出し、ファイルの公開を求めています。政府に拒む理由はありません。

「全部分かる」ファイル
 「森友」疑惑は、安倍晋三前首相の妻、昭恵氏が「名誉校長」に就任していた「森友学園」の小学校建設のため、大阪府内の国有地が鑑定価格から8割も値引きされて売却されたことが発覚し、大問題になりました。当時、安倍首相は「私や妻の昭恵が関与していれば首相も国会議員も辞める」と国会で答弁し、それに合わせるため、関与を疑わせる公文書の廃棄や改ざんが行われました。

 安倍政権は改ざん問題で財務省の佐川宣寿理財局長らを処分したものの、佐川氏らの具体的な指示はなかったなどとする報告書をまとめて決着を図りました。しかし、雅子さんが、佐川氏と国に賠償を求めた裁判に証拠として提出し、弁護団が公表した音声データは、佐川氏の関与を強く示唆するものです。

 その中で元上司は、改ざんは「佐川さんの判断」と明言し、近畿財務局には赤木さんが作成したファイルがあって、「これを見たら、われわれがどういう過程で(改ざんを)やったのか全部分かる」と語っています。この発言は、赤木さんが自殺してから約1年後の2019年3月に、元上司が赤木宅を弔問に訪れた際に録音されたものとされます。ファイルの公開を求めた原告側に対し、国側は「回答する必要はない」との立場です。ファイルが存在するか否かさえ答えないのはあまりに不誠実で、冷たい態度です。雅子さんは意見陳述で、「答える必要がないという回答がどれだけ遺族を傷つけるか想像してほしい」と訴えました。この声を受け止めるべきです。

 「森友」疑惑で菅義偉首相は、財務省の調査や処分、検察の捜査が終わっていると、再調査を拒んでいます。今回の元上司の発言は、見過ごせない新事実です。これでもなお再調査しないという姿勢は通用しません。第三者委員会の設置による再調査を求めて雅子さんが呼びかけた署名も35万人分を超えました。国民は疑惑の全容解明を求めています。その声に逆らい続けることは許されません。

隠ぺい姿勢を改めよ


 発足から1カ月たった菅政権は、「森友」疑惑だけでなく、「加計学園」の獣医学部開設をめぐる疑惑や政府主催の「桜を見る会」疑惑、河井克行元法相夫妻の大規模買収事件などについても、沈黙を続けています。

 菅首相は以前発刊した本やインタビューを再録した新著を20日出版しましたが、そこからは公文書の管理の重要性を訴える記述があった章は削られています。都合の悪いことは国民から隠し続ける―そんな姿勢だとしたら、菅氏に政権を担う資格はありません。






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