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プロの力(2020年10月22日配信『神戸新聞』-「正平調」)

 小学校時代、担任の教師から平手打ちをくらった。なぜ怒られたか、理由は覚えていない。頬を焼くような瞬間の痛みと怖さだけが記憶に刻まれた

◆この中学生たちの恐怖や痛みはいかばかりか。宝塚市の中学校で起きた傷害事件のことだ。「きつめの指導」と称し、柔道部顧問が投げ技などで2人に重軽傷を負わせ、傷害容疑で逮捕された。帰宅した後も生徒は震えていたと、保護者は言う

◆それから10日、解けぬ疑問がいくつもある。これほど体罰はやめようと言われてもなかなか減らない。なぜだろう。兵庫教育界の規範が緩いのか。そう問う声も耳に届く

◆脚本家倉本聡さんの話を思い出す。幼いころに万引をしたそうだ。欲しかったお菓子屋さんのビスケットを2枚。気づいたお母さんから事情を聴いて、お父さんは「出かけるよ」と倉本さんを外へ連れ出した

◆向かったのはそのお店。「ビスケットを全部ください。在庫も」とお父さんは言った。そして大きな袋二つをかついで帰る間、説教はなし。でもビスケットがおやつに出るたび、倉本さんは後ろめたさを感じ続ける。自伝エッセー「見る前に跳んだ」から

◆力ではなく、言葉や姿勢で諭し、導く。難しいのを承知の上で期待する。教育に生きる皆さんの、プロの力。



キャプチャ

「北の国から」「前略おふくろ様」……これらは老若男女がお茶の間のテレビにかじりついたドラマ黄金期の著者の脚本になる作品である。脚本家の名を冠にしたテレビドラマが大衆の人気を博した世代、向田邦子、山田太一と並ぶ巨匠の自伝的エッセイが本書。テレビ草創期の作り手が円熟期を迎え、良質のドラマが作られていた時代。とりわけ倉本氏はテレビに異議申し立てを行う作風で、ドラマになりにくい題材を人気ドラマに仕立ててきたことで知られる。そのドラマはどこから生まれたのか。現在のテレビへの思いまでほとばしる、とにかく熱い自伝である。

純と蛍の成長物語「北の国から」についての説明は不要だろう。「時代と寝る」作家が多い中で貫いた反骨精神は、生い立ちから現在の自然保護活動まで一貫している。語られる数々の製作秘話や高倉健、八千草薫、ショーケン、田中邦衛から岩城滉一、桃井かおりまで深く関わった名優たちとの想い出、ゼロから切り開いた富良野での生活と若者たちとの芝居づくり……かつてのテレビに、日本人は何を見ていたのか、それが言葉になっていることがこの作品の最大の魅力である。

本書は二部構成。第一部は幼少期から修業時代、売れっ子作家の時代、北海道の大地に根を下ろし無名の人たちと共に迎えた円熟期、そして現在までを自身のドラマのように骨太な筆致で綴る自伝エッセイ。第二部が年譜形式で、テレビドラマ、映画、ラジオドラマ全脚本作品と作・演出を務めた演劇全舞台のキャスト・スタッフ・内容を網羅した50ページにも及ぶ放送・上演記録決定版。テレビマンユニオン時代から倉本作品を熟知する碓井広義・上智大教授が同時代における作品解説を加え、冒頭に同時代の大物脚本家のエッセイも収録する予定。

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Author:gogotamu2019
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